International Trading 101 (貿易の知識)

貿易、輸出入について、アドバイス、経験談など。。。

【お知らせ】はてなブログからnoteへの移行について


いつも「STC Advanced試験解説」をご覧いただき、誠にありがとうございます。

noteへの移行のお知らせ

この度、より良いコンテンツをお届けするため、はてなブログからnoteへと活動の場を移行することになりましたので、お知らせいたします。

 

移行の理由

noteでは記事の整理や検索がしやすく、試験対策として皆様にとってより使いやすい形で情報をお届けできると考えています。また、より深い解説や追加コンテンツなども計画しており、noteのプラットフォームがそれに適していると判断しました。

 

新しいnoteアカウント

新しいnoteアカウントはこちらです: 

note.com

すでにいくつかの記事を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

 

今後について

はてなブログの記事はしばらくの間は残しておきますが、今後の新しい解説記事や更新情報はすべてnote側で公開していきます。特に次回のSTC Advanced試験に向けた解説や対策記事は、すべてnoteで更新予定です。

 

皆様へのお願い

これまで長らくはてなブログをご覧いただき、本当にありがとうございました。試験前になると閲覧数が増え、皆様が熱心に勉強されている様子を感じ、とても励みになっていました。

ぜひnoteの方もフォローをしていただけると幸いです。引き続き、安全保障貿易管理に関して皆様が理解できるよう、また試験合格のサポートに尽力してまいります。

 

よろしくお願いします。

アメリカで摘発:コンテナシール交換スキーム

 


アメリカではトランプ政権が始まりました。

「MAGA(Make America Great Again)」「America First」を掲げ、大統領就任初日から矢継ぎ早に政策を打ち出しています。

 

主な政策転換の中には、国境管理の強化があります。

 

そんな中、興味深いニュースを見つけたのでご紹介します。

 

原文はこちら

www.yahoo.com

 

ロサンゼルス港で2億ドル規模の偽ブランド品密輸組織を摘発

事件の概要

  • 期間:2023年8月~2024年6月
  • 押収額:1億3000万ドル以上
  • 被害総額:推定2億ドル
  • 主な偽造品:靴、香水、高級バッグ、衣類、腕時計

摘発された組織の手口

  1. 中国から偽ブランド品を輸入
  2. 税関検査が入る場合:
    • コンテナを倉庫に移動
    • 税関シールを破壊
    • 正規品と入れ替え
    • 偽造シールで再封印
    • 検査に提出

逮捕された容疑者

  • 物流会社幹部
  • 倉庫所有者
  • トラック運転手 合計9名(1名は逃亡中)

この摘発は、税関での通常の農産物検査がきっかけで発覚。同様の「シール交換スキーム」による偽造品の押収総額は13億ドルに上ります。

 

youtu.be

 

コンテナシールってamazonでも販売しているのですね。

そんな簡単に入手できるものとは知りませんでした。

手口としては、偽造シールで再封印していたそうです。

ここが巧妙なポイントで、中国でコンテナを封印した際に、そのコンテナシールを複製して、中国からアメリカのブローカー(物流会社)に送っていたそうです。

 

コンテナシールは固有のシリアル番号の刻印があり、B/L(船荷証券)にもそのシール番号が記載されます。

通常、開封したら元に戻せない「タンパー・エビデント(tamper-evident:改ざん明示)」の性質を持っています:

特徴:

  • 一度開封すると元に戻せない設計
  • 物理的な破壊や損傷が残る
  • 改ざんの痕跡が目視で確認可能

しかし、偽造シールには全く同じシリアル番号が記載されています。

開封済みのコンテナシールと偽造シールを差し替え、偽造シールで再封印すれば、元通りの未開封のコンテナの状態になっていたと言うわけです。

 

コンテナシールのセキュリティシステムの脆弱性を突いた巧妙な手口と言うわけです。

 

 

【実体験】通関士試験とSTC Advanced試験の違いとメリット


今回は私が保持している資格、通関士試験とSTC Advancedについて、この2つの資格の違いや特徴、そしてそれぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

