PFU(石川県かほく市)は、ドキュメントスキャナー「ScanSnap」向けのクラウドサービス「ScanSnap Cloud」の監視、運用、保守にオブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を採用した。New Relicが3月18日に発表した。
ScanSnap Cloudは、「Microsoft Azure」の日本・北米・欧州の3リージョンから世界約40カ国にサービスを提供しており、ピーク時には1分当たり650件のオンライン処理が発生する。New Relic導入以前は、経験豊富なエンジニアが独自の「問題検知アプローチ」と「状況把握とトラブルシューティング」を実施していたが、導入後は、顧客体験のリアルタイム把握が可能になり、問題解決が迅速化した。
ScanSnap Cloudのサービス基盤システムは、ユーザーの増加、機能の拡張、連携するクラウドサービスの拡大、マイクロサービスアーキテクチャーへの移行などによって、急速に複雑化していた。そのため、未知の不具合が発生した場合、解決に時間がかかるようになっていた。
例えば、SNSへの投稿確認でユーザーのクレームに気が付いた後に、大量のログを関連付けて問題解決に当たるなど、エンジニアが独自の「問題検知アプローチ」と「状況把握とトラブルシューティング」を行っていた。New Relicが導入されたことで、顧客体験をリアルタイムで把握することが可能になり、サービス品質に影響する不具合を迅速に解決できるようになった。
さらに、New Relicを活用することで、チーム全体の監視・運用・保守能力が向上した。ベテランエンジニアの知識をNew Relicに組み込むことで、経験の浅いメンバーでも同等の運用が可能になった。これにより、ScanSnap Cloudの処理遅延や停止を即座に把握し、顧客体験を悪化させる原因を迅速に特定できるようになった。結果として、問題検知から初期調査までの作業はほぼなくなり、従来は半日を要していたシステムパトロールの業務も不要になった。
運用業務においても、New Relicのダッシュボードやスクリプト開発など、顧客体験の向上と運用効率化を両立させるための取り組みや、技術継承に費やせるようになった。