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クリアワイア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クリアワイア
Clearwire Corporation.
CLEARWIRE LOGO.png
種類 スプリントの100%子会社
本店所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ワシントン州ベルビュー
事業内容 移動体通信、インターネット接続、通信サービスの卸売
主要株主 スプリント (100%)
関係する人物 クレイグ・マッコー ジョン・スタントン ウィリアム・モロー
外部リンク http://www.clearwire.com
特記事項:以上のデータは、2013年7月のスプリントによる100%子会社化された時のもの。2016年現在、クリアワイアの会社登記がペーパー・カンパニーとして存在するのかは不明。
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クリアワイア英語: Clearwire Corporation)は、かつて存在したアメリカ合衆国のブロードバンドサービス事業者。モバイルWiMAXによる移動体通信(ほぼ、スプリントのユーザー向け)とWiMAXによる固定接続のサービスを提供していた。2013年7月に、ソフトバンク(現在のソフトバンクグループ)が、スプリントを買収するのとともに、クリアワイアは、スプリントの100%子会社となった。

概要

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現在のクリアワイアは、2008年12月に、スプリント・ネクステルのWiMAX部門であるXOHMビジネスユニットとクリアワイアが合併して成立した。筆頭株主は、スプリント・ネクステルで、54%の株式保有。スプリントからは、CEOのダン・ヘッセを含め数名が取締役または役員で参加[1]。 新クリアワイアのブランドは「Clear」となり経営陣は旧クリアワイアからクレイグ・マッコーとベンジャミン・ウォルフが、それぞれ横滑りで、会長とCEOに就任した。

2011年には、伸び悩むWiMAXからTD-LTEへ方針転換し[2]2013年中に全国規模TD-LTEネットワークを構築することを表明していた[3]

沿革

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創業期

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現在のクリアワイアのルーツは、1998年に、Sierra Technologiesが、無線ネットワーク開発の社内部門を、クリアワイア(Clearwire Technologies Inc.)として、スピンオフさせたことに始まる。[4]当時も今も、ブロードバンド接続の為の一般的な方法は、ケーブルTVのケーブル・インターネットか、電話線を使ったADSLであったが、国土が広大なアメリカでは、どちらも利用できない地域が多数存在した。クリアワイアの設立目的は、無線によって、有線ブロードバンド接続相当もしくは、すくなくともダイアルアップ接続より遥かに高速な接続を、サービスとして提供することであった。

