ウクライナのゼレンスキー大統領が2月28日にアメリカを訪問し、ウクライナの鉱物資源開発に関する合意文書に署名する見通しであることが分かった。複数の報道機関が25日に伝えた。
アメリカのトランプ大統領は25日、ホワイトハウスで記者団に対し「ゼレンスキー大統領が金曜日(28日)に来ると聞いている。彼が希望するなら私との署名も構わない」と述べた。
この合意は、ウクライナのレアアース(希少鉱物)資源の開発権をめぐるものだ。トランプ大統領は「非常に大きな取引で、1兆ドル規模になる可能性がある」と述べ、アメリカの納税者はウクライナへの支援金を「余剰金付きで取り戻せる」と主張している。
ウクライナのステファニシナ副首相は英フィナンシャル・タイムズ紙に対し、この合意は「全体像の一部に過ぎない」と述べ、より広範な文脈の中で捉えるべきだとの見方を示した。
この合意をめぐっては、過去数週間にわたりトランプ大統領とゼレンスキー大統領の間で緊張が高まっていた。トランプ大統領はゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼ぶなど批判を強めていたが、今回の合意によって両国関係の改善につながる可能性がある。
アメリカの安全保障支援
先々週初め、トランプ氏は財務長官のスコット・ベッセント氏をキーウに派遣し、ゼレンスキー氏と会談させた。アメリカの安全保障支援を継続するための初期枠組みを策定することが目的であり、交渉が本格的に始まる前の準備を行った。トランプ氏は、アメリカがウクライナに送った安全保障支援の金額について頻繁に批判し、アメリカがその支援を続けるためには経済的な利益を受けるべきだと示唆した。
こうした取引は、ウクライナの現在の防衛にとってだけでなく、停戦が呼びかけられた後の将来のロシアの侵略を抑止するためにも極めて重要となるだろう。そのため、ゼレンスキー大統領とベッセント氏は、アメリカがウクライナにある数千億ドル相当のレアアースへのアクセスを得ることと引き換えに、安全保障支援を継続するための初期の枠組みに合意した。
トランプ氏は、ゼレンスキー大統領がアメリカに対して約5千億ドル相当のレアアースおよび重要鉱物の鉱床へのアクセスを「事実上合意した」と述べた。
一方、ゼレンスキー大統領も、自身とベッセント氏が署名した枠組みには「安全保障、経済協力、資源提携」も含まれていると述べた。
この動きはロシアとは直接関係がないものの、地域における持続的な平和のための重要な基盤と見なされる可能性が高い。なぜなら、これによりアメリカのビジネス利権がウクライナ内に根付き、アメリカ製の武器がキーウに引き続き供給されることになるからだ。これは、アメリカがウクライナに軍隊を派遣することに同意するかどうかに関わらず続くことになる。
アメリカはまた、戦略的理由からウクライナのレアアース供給を確保したいと考えている。現在、アメリカはレアアースの供給において主に中国共産党(中共)政権に依存している。なぜなら、中国はこれらの金属の世界最大の供給国だからだ。
ウクライナを強化することで、レアアースやチタン、リチウムなどの他の金属へのアクセスを得ることができ、インド太平洋地域の不安定化が高まる中、アメリカは中国への依存を減らす手段を得ることができる。
今回の合意の詳細や署名式の具体的な日程については、まだ両国政府から正式な発表はない。今後の展開が注目される。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。