経営・DXに効くAI翻訳

企業が無料翻訳ツールを利用するリスクを解説!安全に利用するための方法とは?

2024.06.18

AI翻訳ツールは、ビジネスのグローバル化に伴い、多くの企業で利用されるようになりました。AI翻訳ツールには無料で使えるものと有料のものがありますが、利便性の高さや手軽さから、無料版のツールを使っているビジネスパーソンも多いです。

しかし、無料のAI翻訳ツールの潜在的なリスクを認識しないまま、ビジネスシーンで利用するのは危険です。安易に利用すると情報漏洩やセキュリティ問題、さらには法的トラブルを招く恐れがあります。

本記事では、無料のAI翻訳ツールに潜むリスクを解説するとともに、企業が安全にAI翻訳を活用するための方法を紹介します。

AI翻訳ツールとは?

AI翻訳ツールとは、インターネット上で利用できる翻訳サービスです。利用者が原文を入力すると、AIによって自動的に翻訳が行われ、訳文が出力されます。

近年、AI翻訳の精度は飛躍的に向上しており、ビジネスシーンでも頻繁に利用されるようになりました。AI翻訳ツールには無料で使えるものと、個人単位での利用登録や組織単位での契約を経て利用できる有料のものがあります。

有料ツールが会社から提供されていない、あるいは無料ツールのリスクを知らないなどの理由で、無料ツールを利用しているビジネスパーソンが多いという状況があります。

利用する人は多いが、リスクを理解している人は少ない?無料翻訳ツールの実情

みらい翻訳が、従業員500人以上の製造業関連企業に勤める役員および正社員304名を対象に実施した調査結果を紹介します。

下記2つの質問に対して、全体の6割弱が「あてはまる・ややあてはまる」と回答しました。

  1. 「投入したデータが二次利用される可能性のあるWEBサービスを特定し、注意喚起している」
  2. 「投入したデータが二次利用される可能性のあるWEBサービスの利用を禁止している」
「投入したデータが二次利用される可能性のあるWEBサービスを特定し、注意喚起している」に関するアンケート結果
「投入したデータが二次利用される可能性のあるWEBサービスの利用を禁止している」に関するアンケート結果

この結果から、二次利用の可能性のあるWebサービスの利用に関して、注意喚起や禁止をしている企業が多いことがわかります。しかし、翻訳ツールに関する質問項目で、「無料のAI自動翻訳の業務利用は、禁止が望ましい」という質問に対しては、「あてはまる・ややあてはまる」と回答した人が全体の2割程度でした。

「無料のAI自動翻訳の業務利用は、禁止が望ましい」に関するアンケート結果

また、「投入文章を工夫すれば、無料のAI自動翻訳を業務に利用するにあたって問題はない」という質問には、7割弱が「あてはまる・ややあてはまる」と回答しました。

さらに、「無料のAI自動翻訳を業務に利用するにあたって、問題はない」という質問には3割強が「あてはまる・ややあてはまる」と回答し、禁止が望ましいと考える割合を上回る結果となりました。

「投入文章を工夫すれば、無料のAI自動翻訳を業務に利用するにあたって問題はない」に関するアンケート結果
「無料のAI自動翻訳を業務に利用するにあたって、問題はない」に関するアンケート結果

この調査結果から、何が言えるでしょうか?

多くの企業では、セキュリティの観点から、二次利用の可能性のあるWebサービスの利用を禁止・制限しています。ところが、無料のAI翻訳に関しては「二次利用の可能性のあるWebサービス」とは認識されていないのか、どちらかというと業務での活用を前向きに捉えている状況がうかがえます。

無料ツールがもたらす情報漏洩やセキュリティの問題など、潜在的なリスクに対する認識は、十分とは言えないかもしれません。

無料翻訳ツールを利用するリスク

無料翻訳ツールは、利便性の高さから多くのビジネスパーソンに利用されています。しかしその一方で、情報漏洩などセキュリティ面での不安が指摘されているのが実情です。

ここで前提として、無料翻訳ツールと有料翻訳ツールのビジネスモデルの違いを紹介します。無料翻訳ツールは、一部を除き、ユーザーの翻訳課題の解決と引き換えに、入力された「情報」を収集していく仕組みです。対して有料翻訳ツールは、情報を収集しない代わりにサービス利用料金を得るビジネスモデルです。

