「日常生活に不可欠」生活保護利用者の車保有、弁護士ら制限緩和訴え
生活保護利用者の車の保有について考える集会(日本弁護士連合会主催)が12日、衆議院第二議員会館であった。生活保護制度では車は「資産」とみなされ、原則処分が求められる。参加者は地方で公共交通機関が衰退している状況などを踏まえ、「より広く車の保有を認めてほしい」と訴えた。
生活保護制度で車の保有が認められるのは、障害がある人や公共交通機関の利用が著しく難しい地域に住む人が通院や通勤に使う場合などに限られている。
日弁連によると、自動車の普及率は全国で7割を超える(2023年)。一方、日弁連が全国の自治体に生活保護利用者の車保有状況をアンケートしたところ、22年3月現在で0.6%だったという。こうした状況などを受け、日弁連は昨年9月、厚生労働省に保有制限の緩和などを求める意見書を提出した。
意見書では、公共交通機関が衰退していることなどを踏まえ、特に地方では「車は日常生活を維持していくために必要不可欠なものだ」と指摘。現在の運用では「生活保護か車保有か」を迫られているとし、車を選択せざるをえない場合は生活保護を利用できない現状がある、としている。
集会では、東北地方で子ども4人を育てる女性がビデオメッセージで経験を語った。離婚をきっかけに生活保護を利用したところ、車の処分を求められたという。車は通勤や買い物のほか、幼い子どもの保育所の送り迎えにも必要不可欠だった。
女性から相談を受けた弁護士が自治体に意見書を提出した結果、今月になって通勤や保育園送迎用などで保有を認められたという。女性は「ほっとした。車があるとないとでは生活の大変さが変わってくる」と話した。
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