半導体集積回路の製品開発を販売を行なっているアクセルは、デルのサーバーとストレージを導入し、社内サーバーの仮想化を進めている。同社が全部デルで仮想化を実現したのはなぜか? そして、どのような導入効果を得ることができたのだろうか? (全3回)
「オール・デル」で仮想化・データ統合を実現
サーバールームに設置されたPowerEdge R710とEqualLogic PS6000
アクセルはアミューズメント系の組み込み機器に使われるチップを開発している東京千代田区のメーカー。製造自体は外部に委託するファブレス事業者で、少数精鋭ともいえるメンバーを製品企画・論理合成に集中することで高成長を上げている。
このアクセルは、2009年に社内のサーバーをデルのサーバー、ストレージで構築した仮想化インフラに統合した。具体的にはデルのラックマウントサーバー「PowerEdge R710」3台に、VMware ESX Serverを載せ、社内の13台のサーバーをESX Serverにコンソリデーションしたという。PowerEdge R710は、11G(第11世代)と呼ばれる最新仮想化対応サーバーで、最大144GBのメモリを搭載できるラックマウント型サーバーだ。加えて、管理用のvCenterサーバー用に「PowerEdge R300」を2台導入したという。
また、サーバーのバックエンドのストレージとしてはiSCSIストレージ「Dell EqualLogic PS6000」を採用。Dell EqualLogic PS6000は容量とパフォーマンスをリニアに拡張できるiSCSIストレージで、今回は高信頼のSASモデルと安価なSATAモデルをそれぞれ1台ずつ導入している。そして、今回はアクセル自身がデルのサポートを受けつつ、自身で導入まで持ち込んだというのも大きい。以下、導入までの経緯について、技術グループの各メンバーに話を聞いてみたい。
開発に強いファブレスメーカーは
ITシステムも自前で
アクセル 技術グループ 情報システム運用担当マネージャー 大江潤司氏
同社は2005年に現在のオフィスに移動して以来、基幹システムや設計・開発などのサーバーを増強してきた。しかし、物理サーバーが増えるとともに管理の負荷がどんどん大きくなってきたという。アクセル 技術グループ 情報システム運用担当マネージャー 大江潤司氏は「テナントビルに入っているので、電力や発熱は悩みでした。実際、調べてみたら、すごい電力を食っていたこともわかったんです。設置スペースの確保も苦労してました」と語る。こうしたことから、近年大きな注目を集めるサーバーの仮想化が俎上にあがってきた。
一方で、サーバーのバックアップも大きなテーマとなっていった。アクセル 技術グループ 情報システム運用担当マネージャー加藤晴朗氏は「開発しているチップの回路規模が大きくなるにつれ、大きなデータを扱うことが増えています。ですが、今まで物理サーバーのデータは、サーバー1台ずつとっていました。こうなると手間やスケジュールの面で、もはや限界に近い状態でした」と導入前の状態をこう説明した。そのため、拡張性の高い専用ストレージにデータを統合し、データの保護やリカバリを実現できるようにした。さらに台数と容量を考えると、磁気テープ以外のバックアップ手段も用意しなければならない。こうしたことから、ストレージ統合とバックアップ、DRなどの導入も本格的に必要になってきた。
アクセル 技術グループ 情報システム運用担当マネージャー加藤晴朗氏
こうしたことから、同社の技術グループは2009年の春からサーバー仮想化とバックアップを組み合わせたソリューションの導入を検討開始。社内で仮想化ソフトの検証等もスタートさせ、「当時、Hyper-VはまだVMware vMotionに当たるフェイルオーバー機能がなく、実績もありませんでした」(加藤氏)ということで、定番のVMwareを使うことにした。そして、複数のSIerが提案したもののうち、コスト面や使い勝手などを重視し、複数のベンダーとコンペを行ない、デルが製品導入を請け負うことに決定した。
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