 

通関士試験とは

通関士は、税関における輸出入通関手続きの専門家としての国家資格です。

試験概要
- 実施頻度:年1回(10月)
- 受験料:約3,000円
- 合格率:例年10-15%程度
- 試験内容:関税法、関係法令、通関実務が中心

2024年の通関士試験の合格率は12%と、とんでもなく低かったようです。

年々難易度が増しているように感じます。

 

メリット
- 通関業者で働く際に必要の資格(必須ではない)
- 国家資格としての高い信頼性
- 貿易実務の基礎知識を体系的に学習可能
- 給与面でのアドバンテージ

通関士試験に合格するとお手当がつく企業もあります。また、保持者限定の求人案件も見かけます。

 

STC Advanced試験とは

STCは、CISTEC(一般財団法人 安全保障貿易情報センター)が認定する安全保障貿易管理の専門家資格です。

試験概要
- 実施頻度:年約3回(オンライン試験と会場試験の選択が可能)
- 受験料:Advanced 7,700円
- 合格率:40-50%程度
- 試験内容:外為法の輸出管理規制、該非判定などの安全保障貿易管理

通関士試験と比べると、出題範囲も狭く、集中すれば勉強時間も短縮できます。

 

メリット
- 安全保障貿易管理の専門性の証明
- 輸出管理実務での高い評価
- 規制品目の該非判定や取引審査などの実務能力の習得
- 企業のコンプライアンス体制強化への貢献

 

STCには3種類、STC Associate、STC Advanced、STC Expertがあります。

STC AdvancedやSTC Expertを保持していると、高い評価が得られます。保持者限定の求人案件も見かけます。

 

両方の資格を持つメリット

1. 通関手続きと安全保障貿易管理、両方の専門性を持つことができます
2. 輸出入業務を包括的に理解・対応できる人材として高い評価を得られます
3. 法令遵守と円滑な貿易実務の両立に貢献できます
4. 輸出管理部門や通関部門でのキャリアアップが期待できます
5. 専門性の高い職種での活躍の機会が広がります

 

通関士試験とSTC試験は、それぞれ異なる専門分野をカバーすると言って良いでしょう。通関士試験では外為法の一部が出題範囲に含まれていますが、深くは触れていません。

 

通関士は通関手続きの専門家として、STCは安全保障貿易管理の専門家として、それぞれの立場で貿易実務に貢献できます。両方の資格を取得することで、より包括的な知識と実務能力を身につけることができ、キャリアの可能性も大きく広がります。

 

資格取得を目指す際は、自身のキャリアプランや現在の業務内容を考慮しながら、計画的な学習を進めることをお勧めします。

 

私の場合は、輸出入を営む商社に勤務、取扱貨物の一部に該当品がありましたので通関士とSTC Advacedの資格を取得した次第です。

 

世の中に資格試験は無数にあり、あれもこれもと取得してもキリがありません。コスパ、タイパを考えてトライしてみて下さい。

 

 

STC Advanced攻略:勉強方法

 

本日もSTC Advanced攻略のお話です。

私が行った勉強方法を公開します。

 

【STC Advancedテキスト問題集】

 

こちらは基本の基本です。

実務で該当品を取り扱っている、包括を使って輸出している場合でも、こちらのテキストで知る情報はたくさんありました。

また、問題集の問題は、STC Advancedの試験に出る問題と非常に似た問題が掲載されています。

 

【EARはCISTECのサイトでチェック】

 

EAR(米国輸出規制)に関しては、↑のSTC Advancedテキスト問題集では物足りない気がしました。

とういことで、TC Advancedテキストに加え、CISTECのサイトで知識を補いました。

EAR超入門

https://www.cistec.or.jp/service/webseminar/open/data/houjin/5005_ear.pdf

EAR米国再輸出規制に関するQ&A

https://www.cistec.or.jp/service/uschina/12-ear_qa.pdf

 

