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・イランの市民の女性がどんなことを考えているのかうかがい知ることができてよかった。
・先人の民主化運動を引き継ぐという覚悟のある人。すごいと思った。
・女性に対する性犯罪の問題。これはアメリカ、日本と変わらないが、警察と裁判所が問題を複雑にしている。
・イランの(一部の)人々はよりイスラム教から離れてきているように読めた。
・トランスジェンダーの立場は日本よりも弱い。
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描写の名手、金井真紀さんが送る現代イランのスケッチ。
かの国で、悩みながらもしなやかに強く生きる女性たちの軽くて重いエッセイである。
私もイラン滞在経験があるが、男性ということもありなかなかここまで女の人生をえぐるような話を聞く機会には恵まれなかった。
彼女たちが思いっきり息を吸える社会に、いつの日かなるのだろうか。
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私の推し、金井真紀さんの新著。
帯に「世界で一番かっこいい。」とあり、私は心の中で「金井さん、それはちょっとおおげさしぎないかい?」と呼びかけていた。しかし、いらん心配だった。
と、いらん親父ギャグをついつい言ってしまう私のような親父の心にも、じわじわと染み入り、心揺さぶられ、笑いと涙をもたらし、「うん、たしかに世界で一番かっこいい。」って思わせてくれた。とても愛おしい一冊。
そして、希望の一冊でもある。
イランについては、新聞やテレビのニュース映像などで見聞きする、「ヒゲのいかめしい最高指導者が君臨し、宗教の戒律にしばられた、不自由で息苦しい社会」を思い描いていた。地理的にも自分の意識の中でも遠い国だった。
ところが、その不自由な政治・社会体制のなかでも、苦しみながらも、しなやかに自由な精神で今を生きる素敵な女性たちの姿を、著者がやさしい言葉と絵で伝えてくれている。
登場したすべての人々が愛おしく感じられ、一気にイランが身近になった。
時代が逆行するかのような世界の状況だけれど、遠く離れたイランにも、こんな素敵な人たちがいると思うと、まだまだ人間捨てたもんじゃない、と思わせてくれる。希望を抱かせてくれる。
そうした意味で、希望を感じ、心強く思える一冊である。
「あぁ、どうかそれぞれがその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように。」
と、いう著者の思いに、深く深く共感し、同じ思いを抱きながら、この時代を生きてゆきたいと思う。
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金井真紀さん 前に日本に住んでる世界の人
という本を読みました。
本屋さんで見つけた時
あ、あの金井さんだ!
と 手に取りました。
今回はテヘラン
日本よりはるかに 女の人への制約が多い
服装だけじゃなく 教育も生き方も
こんな制約の多い国に生まれ育っても
この本に出てくる女の人は バイタリティーがありますね。
心があたたかい。
いろんな人にインタビューしていますが 相手の人の似顔絵を描いてるのは 金井さんなんでしょう。
絵を見ただけで あたたかい人柄が伝わってきます。
日本でもLGBTの人たちは生きにくいんだろうけど
よくイランで お話し聞けましたねえ!
通訳の方も金井さんの人柄がわかってるから セッティングできたんでしょうね。
この本読んで イランていい人がいっぱいいる国なんだなあ!と思いました。
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テヘランのすてきな女
著者:金井真紀
発行:2024年6月30日
晶文社
随分と評価されている本。著者はイラストレーターでもあるため、イランの女性達の〝素顔〟が絵と文とで表現されている。イランに女子相撲があると知った著者が、テヘラン留学経験のある編集担当者に話をすると、著者がイランで相撲を取るという企画でいきましょうということになり、イランへ行くことに。2023年11月に取材したものを、半年あまりで本にして出版している。
イランでは、2022年秋から「反スカーフデモ」が行われ、日本でも報道された。この年の9月にテヘランを歩いていた22歳の女性が逮捕された。スカーフのかぶり方が不適切だという理由。彼女は取調中に意識を失い、病院で死亡、反スカーフデモが繰り広げられた。女性に義務づけられているスカーフ着用。髪をすべて隠さないといけない。以前はのばすと4メートルほどになるチャドルという黒いシーツみたいなもので肩から下も覆わないといけなかった。