クレイグ・マッコー

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スプリントと提携

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ソフトバンク傘下へ

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年表

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  • 1998年 Sierra Technologiesが、クリアワイア(Clearwire Technologies Inc.)を、無線によるラストワンマイル接続サービスの為に、分離して設立する。本社は、アーリントン(テキサス州)[4]
  • 2004年4月 マッコーセルラーの創業者で、億万長者のクレイグ・マッコーが、クリアワイアを買収し、本社をダラス(テキサス州)から、カークランド(ワシントン州)に移す。買収額は、非公表[5]
  • 2004年9月 クリアワイアが、1.6億ドルでNextNetを買収する[6]
  • 2006年7月 クリアワイアが、NextNetをモトローラに売却。同時に、インテル、モトローラから、9億ドルを調達。[7]
  • 2007年3月 クリアワイア、NASDAQに上場。IPO価格は、1株25ドルで、約6億ドルを調達[8]
  • 2008年5月7日 スプリントネクステル、クリアワイア、インテル、グーグルコムキャストタイム・ワーナーブライトハウス・ネットワークが合弁会社設立で合意。合意案では、スプリント・ネクステルが51%株主。インテルなど5社は、32億ドルの追加出資[9]
  • 2008年12月1日 上記、スプリント・ネクステルのXOHMビジネスユニットとの合併手続きが完了。新会社は、スプリント・ネクステルが54%保有の筆頭株主[1]
  • 2009年1月 Clearブランドとして初のモバイルWiMAXブロードバンドサービスをポートランド(オレゴン州)でサービスイン[10]
  • 2009年3月10日 ウィリアム・モロー(最後のボーダフォンジャパン社長)がCEOに就任し、ベンジャミン・ウォルフは副会長に退く。
  • 2010年5月 インテルとのWiMAX独占契約解消[11]
  • 2010年8月4日 LTEネットワークの試験実施を発表
  • 2010年9月1日 日米間相互WiMAXサービスが利用開始[12]
  • 2010年11月 従業員15%を解雇し、約15億6,000万ドルを出資者から調達。スプリント11億7600万ドル、コムキャスト1億9600万ドル、タイムワーナー1億300万ドル、インテル5000万ドル、イーグルリバー2000万ドル、ブライトハウス1900万ドル)[13]
  • 2010年12月31日 クレイグ・マッコーが、会長から退任してすべての役職から退く[14]
  • 2011年1月18日 ウェスタン・ワイヤレスボイスストリーム・ワイヤレスの創業者であるジョン・スタントンが、取締役会会長に指名され就任する[15]
  • 2011年3月10日 ウィリアム・モローがCEOを退任しジョン・スタントン会長がCEO兼務[16]
  • 2011年4月 スプリントとの間に2年間で10億ドルのWiMAXサービス提供を約する契約を締結した[17]
  • 2011年10月7日 スプリント・ネクステルが2012中ごろに、1900MHz帯でLTEのサービスを始めると発表 [18]
  • 2011年12月13日 新たに7億3400万ドルを調達(公募から4億250万ドル、スプリントから3億3140万ドル)[19]
  • 2012年3月1日 グーグル、全保有株、約6.5%を総額6650万ドル(約54億円)1株2.26ドルで売却[20]
  • 2012年10月15日 ソフトバンク社長、孫正義とスプリント・ネクステルCEOのダン・ヘッセは東京で共同記者会見を行い、両社の取締役会が、ソフトバンクが201億ドル(約1兆5,000億円)でスプリント・ネクステルの株式70%を取得することを承認した、と発表した[21]
  • 2012年10月18日 クレイグ・マッコーの投資会社イーグルリバーがスプリントへ持ち株4.5%を約1億ドル(1株2.97ドル)で譲渡したことが明るみに。譲渡後のスプリント保有率は50.8%[22]
  • 2012年12月17日 スプリントの買収提案に合意。残り49%を総額22億ドルで取得。1株2.97ドル[23]
  • 2013年1月8日 ディッシュネットワークがクリアワイアに対し、1株3.3ドルで買収を提案[24]
  • 2013年5月22日 スプリントが買収額を1株3.4ドルまで引き上げると発表[25]
  • 2013年5月29日 ディッシュネットワークが、TOB価格を1株4.4ドルに引き上げる[26]
  • 2013年6月20日 スプリントが買収額を1株5ドル、総額39億ドルまで引き上げると発表[27]
  • 2013年6月27日 ディッシュは買収提案を取り下げると発表[28]
  • 2013年7月8日 臨時株主総会でスプリントの完全子会社化案を承認[29]
  • 2013年9月 スプリントが、クリアワイアの約75%の人員を削減することが明らかになる。[30]

