第4回「必要なのは刑罰より治療」 日本の薬物政策の転換を訴える刑法学者

有料記事

聞き手・永田豊隆
[PR]

 薬物の乱用を防ぐ政策として、日本では取り締まりと刑罰に重点がおかれてきた。しかし、薬物と刑事政策の関係に詳しい園田寿・甲南大名誉教授(刑法)は「刑罰による薬物政策に合理性はあるのか」と疑問を投げかけ、あり方を根本から転換すべきだと訴える。その理由を聞いた。

 ――覚醒剤など違法薬物をめぐる事件が後を絶ちません。

 覚醒剤などは使用も所持も違法であることは間違いありません。しかし、身柄が拘束されることで治療が中断してしまう場合もあるうえ、社会復帰の道を閉ざす恐れもあります。

 そもそも違法薬物の使用や所持に刑罰で対応することには限界があります。

厳罰政策が再犯率を高める恐れも

 ――危険な薬物を取り締まるのは当然では?

 薬物の使用犯には、基本的に被害者はいません。いわば自傷行為であり、被害者は本人なのです。では、どんな理由で刑を科すのか。「あなたのためにならないからやめなさい」というパターナリズム(父権主義)にほかなりません。

 さらに問題なのは、刑罰は犯…

この記事は有料記事です。残り2014文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
永田豊隆
ネットワーク報道本部|大阪駐在
専門・関心分野
貧困問題、社会保障、精神科医療、依存症