調剤のたまご

薬剤師・調剤事務さん頑張ろう

新人薬剤師の挫折から学ぶピッキングの注意点

上司薬剤師が新人薬剤師に対して怒っている

「処方箋をちゃんと見て取って。患者さん死ぬよ?」

「遅いよ、患者さん待ってるからピッキング代わって」

新人薬剤師の時、さんざん言われた言葉です。

お金を払う学生実習は許されても、給与をもらう社会人では許されないんですね。

同じミスを繰り返さないよう、挫折パターンを理解し、その対策を立てましょう。

今回は「ピッキング編」の挫折です。

(※ピッキングとは、処方箋に書いてある薬を取り揃える業務です)

よくある事例5つを紹介、対策も作っています、最後までご覧ください。


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薬の商品名は勉強してない

薬剤師国家試験は、成分名で出題されます。

学生時代は、必死に500以上もの成分名を覚えたと思います。

ですが、薬剤師になると「成分名」の「商品名」を新たに覚えないといけません。

成分名「ロキソプロフェン」から、商品名「ロキソニン」なら覚え易いです。

実際、そんなに甘くありません。

中には併売品といって、成分名「アレンドロン」を商品名「フォサマック、ボナロン」というように、同じ成分を、違う商品名で発売されることがあり、地獄です。

一般の社会人となり、社会常識に加え、薬剤師としての勉強も同時に始まってしまうことが、より挫折につながりやすいと思います。

せめてもの救いは、現在ジェネリック医薬品の普及率が80%を超えていることです。

ジェネリック医薬品とは、特許が切れた薬を安く販売したものです。

この薬の商品名は 成分名+「会社名」と統一名称になっています。

さらに処方箋は、成分名表記がほとんどです。

そのため、処方箋に書かれている表記のまま、ピッキングすれば大体大丈夫です。

普通薬、劇薬、向精神薬、冷所品、毒薬など保管場所が違う

劇薬・毒薬は、他医薬品等と区別して、貯蔵・陳列

毒薬はさらに施錠が必要(鍵付き引出し保管が多い)

向精神薬は、盗難防止が必要(鍵付き引出し保管が多い)

冷所品は、1~15度で保管(冷蔵庫保管)

これらは、国家試験勉強では学んできたが、それに該当する薬までは学んでない!

例えば、アセトアミノフェン錠は200mg、300mgは普通錠、500mgは劇薬に該当します。(1錠あたりの含有量で区分が違う)

ゾピクロンは向精神薬ですが、エスゾピクロンは普通薬(光学異性体のS体)です。

リン酸コデイン錠は、5mgは劇薬、20mgは、なんと麻薬です。

薬局ごとで薬の場所が違う

A薬局はロキソニン錠の場所が「棚」、B薬局は「引き出し」にあって覚えられない!

そうなんです、よく出る薬は手に取りやすい「棚」、あまり出ない薬が「引き出し」であることが多いです。

「引き出し」の方が、しゃがんだり、引き出す手間、開封してもゴム止めで箱のまま保管するため、取り出すのに手間がかかるんですね。

ピッキングする薬の配置ルールをまとめると、

①冷所保管

②規制区分 (普通薬、劇薬等)

③内服薬か外用薬

④使用頻度 (棚 or 引き出し)で分かれ

⑤さらに上記ごとアイウエオ順

になっている薬局が多いと思います。

薬には剤形、規格があり混乱

薬には、剤形と規格があります。

剤形とは、薬の形です。錠、カプセル、注射、粉、液、点眼、吸入、テープ、パップ、クリーム、ローション、坐剤などの剤形があります。

規格は、錠剤だと1錠に含まれる成分量です。

たとえば、痛み止めのボルタレン錠25mg ( 成分名ジクロフェナク ) は、剤形「錠剤」、規格「25mg」です。

ボルタレンは、カプセル、坐薬、テープ、ローション、ゲルといった剤形があり、

坐薬は12.5mg、25mg、50mg、テープは15mg、30mgといった規格があります。

ロキソニンは今は普通薬なのに、同じ系統のボルタレン錠25mは劇薬です。

薬局によっては、ボルタレン錠25mgはよく使うので「棚」、ボルタレンSRカプセル75mgはあまり使わないから「引き出し」ということもあったりするでしょう。

薬の用法・用量が分からない

薬を正しく安全に使うためには、使用回数や服用タイミングである「用法」、1回量や1日量などの使用量を示す「用量」を守らないといけません。

添付文書(お薬の説明書)の用法用量を守ることは、上記の他に、保険医療機関の保険医が発行した保険処方箋を保険薬局の保険薬剤師が正しい保険請求を行っていることにもつながります。

このルールを守らないと、患者さんに命の危険が及びますし、保険請求に不正を働いたとして行政処分される危険性があります。

なのに、国家試験合格後、保険薬剤師になった瞬間、このルールを知っていなければならないなんてひどいですよね。

 

たとえば、腰痛症で処方されたとします。

ボルタレン錠25mg 3錠 分3毎食後 10日分

ボルタレンSRカプセル75mg 3CAP 分3毎食後 10日分

どちらも、同じような名前ですが、それぞれ用法用量が違います。

 

ボルタレン錠25mg

通常、成人にはジクロフェナクナトリウムとして1日量75~100mgとし原則として3回に分け経口投与


ボルタレンSRカプセル75mg

通常、成人にはジクロフェナクナトリウムとして1回37.5mgを1日2回食後に経口投与

 

添付文書から、

ボルタレンSRカプセル75mg 3CAP 分3毎食後はおかしいと気づかないといけません。

薬剤師になったばかりでは、判別は難しいと思います。

 

さらに同じ成分のテープでも、ジクトルテープ75mg( 成分名ジクロフェナク ) という濃度をより濃くした商品まで出ています。

ボルタレンテープは貼った部分しか効果がない局所作用に対し、ジクトルテープは貼った部位から血中に乗り全身を巡らせるために開発された全身作用型製剤です。

 

覚える事が多すぎて、混乱しますね。

 

薬を覚える方法

結局は…全部覚えていくしかない、です。

でも、これからお伝えする方法を行えば、間違える頻度が減ったり、取り組んでいる姿勢が評価され、職員からの当たりが弱まる可能性があります。

誰だって怒りたくないし、怒られたくないです。

なるべく早く一人前になり、正社員の一員になれるよう頑張りましょう。

使用頻度順に出力し覚える

薬局には、レセプトコンピュータ(レセコン)があります。

これは、処方箋入力、レセプト作成ができるアプリが入ったパソコンです。

付属する機能として、データ分析機能が付いていることも多いです。

この機能で、よく使っている薬の使用頻度順、使用量順などで出力、印刷し、よく使われている薬から覚えます。

作用機序、保険適応、規格、剤形、用法、用量、規制区分、場所という風に覚えられるといいですね。

棚、引き出しの写真を撮影して覚える

薬の知識がついてきても、場所が分からないことも多いです。

今はスマホで撮影し、そのままプリンターから印刷することもできます。

よく使用される棚から撮影し、どこに何が配置されているかを理解しましょう。