凄惨な証拠、精神的負担への配慮も 弁護士「書き手の主観」に懸念

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新谷千布美 森下裕介
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 札幌市の繁華街・すすきののホテルで2023年、頭部が切断された男性(当時62)の遺体が見つかった事件で、殺人幇助(ほうじょ)などの罪に問われた医師田村修被告(61)の裁判員裁判では、修被告が娘の瑠奈被告=殺人罪などで起訴=による遺体損壊の様子を撮影した映像の内容などが焦点となり、凄惨(せいさん)な犯行を物語る証拠の扱いにも配慮が見られた。

 検察側は、裁判員の精神的負担を避けるため、生々しい遺体の写真や映像を省いた上で、概要をまとめた捜査報告書を証拠として提出した。

 審理で特に配慮されたのは、遺体の映像の扱いだ。法廷では、瑠奈被告が殺害前後に撮影した映像を示す代わりに、検察官2人が瑠奈被告と男性のやりとりを再現した。

 瑠奈被告が頭部を損壊する様子を修被告が撮影した映像は、検察側が内容を説明する報告書を証拠請求した。だが、撮影行為が死体損壊幇助にあたるかどうかについて検察側と弁護側が争う中、文章での描写の仕方に弁護側が同意せず、公判では一部しか採用されなかったという。修被告の弁護人は「映像を文章化すると、書き手の主観が入ってしまう」と課題を挙げる。

 判決後に会見した裁判員からは、「直接的な証拠を見ると、引きずられて公正な判断ができず、混乱してしまったかもしれない」「配慮していただいたことで、思い出して眠れないなどもなく、感謝している」といった声が上がった。

 裁判員らに遺体写真などの証拠をどう示すか、これまでも問題となってきた。

 2012年には、札幌地裁で…

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この記事を書いた人
森下裕介
ネットワーク報道本部|地方裁判担当
専門・関心分野
司法、刑事政策、人権