情報が氾濫する現代では、平凡な自分と他人を比べることは不幸なことにしかならない。
そのような情報に触れ続けるにつれ、自分自身の無価値さが強調されるばかりである。
タイトルの「精神勝利」は「阿Q正伝」の主人公の哲学的基礎であり、
自分が負けても結果を都合よくすり替えて自分の勝利だと思い込むこととされている。
何の取り柄もない、生きていても時間の浪費である我々においては、この考え方を取り入れることによって
あらゆる敗北の局面を主観的な勝利にすり替えることができるのである。
これは現代でいう「ポジティブシンキング」やJ-POPで歌われる「全てはものの捉え方次第」と
何が異なるというのであろうか(いや、ない)。