調査会社Counterpointの最新レポートによると、スマートウォッチ市場は初めて減少に転じたという。2024年のスマートウォッチ出荷台数は前年比で7%減で、Apple製品の低迷がその一因となっている可能性がある。
同社によると、競争の激化とアップグレードサイクルの弱体化が原因で、同期間中に「Apple Watch」の出荷率が19%減少した。
シニアリサーチアナリストのAnshika Jain氏はレポートで次のように述べる。「『Apple Watch Series 10』の発売にもかかわらず、Apple Watchは(初代モデルの登場から)10周年で勢いを失った。最大の要因は北米市場で、『Apple Watch Ultra 3』が発表されなかったことや、Apple Watch Series 10の機能強化が少なかったことが、消費者に購入を控えさせた」
Appleのウェアラブルデバイスがこの1年で魅力を失っている理由は幾つか存在する。特許紛争から逃れることができなかった血中酸素濃度センサーや、ウェアラブル分野における競争の激化など、同社は出荷台数を低迷させる可能性のあるさまざまな要因に直面している。
1. 血中酸素センサー
Appleは2024年、Apple Watchに搭載されている血中酸素センサーの特許を巡る争いで、医療機器メーカーのMasimoに敗訴した。このため、2024年1月18日以降に米国のAppleで販売されたApple Watchでは、同機能が使用できなくなっている。これが消費者の不評を買った。掲示板サイト「Reddit」では、同機能が復活したらApple Watchの購入を検討するという声が挙がっている。
その間も、華為技術(ファーウェイ)の「HUAWEI WATCH D2」をはじめとする競合製品には血中酸素センサーが搭載されている。Counterpointのレポートによると、ファーウェイは前年比で35%の出荷増だったという。
2. 通知マシンであること
筆者は数週間前、あるテックイベントで友人と話をした。彼はApple Watchのほかに、フィットネストラッカーの「Whoop」も着用していた。なぜ両方を着用しているのか聞いてみると、Whoopは活動と回復の追跡、健康状態の監視に優れている一方で、Apple Watchは通知を受け取るために使っていると教えてくれた。
Apple Watchの用途の1つは、利用者の健康状態を把握することである。しかしながら、Appleは、Apple Watchを健康管理のための機器としてだけでなく、小型のスマートフォンとしてより広範に活用できるように、さまざまな機能も開発してきた。例えば、Apple Watchで電話に出たり、テキストメッセージを送信したり、タイマーやリマインダーを設定したり、地図アプリでナビゲーションを利用したりすることができる。
これらのタスクを実行するためなら、最新のApple Watchでなくても構わない。実際、数世代前のモデルでも同じことが可能であり、これらのデバイスはスマートフォンよりも寿命が長い傾向にある。それが、顧客による最新世代の購入を遅らせる可能性がある。