0.
すでにライヴを2本観ております。
1.
Fishmans@東京ガーデンシアター
素晴らしくフィジカルに訴えかけるナイス・ポップ・ミュージック。それが格段にコアなロックとしても昇華して、息つく間もない3時間の公演でした。
聴きたかった曲は一通り演奏してもらい、何よりも原曲はまだまだサンプル状態だったのではないかとまで思わせる「Long Season」のビルドアップっぷりがすさまじく。
数多いゲストのクオリティにも素晴らしいものがありました。佐藤伸治の世界観は私たちオーディエンスの頭の中にあり、そこにオーバーライドしてくる新たな息吹とが共存し、この上なく音楽に没頭出来る時間を過ごすことが出来たのです。
個人的な白眉はゲストとして登場した君島大空の存在と、UAとのセッションによる「Go! Go! Round This World」のあまりもの闇に沈む雰囲気。前者のギタープレイの見事さと、イノセントなボーカルは新時代のアーティトの煌めきを感じさせ、後者による硬質さを極めたアレンジとボーカルには、自分の身体が硬直させられました。
と、このように多幸感と緊張感とが両立するあの場にいた自分は、本当に幸せ者だと思うのですよ。そもそも後追いで聴き始めた身からすれば、リアルタイムでのFishmansを観ることは叶わなかったけれども、今でもその流れを汲み、さらに進化&深化させる存在がいることに深い感謝を覚えるのです。
あの日のFishmansと今のFishmansとを楽しめる時間にいられることは、この上ない幸せであるとも。
2.
NHK交響楽団 指揮:マルクス・ポシュナー ピアノ:小林愛実 @市川市文化会館
ベートーヴェンとモーツァルトのプログラム。休日のXのタイムラインに当日券情報が流れてきたので、速攻で会場に電話を入れてチケットを押さえ、その日のうちにふらりと聴きに行きました。
クラシック音楽のコンサートは相当久しぶり。フルオケを聴くのは実は初めてのことだったかもしれません。ホール2階席前方、ステージ向かって右側で聴きました。
結論から語れば、「クラシック音楽の生演奏はロックだ!」となります、はい。
序曲「コリオラン」から始まり、オーケストラの音がホールでどのように聞こえるのかと言う実体験を味わった後、小林愛実の登場でモーツァルト「ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K. 271」へ。小編成になったオケをバックに、軽やかなピアノがコロコロと回る素敵な演奏。ピアノの音も十分にこの席で楽しめるものなのだと実感。
そしてメインのベートーヴェン「交響曲 第7番 イ長調 作品92」へ。フルオケの迫力にガツンとやられ、目は演奏する楽団員へと釘付けに。一人一人の演奏スタイルが大きく異なり、指揮者とのシンクロにそれを重ね合わせ、目で楽しむ演奏。これが生の醍醐味なのかと感動もひとしお。
第四楽章では作品の最後に向かうカタルシスを同時進行で堪能。目にも耳にも色鮮やかに音が刻まれていきました。楽団員のアクションも急速にトランスに入っているような様。こちらも恍惚の音世界へ。ロックですよ、正に。
それにしてもオーケストラの演奏が定期的に行われるホールは、本当に音が鳴るんですね。楽器の音ももちろん届きますが、なによりもホール全体が鳴る。反響音も残響音も味方につけて、演奏の迫力がどの座席にも届いてくる。
これはクセになりそうなクラシック音楽生体験でした。国内のサントリーホールやオペラシティで聴くと、どのような世界が味わえるのでしょうか。
しかしN響のこのプログラムが7,000円とは、ちょっとお得すぎやしませんかね。だからこそふらりと見に行けたと言う事実はありますが。
カーテンコール 3.
最近感動していた音源。
◆
ドヴォルザーク:交響曲第9番『新世界より』 / ナタリー・シュトゥッツマン, アトランタ交響楽団 (2024 96/24)
たまたまQobuzで目が合ったので、何気なく再生してみたのです。驚きました。すさまじく相性の良い音源を見つけてしまったと興奮するほど。調べてみると実質的な指揮者デビュー作とありました。こんなことがあるのかと。
ドヴォルザークのこれを、ここまで音を刻みながら色鮮やかに展開させる演奏には、もしかすると初めて遭遇したかもしれません。
ここしばらく、ドヴォルザークの演奏はグスターボ・ドゥダメルとロサンゼルス・フィルハーモニックによるものが自分の中では重要なポジションに鎮座していたのですが、この第9番に感してはあっさりとその座を受け渡してしまいました。
カッチリとしたテクスチャ、現代的なスピード感、野暮ったさを重厚さに変えながらも、軽快に進むべくポイントではとことん軽快に。これが21世紀型の真のドヴォルザークなのではないかと思えるほどに、自分にとっては衝撃的な演奏でありました。
当然の事のように速攻で音源を確保しておりました。そこから何度聴いたことか。
クラシック音楽はまだまだ行ける。時間が進むにつれ、解釈が多岐にわたり、演奏のスタイルも変化していき、そのポテンシャルとキャパシティに限界はないのですね。
4.
まだまだ書きたいネタはあるのだけれども、キーボードに向かっているのが辛くなってきたので、まずはこの辺で。