約27年前に台湾人男性と結婚して台湾に移り住んだフィリピン出身の阿珍さんは、法律を熟知していなかったために在留資格の延長手続きを行わず、約16年にわたって在留資格がない状態で2人の子どもと共に台湾で生活を送っていた。中部・彰化県政府警察局は4日、阿珍さんが同局などのサポートにより再び在留資格を手にしたと紹介した。
阿珍さんは在留資格を失った時にはすでにフィリピンの国籍を放棄しており、帰国は不可能な状態だった。また夫とは離婚し、元夫はその後、亡くなった。阿珍さんは合法的な身分がない状態での滞在が発覚することを恐れ、体調を崩した際も医療機関には行かずに薬局で薬を買うことしかできなかったという。その後、事情を少しずつ分かり始めた子どもが心配し、行政に助けを求めた。
内政部(内務省)移民署中区事務大隊彰化県サービスセンターは知らせを受けると、人道的観点や家族が共に暮らす権利を考慮し、阿珍さんの科料支払いや在留資格の再申請を支援した。新しい居留証(在留カード)は、台湾で家族と共に過ごす日とされている中秋節(今年は今月17日)前に阿珍さんの元に渡る見込みだという。
阿珍さんは「生活は経済的には豊かではないが、台湾はもう自身の故郷になっている」とコメント。やっと堂々と生活を送れると喜びを示し、今後は在留資格の期限に気を付けると語った。