6月19日、デルは仮想化とHPC(High Performance Computing)にフォーカスしたサーバ・ストレージ製品、サービスを発表した。単品販売からの脱却を目指し、仮想化をトータルで提供するという新しい方向性となっている。
仮想化をすぐに使える製品とサービスの組み合わせ
米デル エンタープライズ・ストレージ&ネットワーキング グローバル・マーケティング・ディレクター プラビーン・アスタナ博士
発表会において米デルのブラビーン・アスタナ博士は、「TRACK to Efficiency」というタイトルで、ITの効率化をスピーディに行なうための障壁と解決について解説した。昨今、ITの効率化で注目を集めているのが、省スペース化やリソースの使用率向上を実現する仮想化だ。しかし、アスタナ博士によると「大企業だけではなく、中小企業でも約30パーセントの顧客が仮想化の導入を検討しています。しかし、中小企業はITに特化した人材を抱えているわけではありません。また、仮想化はソフトウェアやサーバ、ストレージがうまく組み合わせられないと動作しません」といった障壁があるという。
これに対して、デルが仮想化に最適な製品として新たに投入したのがタワー型サーバの「Dell PowerEdge T710」と2Uラックマウント型のNAS「Dell PowerVault NX3000」の2製品。PowerEdge T710はXeon 5500番台に対応する2ソケットサーバで、最大16台のHDD、144GBのDDR3メモリを搭載可能。障害時に直近の状態に戻したり、BIOS設定・アップデートまで行なえる「Lifecycle Controller」が搭載され、アプリケーション稼働までの時間を短縮できる。
一方のDell PowerVault NX3000はWindows Storage Server 2008 Standard Editionを搭載するNAS。6台のHDDを搭載し、Single Instance Storageという重複排除技術を利用できる。これに加え、5月・6月で出荷されたタワー型サーバ「Dell PowerEdge T410」ラックマウント型サーバ「Dell PowerEdge R410」、iSCSI対応ストレージ「Dell EqualLogic PS4000」シリーズなどをベースに、仮想化導入を促進させるサービスを展開していくという。このうちR410はHPC向けサーバのラインナップに追加する。
大企業と中小企業向けの仮想化インフラ構成が提供
具体的に提供される仮想化のインフラ構成は、データセンターでの利用を前提とした大企業向け、中小企業向けの2つが用意され、それぞれ最適なサーバ、ストレージ、仮想化ソフトウェアがパッケージで提供される。また、VMware vSphere4やCitrix Essencials for XenServer 5.0など最新のハイパーバイザに対応するほか、ディザスタリカバリなどのソリューションも提供する。さらに導入や運用までを包含するコンサルティングや「Virtualization Business Ready Configurations」と呼ばれる仮想化向けの設定最適化などのサービスを投入する。
デル株式会社 SMBマーケティング本部 北アジア地区 本部長 原田洋次氏
こうした仮想化のパッケージ戦略は、顧客にフォーカスするために再構成し直されたデルの新組織や、ITのシンプル化をコアに据えた戦略が背後にある。「デルでいうSMBのお客様は1~500名の従業員をお持ちの企業や組織。こうしたSMBのお客様に、とにかくシンプルでパッケージ化されたITを提供するのがデルの役割」(デル株式会社 SMBマーケティング本部 北アジア地区 本部長 原田洋次氏)と、特に日本市場で高い比率を誇る中小企業への仮想化導入を促進させる施策をより展開していく。具体的にはSMB向けのポータルサイト「Small Business 360」やIT活用でビジネスを成功させている事業者を表彰するデルスモールビジネス賞など、これまでの取り組みをより強化していくとのことだ。
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