EARは勉強量に対して、出題の割合が少ないですね。

 

【時間があれば】

 

CISTECのサイトのeラーニングをやりましょう。

www.sto.cistec.or.jp

 

 

 

 

STC Advanced攻略:役務取引の基本概念

 

本日もSTC Advanced攻略のお話です。

役務取引(技術提供)を理解する上で、場所の判断と居住者非居住者の区分は非常に重要な概念です。

 

【特定技術提供が規制される2つのケース】

  1. 地理的視点での規制
  • 特定技術を外国において提供する場合
  • 提供者・受領者の居住性に関係なく規制対象
  • つまり、居住者同士の取引であっても、居住者→非居住者であっても、取引場所が外国であれば、規制対象となります。
  • 特定技術を受け取る居住者が、たまたま出張で海外にいたという場合は該当しません。
  1. 人的視点での規制
  • 特定技術を居住者から非居住者へ提供する場合
  • 提供場所に関係なく規制対象
  • つまり、取引場所が日本国内であっても、外国であっても規制対象となります。

 

【居住者と非居住者の定義と判断基準】

  1. 居住者
  • 日本国内に住所または居所を有する自然人
  • 日本国内に主たる事務所を有する法人
  • 外国人でも以下の場合は居住者:
    • 入国後6ヶ月経過
    • 日本国内の事務所に勤務
  1. 非居住者
  • 外国に住所または居所を有する自然人
  • 外国に主たる事務所を有する法人
  • 日本人でも外国に2年以上滞在する場合は非居住者

 

 

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STC Advanced攻略:特定類型に関する理解

特定類型に関しても出題傾向が高い問題ですね。

【特定類型とは】

非居住者(特定国)から強い影響を受けている居住者のことを指します

ここで言う非居住者は、外国政府等・外国法人等を指しますが、居住者とは自然人を指します。

特定類型は、あくまで個別に審査で確認する必要がある場合をまとめたもので、特定類型に該当するからといって安全保障上懸念がある者とみなされるわけではない。

つまり、特定類型に該当するからといって、即座に役務取引申請が必要というわけではなく、確認する必要がある、という事です。

 

【3つの特定類型】

特定類型①

  • 対象:契約に基づき、外国政府等・外国法人等支配下にある者

  • ポイント:

    • ここで言う外国政府等・外国法人等は国内に拠点のない企業が対象

    • つまり外資系企業(外国企業の子会社である本邦法人)は含まれない

特定類型②

  • 対象:経済的利益に基づき、外国政府等支配下にある者

  • ポイント:

    • 留学資金の提供や、研究費、生活費の提供など

    • 年間所得のうち、25%以上を占める金銭その他利益をいう

特定類型③

  • 対象:国内で外国政府等の指示下で行動する者

 

 

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STC Advanced攻略:用語の解釈(役務通達)

運用通達と役務通達に関しての出題もSTC Advancedでは頻度の高い問題となっていますね。

 

運用通達は

輸出令別表第一の中で解釈を要する言葉が定められています。

 

役務通達は

外為令別表の中で解釈を要する言葉が定められています。

 

つまり

運用通達=貨物

役務通達=技術 と言うことです。

 

特に試験で重要なのが役務通達1(3)で定義されている以下の用語の解釈です。

 

技術ー

貨物の設計、製造又は使用に必要な特定の情報

 

設計ー

設計研究、設計解析、設計概念、プロトタイプの製作及び試験、パイロット生産計画、設計データ、設計データを製品に変化させる過程、外観設計、総合設計、レイアウト等の一連の製造過程の前段階のすべての段階

 

製造ー

建設、生産エンジニアリング、製品化、統合、組立て(アセンブリ)、検査、試験、品質保証等のすべての製造工程  

 

使用ー

操作、据付(現地据付を含む。)、保守(点検)、修理、オーバーホール、分解修理

ただし、外為令別表の1の項及び3の項の「使用」については別に定めています。

 

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