脚注

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  1. ^ a b Christopher Price (2008年12月1日). “Sprint Completes Cleawire Merger,Clear will replace XOHM” (English). phonenews.com. http://www.phonenews.com/sprint-completes-clearwire-clear-will-replace-xohm-5650/ 2013年7月17日閲覧。 
  2. ^ モバイルWiMAXからTD-LTEへのシフトを進める”. 日経BP (2012年3月7日). 2013年6月27日閲覧。
  3. ^ “クリアワイヤ、ファーウェイ製品採用へ - LTEネットワーク構築で”. WirelessWire News. (2012年10月29日). オリジナルの2013年1月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130129192103/http://wirelesswire.jp/Watching_World/201210291134.html 2018年9月30日閲覧。 
  4. ^ a b Jeff Bounds (1999年3月7日). “Clearwire goes `last mile' for wireless hookup” (English). Dallas Business Journal. http://www.bizjournals.com/dallas/stories/1999/03/08/newscolumn6.html 2013年7月27日閲覧。 
  5. ^ Tricia Duryee (2004年4月30日). “McCaw building another venture”. Seattle Times. http://community.seattletimes.nwsource.com/archive/?date=20040430&slug=clearwire30 2013年7月16日閲覧。 
  6. ^ Mark Reilly (2004年9月19日). “NextNet buyer Clearwire lands $160M”. Minneapolis St. Paul Business Journal. http://www.bizjournals.com/twincities/stories/2004/09/20/newscolumn1.html?page=all 2013年7月17日閲覧。 
  7. ^ Mark Reilly (2006年7月16日). “Motorola gets NextNet in 3-way transaction” (English). Mineapolis St Paul Business Journal. http://www.bizjournals.com/twincities/stories/2006/07/17/story1.html 2013年7月19日閲覧。 
  8. ^ John Cook (2007年3月7日). “Clearwire IPO nets $600 million”. Seattle Post Intelligence. http://www.seattlepi.com/business/article/Clearwire-IPO-nets-600-million-1230466.php 2013年7月17日閲覧。 
  9. ^ Sprint and Clearwire to Combine WiMAX Businesses, Creating a New Mobile Broadband Company”. Sprint Nextel (2008年5月7日). 2013年7月19日閲覧。
  10. ^ Jodi Mottl (2009年1月7日). “逆風のなか、Clearwire がオレゴン州で WiMAX サービスを開始”. インターネットコム. オリジナルの2009年2月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090227035635/http://japan.internet.com:80/allnet/20090107/11.html 2018年9月30日閲覧。 
  11. ^ “米クリアワイヤ、インテルとのWiMAX独占契約を解消、LTEも視野に”. ICR. (2010年9月27日). http://www.icr.co.jp/newsletter/report_tands/2010/s2010TS256_3.html 2013年6月27日閲覧。 
  12. ^ 海外で使えるWiMAX「WORLD WiMAX」について”. UQコミュニケーションズ (2010年8月31日). 2013年6月27日閲覧。
  13. ^ “クリアワイヤ、資金難で従業員の15%を削減へ - 加入者数増加も赤字幅拡大”. WirelessWire News. (2010年11月5日). オリジナルの2013年5月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130515030358/http://wirelesswire.jp/Watching_World/201011051111.html 2018年9月30日閲覧。 
  14. ^ Shayndi Raice (2010年12月31日). “Craig McCaw to Resign as Clearwire Chairman”. Wall Street Journal. http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703909904576052413367715204.html 2013年7月17日閲覧。 
  15. ^ Stephen Lawson (2011年1月18日). “Clearwire Names John Stanton as Chairman” (English). PCWorld. 2013年7月17日閲覧。
  16. ^ “混迷を深める米携帯通信業界 - クリアワイヤ、ビル・モローCEOの退任を発表”. WirelessWire News. (2011年3月11日). オリジナルの2013年7月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130718092617/http://wirelesswire.jp:80/Watching_World/201103111047.html 2018年9月30日閲覧。 
  17. ^ “スプリント、クリアワイヤとの回線使用料をめぐる交渉で決着 - 2年間で10億ドル支払いへ”. WirelessWire News. (2011年4月20日). オリジナルの2014年8月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140828163130/http://wirelesswire.jp/Watching_World/201104201126.html 2018年9月30日閲覧。 
  18. ^ Sprint Accelerates Deployment of Network Vision and Announces National Rollout of 4G LTE” (English). Sprint Nextel (2011年10月7日). 2013年7月26日閲覧。
  19. ^ “クリアワイヤ、7億3400万ドルを調達 - TD-LTE網構築資金を確保”. WirelessWire News. (2011年12月15日). オリジナルの2013年4月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130425185327/http://wirelesswire.jp/Watching_World/201112151324.html 2013年9月30日閲覧。 
  20. ^ “グーグルがクリアワイヤ株売却 投資損失額は予想下回る”. Wall Street Journal. (2012年3月7日). http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-403995.html 2013年6月27日閲覧。 
  21. ^ ソフトバンク (2012年10月15日). “当社によるスプリントの戦略的買収(子会社化)について”. 2012年10月15日閲覧。
  22. ^ “スプリント、イーグル・リバーからクリアワイヤ株取得-関係者”. Bloomberg.co.jp. (2012年10月18日). http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MC2CV26JTSER01.html 2013年6月27日閲覧。 
  23. ^ “米クリアワイヤ、スプリントによる22億ドルの修正買収案に合意”. トムソン・ロイター. (2012年12月18日). http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE8BG00G20121217 2013年6月27日閲覧。 
  24. ^ クリアワイヤにディッシュが対抗買収案-スプリント上回る額”. Bloomberg (2013年1月9日). 2013年7月10日閲覧。
  25. ^ スプリント、クリアワイヤの株式買取価格を引き上げ - 1株3ドル40セントに”. WirelessWire News (2013年5月22日). 2016年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月30日閲覧。
  26. ^ 米ディッシュ:クリアワイヤへの買収案、1株4.4ドルに増額”. Bloomberg (2013年5月30日). 2013年7月10日閲覧。
  27. ^ “米スプリント、クリアワイヤ買収案を引き上げ-1株5ドル”. Bloomberg.co.jp. (2013年6月21日). http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOPH7I6JTSF001.html 2013年7月21日閲覧。 
  28. ^ “DISH、Clearwire買収提案の取り下げを表明”. CNET Japan. (2013年6月27日). http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130627-35033932-cnetj-nb 2013年6月27日閲覧。 
  29. ^ “クリアワイヤ株主がスプリントによる完全子会社化を承認”. Bloomberg. (2013年7月8日). http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MPLPK66JTSEL01.html 2013年7月11日閲覧。 
  30. ^ Alyson Raletz (2013年9月20日). “Sprint axes Clearwire employees”. Kansas City Business Journal. http://www.bizjournals.com/kansascity/news/2013/09/20/sprint-axes-clearwire-employees.html 2013年9月28日閲覧。