多くの無料翻訳ツールでは、「利用者が入力したデータを機械学習の際に使用する」などと利用規約に明記されており、機密情報が外部に流出するリスクが問題視されています。

例えば、Google翻訳を無料で提供しているGoogleの利用規約には、以下のように明記されています。

Google ではサービスの向上を目的として、新しい技術や機能の開発に常に取り組んでいます。たとえば、人工知能や機械学習を利用して同時通訳を可能にしたり、スパムやマルウェアの検出機能およびブロック機能を向上させたりしています。Google ではさらなる改善を目指して、さまざまな機能の追加や削除、サービスの制約の増減、新しいサービスの提供や古いサービスの終了などを適宜行っております。

引用元:https://policies.google.com/terms

上記の規約は、「投入された文章が二次利用可能となる」という解釈を含んでいると言えます。

AI翻訳では「湧き出し」という現象が報告されています。「湧き出し」とは、翻訳しようとした原文とは関係のない言葉が翻訳結果に出てくることです。

入力データの二次利用を行っている無料翻訳ツールの場合、自分が入力した内容が、誰かの翻訳結果として出てきてしまう可能性がゼロではないのです。

<湧き出しの例>
AI翻訳における湧き出しの具体例

機密情報の取り扱いに注意する

無料翻訳ツールは便利である一方、機密情報の取り扱いには細心の注意が必要です。多くの無料ツールでは、利用規約で入力されたデータを機械学習に使用することが明記されており、企業の社外秘情報や個人情報が外部に流出するリスクがあります。

そのため、機密性の高い文書を無料ツールで翻訳することは避けるべきでしょう。特に、契約書や技術文書、顧客情報などの翻訳には、セキュリティの担保された有料のAI翻訳ツールを利用するのが賢明です。

また、上で挙げたような明らかに機密性の高い文書だけでなく、メール文なども注意が必要です。実際にみらい翻訳が調査したところによると、自社名や取引先の社名、オンライン会議や関係者だけのクローズドサイトのURL・パスワードが記載されたメールをそのまま無料翻訳ツールに入れてしまっていたケースもありました。

重要な情報は抜いた形でメール文を翻訳している、という人もいましたが、そのような作業はどうしても手間の増大につながり、業務効率化とは逆行します。

安全なAI翻訳ツールを選ぼう

経営層や情報システム部門、DX推進担当者は、無料翻訳ツールのリスクや社内のAI翻訳の利用実態を把握した上で、セキュアなAI翻訳ツールの導入に向けて働きかける必要があるでしょう。

予算の関係上どうしてもすぐに有料ツールの導入に踏み切れず、社内で無料ツールの利用を認める場合は、

  • 入力データの二次利用をしない無料ツールの利用に限定する
  • 情報管理に関するガイドラインを設け、社員教育を徹底する

ことをお勧めします。

無料翻訳ツールは便利である一方、情報漏洩等のリスクを伴います。企業には、これらのリスクを最小限に抑え、機密情報を安全に取り扱うことが求められます。そのためには、セキュリティと翻訳品質を兼ね備えた信頼できる翻訳ツールを選ぶことが重要です。

みらい翻訳の「Mirai Translator®」(有料ツール・無料トライアルあり)は、高度なセキュリティ対策と最先端の言語処理技術を組み合わせた、企業のグローバル展開を支援するAI自動翻訳サービスです。ISO27001とISO27017の認証を取得し、金融機関や製薬会社、政府機関などの厳しいセキュリティ要件に対応しています。

また、個人単位の利用登録が可能な「みらい翻訳Plus」は無料プラン・有料プランを問わず、入力データの二次利用を行いません。