1人の生徒が1つの公立高校にしか出願できない「単願制」、河野太郎氏が問題視--「困窮家庭に不利」

 「ほとんどの都道府県では、公立高校の入試に単願制、つまり1人の生徒が1つの公立高校にしか出願できない制度をとっているが、公平性の観点から大きな問題がある」──。

 そう問題提起したのは、前デジタル大臣の河野太郎氏だ。

 「単願制の下では、家庭の経済力に不安がある生徒は、難関校に挑戦したくても落ちた時には私立しか選択肢がなくなるので、安全なところを受けざるをえなかったり、塾に行っていない生徒は、受験に関する十分な情報が得られず、どのレベルならば自分は受かるのかを正確に把握できなかったりなど、不公平かつ非効率な状況を生み出している」(河野氏)

●河野氏が導入を提言「受け入れ保留アルゴリズム」とは

 一方で「単に併願制を導入しただけでは、複数の高校に合格した生徒が選ばなかった高校が、その欠員分を補欠から合格させ、また、そこで欠員が出てうんぬんが続く、非効率なことになる」とも指摘し、次のように述べた。

 「今、東京大学の小島武仁、野田俊也、慶応大学の中室牧子などが提唱している「受け入れ保留アルゴリズム」(DA)方式と呼ばれる制度を、公立高校の入試に導入すべきだ」

 同アルゴリズムでは、生徒は第一志望から順に志望校リストを提出。次に都道府県ごとの統一試験において、得点順に上位から第一志望校に生徒を割り当てる。もし高校の定員がいっぱいになると、その学校を第一志望とした生徒は次の希望校へ振り分けられる。このプロセスを繰り返すというものだ。

 志望校の合格最低点を達成していれば、リストの順位通りに確実に入学できるため、生徒は安全策として志望校を下げる必要がなくなる。そして、経済的背景に関係なく、全ての生徒が自分の希望に基づいて受験に挑戦できる環境が整うというわけだ。

 同アルゴリズムは、ニューヨークの公立高校入試で実績があり、理論的にも優れた方法とされているという。また「システム開発以外のコストがほとんどかからず、デジタル化の進展により容易に導入可能できる」と河野氏は語る。

●「デジタル庁主導で開発を」

 そのうえで河野氏は、自身がデジタル大臣を務めていた際に、高校の入試書類をデジタルで送付できるシステムを開発し、その運用が来年の入試から始まると説明。

 「ですから、その次は(DA方式のためのシステム)をデジタル庁で主導して開発し、各都道府県で使えるように提供するだけだ」と結んだ。

 河野氏の投稿に対し、富山県知事の新田八朗氏も投稿。「私も県立高校の複数志願制を導入したいと思っていたが、アメリカで実施されているアルゴリズムはもの凄く複雑だと分かり一県では難しいと思っていた。デジ庁で取り組んでいただけるならありがたい」と好意的なメッセージを送った。

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