アマゾンが「ゆっくり配送」をはじめたそうだ。

ここから先、全ての語尾を「だぜ」にして書いてもよいのだが、何を書いても「これだからインターネット中年は気持ち悪い」という結論にしかならないのでやめておくし、そもそも言っている意味がわからないという人はそのままでいればいい。画面の両端に謎の生首が配置されたサムネがYouTubeに現れても触るな。

  • 商標にひっかかったりしないですよね?

    商標にひっかかったりしないですよね?

みんながホワイトカラーになったら末期ローマ

ネット通販は昔からあるが、おそらくコロナで利用者は急増したと思われる。

様々な通販サイトが登場し、そのシステムは多様化しているが、傘のように基本的に全く進化していない物もある。

かまぼこ板大の機器であらゆることができるようになった今でさえ、人は雨が降ると頭上に覆いを張って物理で防ぐという、おそらく原始時代から変わっていないことをしているのだ。

それと同じように「配達」も基本的進化がなく、未だに人間が小走りで運んでくる。

他の方法もいろいろ試されているようだが、少なくとも我が家にロボット配達員が来たことはないし、ドローンが落とした荷物に屋根を破壊されたこともないので、まだ人間が主戦力なのは確かだ。

ピッキングなどの梱包についても自動化が進んでおり、勘の悪い未経験者でもできるようにはなってきているが、私の推しVである日雇礼子さんも「まだヒトカスなしでは難しい仕事」と評している。

「AIに人間の仕事が奪われる」と何故か人間に脅されている昨今、特別な資格やスキルなしで出来る仕事がまだAIに奪われていないというのは喜ばしいことかもしれないが、人間は人間で最近数が足りていないのだ。

通販の需要急増に対し、それに対応する人間の数は十分とは言えないはずだ。

それにも関わらず、商品が常軌を逸したスピードで届くことがある。

私は知らない内に「アマゾンプライム」の会員になっていた。

私が言う「知らない内」というのは、規約もろくに読まずに「早く俺様にお買い物をさせろよ」と怒りのクリック連打をしている内に、という意味である。

こういうタイプは、知らない内に様々な有料サービスに入っていたりするし、時には有料会員になった上にその支払いをリボにしている場合があるので、定期的に明細などを確認した方が良いのだが、もちろんこのタイプはなかなか明細を見ない。

知らない内にアマプラ会員になっていた私だが、月額600円という安価で映画やアニメ音楽なども聞けるので、そのまま利用している。

そして何より、購入したものがすぐに届く、こんな僻地にすら、注文した翌日に届いたりするのだ。

私はとにかく外に出たくないので、父母の日などのイベント品すら通販で注文するし、当然バレンタインの品もそれで手配した。

バレンタインの品を10日などというギリギリに注文して、間に合わないかもしれないと思っていたが、無事11日に届いてしまい、当日まで隠さなければいけなくなってしまった。

一体、どういうシステムでこんなに早く届けているのか。

10年以上近隣との交流皆無でやっているので、隣家がアマゾンの倉庫という可能性もあるが、それだったらもっと早く来るだろうし、倉庫にしては狭い。

結局は「人間がすごく頑張って運んでいる」のだろう。つまり現場が過酷を極めているということだ。

あぁ、ゆっくりの輪が日本中にひろがって……行くのか?

そんな現場のひっ迫を緩和すべく、そこまで急がなくていい注文は「ゆっくりでいい」と指定できる配送が登場し、アマゾンだけでなく、他のショッピングサイトでも流行っているようだ。

ゆっくり配送に指定すると、ポイントがもらえたりとユーザー側にもメリットがあるという。

しかし、知らない内にそうなっている勢は、買い物中ですら「早く俺様の買い物を完了させろよ」とクリック連打しているため、このゆっくり配送にも気づかずに買い置きの便所紙を超特急で配送させている可能性が高いし、まさに私が今ゆっくり配送に気づいた勢である。

Xなどにも「そんなに急がなくていいのに」と早すぎる配送に対し寛容なことを言っている者が散見されるが、それを書き込む前に、自分の利用している通販サイトがゆっくり配送をやっていないか確認した方がいい。

確かに通販で「次の日届かなければ困る」などというものはなかなか存在しない。

次の日配送が当たり前になってしまうと、普通の配送が「遅い」と見なされ、間に合わせるために、無理な労働や、それによって取り返しのつかない事故が起きるし、日本ではそのような事故事件が起こりがちなので、ユーザーも過剰な便利に慣らされすぎない方がよい。

だが、先日リアルキーボードクラッシャーしてしまった時は、お急ぎ便があって命が助かった。

しかし、いくら僻地でもキーボードぐらいは近隣の店に売っている。都会のように道に落ちてたり畑に生えていることはないが、家電量販店にまで足を延ばせばあるだろう。

キーボードという、それがなければ仕事にならないレベルの物をすぐに買いに行かずに、通販を利用している時点でおかしい気がしてきた。

我々が真に慣れるべきなのは、ゆっくり配送ではなく、買えるものは自分の足で買いに行くことなのかもしれない。