【翻訳】海外紙岸田評「権力とは、地に屈みそれを拾い上げる勇気がある者に与えられる」インフレを上回る賃金上昇を成し遂げたが不当な評価に屈す

首相が再選を目指さないという決断は、ここ数年で最もエキサイティングなリーダー争いを日本にもたらすかもしれない

岸田氏の辞任は混沌とした時代への扉を開く

首相が再選を目指さないと決定したことで、日本ではここ数年で最もエキサイティングなリーダー争いが始まるかもしれない。

重力から逃れざる岸田

日本の与党である自民党は来月下旬に新総裁を選出するが、ここ数週間、東京の勢いは一方に傾いていた。つまり、後継候補らが躊躇し、より良い機会を待つ中、不人気だが頑固なことで有名な岸田氏が出馬し、勝利するだろうという流れだった。

その勢いは水曜日、普段はのんびりとしたお盆休みの真っ最中に、首相が自民党総裁としての再任を望まないと発表し、事実上辞任を申し出て、日本の次期総裁争いを混乱に陥れたことで、突然尽きた。
　
　

バイデン米大統領との類似点

岸田氏の首にかけられた重荷は年齢ではなく、自民党の資金スキャンダルと統一教会とのつながりが論争の中心となっているという点で異なるが、結論は同じだ。政策上の成果は数多くあるにもかかわらず、両党首はかつてのように国民とのつながりを取り戻すのに苦労し、下位の候補らは国政選挙の可能性に目を向け始め、このような状況がいつまで続くのかと疑問を呈し始めた。
　
　

岸田もバイデンも世論調査に身を任せた

しかし、米国大統領がカマラ・ハリス氏を速やかに支持したのとは異なり、日本にはまだ後継者がいない。「国民に新しく変わった自民党をお見せしなければなりません」と岸田氏は水曜日に記者団に語った。「そのためには、透明で開かれた選挙、そして何よりも自由で開かれた議論が必要です」。議員と党員は来月選択を行うが、2025年10月まで総選挙は必要ないため、彼らの選択によって国の次期リーダーが決まることになる。（ただし、岸田氏がしたように、新首相は突然の国民投票を求めるかもしれない。）
　
　

自民党がまだ野党だった12年前、故安倍晋三が衝撃的な復帰を果たして以来、国内で最も興味深い総裁選

安倍氏が政権を握っていた間、実質的な競争相手はほとんどおらず、2020年に健康上の理由で辞任すると、党はすぐに右腕の菅義偉氏のもとに結集した。翌年、菅氏が新たな信任を求めるのを断ったため、岸田氏は理にかなった選択だった。
　
　

今回はすべてが予想外、ー少なくとも今のところは

異端の候補者、おそらく長年の異端児である河野太郎氏や石破茂氏（ともに上級大臣職を歴任）の可能性がこれほど高かったことはめったにない。有名な反逆者、純一郎氏の息子である小泉進次郎氏は、ついに出馬の時が来たと判断するかもしれない。元経済安全保障担当大臣の小林隆之氏は、メディアの報道に頻繁に登場している。党幹部、元首相の麻生太郎氏、菅氏、そして現職首相自身からの支持が重要になるだろう。しかし、資金スキャンダルの余波で自民党の派閥のほとんどが解散したため、議員たちがどう投票するかは分からない。弱い野党を相手に、自民党はほぼ常に国政選挙に勝利している。
　
　

誰が後継者になるにせよ岸田の遺産は巨大すぎる。功績も負い目も

防衛と外交政策における首相の実績はそれを物語っており、日本最大の応援団であるラーム・エマニュエル米国大使が真っ先に称賛の言葉を述べたのは偶然ではない。彼は過去3年間に始まった「日米関係の新時代」を歓迎し、前任の安倍首相ができなかったことを、首相がいかにして実現できるかを語った。防衛費の倍増、防衛輸出規制の緩和、韓国との関係回復など、これらすべてを大規模な抗議運動を引き起こすことなく実現できるのだ。
　
　

自民党内の対中ハト派は今や死に体

後継者がこの件で波風を立てることはなさそうだ。ただし、現経済安全保障担当大臣の高市早苗氏のような人物なら、事態はさらに右傾化するかもしれない。しかし、最も注意が必要なのは国内だ。岸田氏の「新しい資本主義」経済政策は市場を動揺させた大失敗とされ、揶揄的な、そして不当な「増税メガネ」というあだ名をつけられた。後任者は国内経済にもっと重点を置く必要があるだろう。
　
　

インフレを上回る賃金上昇の約束がようやく効果を上げ始めたところで彼は去る

実質賃金は6月に27か月ぶりにようやく上昇した。彼はデフレ打倒で勝利を収めるべきだったが、国民は依然としてインフレと円安を懸念している。彼の後任は、岸田氏が日銀総裁に指名した上田和男氏の利上げによって引き起こされるさらなる市場の混乱に対処しなければならないだろう。
　
　

残り1カ月あまり

今、党が公の場で汚い秘密を暴露するのではなく、主流派候補、おそらく上川陽子外務大臣か、政策の重鎮である茂木敏充氏を中心にまとまる可能性は十分にある。
　
　

権力とは身をかがめてそれを拾い上げる勇者にのみ与えられる

これはドフトエフスキーの言葉だ。
潜在的な挑戦者は、読書家として知られる岸田氏からヒントを得るべきだ。
首相のお気に入りの本の一つは『罪と罰』と言われている。
たったひとにぎり、ひとにぎりの勇気さえあればいい。

岸田首相の決断で永田町が混乱する中、日米の夏はのんびりと過ぎ去った。バイデン大統領自身の米大統領選撤退は明らかに影響を与え、時代の終焉を告げるものだ。 @GearoidReidy
が書いているほどの混乱にはならないことを願う

岸田氏の辞任決定の現時点で最も重要な結果は、選挙で負けず、安倍氏や菅氏と同じように辞任を選んだことで面目を保ったことだ。次に何が起こるかは、立候補を表明した候補者と自民党自身にかかっている。

日本の一党多派国家で、自民党の回転木馬がまたもや回転する!

脱水しましょう！