そんなイランを訪れた著者が現地で見たもの。それはすなわち読者である我々が接する事実なのでもあるが、イランの女性たちは、スカーフやチャドルの下で、ある面で日本よりずっと自由な生活を送っていたのだった。例えば、イランの女性の6割以上が豊胸手術をしているという驚きの事実を知る。体の線が出ない服を着ているのに、なんのため?聞けば年齢は10代から40代までと幅広い。夫のためにするのかと思ったら、きっぱり否定された。「手術は自分の体を好きになるためよ」。日本には「身体髪膚(はっぷ)これを父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始めなり」という考えがあるが、イラン女性の自由さが分かるとうものである。
なお、その話を聞いたのは、美容整形医と希望者をコーディネートする仕事の女性。イランでの美容整形技術は、イラン・イラク戦争で体の一部を失った人のために発達したとのこと。納得できる話だった。
イランでは、テヘランを中心にさまざまな女性達に会い、話を聞いている。一人だけ男性がいたが、それは26年前にタリバンが支配しはじめたアフガニスタンから脱出し、イランで果物屋をしている男性だった。パスポートが切れるたびに申請し、何か月もかかり、その間は銀行でお金が下ろせないという不自由さがありながらも、アフガニスタンよりはずっといいからイランで暮らしている。弟たちも呼び寄せた。そして、妻も10歳の時にアフガニスタンから家族で移住してきた女性。その女性に聞くと、イランは豊かで自由だわ、という。日本人には不自由なイメージのあるイランだが、その言葉からタリバンが支配するアフガニスタンの不自由さと貧しさが知れようというものである。
イスラム法で、レイプは死刑。また、イランでは婚前交渉が犯罪であり、レイプの裁判でレイプではなく合意だったと認定されると、男女ともに有罪となる。鞭打ち100回。ただ、レイプの死刑をかろうじて免れた裁判で、女性には鞭打ちなしというケースもあるようだ。最近は、死刑をさける裁判官が多いという。
右から左へ綴るペルシア語の本は、縦組みの日本の本と同じで右とじ。
美容院の取材に行く。髪を切る前に眉毛の手入れをしていた。余分な眉毛を抜く。痛くないからやってみるか?の誘い。聞けば、眉毛にも流行があり、最近は太いのが人気だという。少ない人は、髪の毛を植毛するという。なんと、植毛して整えてから余分な眉毛を抜いて整える。非常にお洒落。
髪は、サイドにそり込み2本を入れている女性。スカーフの下は自由。
通訳の女性は、鹿児島から北海道まで夫と3ヶ月かけて自転車で縦断したという。「わたしたちは日本を自転車で縦断した最初のイラン人だと思う」。
性的マイノリティにも取材した。3人。一人は女性として生まれたが、男性を自認している。男性になる手術を申請して2年になる。「イランは世界で一番性転換手術が多い」という。理由は、同性愛は死刑だから。好きな人と一緒にいたい場合は手術するしかない。ゲイの場合は、バレると1回で死刑になる。レズビアンの場合は3回までは鞭打ち、4回目に死刑。
あとの2人は、レズビアンの女性、バイの女性。最後にオチがあり、実は最初のトランスジェンダーで男性自認の人と、バイの女性は、つきあっている。
1979年1月、パーレビ国王が逃亡し、2月に亡命中のホメイニが帰国してイスラム革命が達成された。取材した女性の姉は革命支持、父親は反対だった。それまで、アメリカ政府のもとで強権をふりかざし、SAVAKとい恐ろしい秘密警察が反対する人々を逮捕しまくり、拷問しまくっていた。革命後、そのSAVAKはなくなったが革命防衛隊、情報省、風紀警察などが誕生した。服装や生活はイスラム教のルールで厳しく管理、蜜月だったアメリカからは経済制裁を受ける。権力者による富の独占は酷くなった。わびる姉。
アメリカによる経済制裁を受けている現在、イランの人は誰もクレジットカードをつかっていない。ビザもマスターズもアメックスもない。ネットでのサービスも支払いはクレジットカードではない。
一方で、アメリカのシステムに代わる独自システムもある。イラン版ウーバーイーツ「エスナップ」のバイクが走る。アマゾンはないがディジカラーがある。Kindleの代わりにフィディボとタクチェ、YouTubeの代わりにアーパーラー、Netflixの代わりにもたくさんの動画サービス。
1925年、パフラヴィー朝を興して王位に就いたレザー・シャーは服装改革を行った。男子はパフラヴィー帽とスーツを着用。しかし、真の狙いは女性で、1936年にチャドルとスカーフを禁止した。王族の女性たちは率先して髪を露わにし、洋装で外出した。しかし、これに大きな反発が起きた。だが、権力側はチャドルやスカーフを着用している女性を見かけると無理矢理剥ぎ取っていった。今とはまるで逆。
1941年にレザー・シャーが退位して国を去ると、チャドルとスカーフ禁止は撤回され、自由に。男性のスーツとネクタイは定着した。
1979年、革命後はスカーフで髪をすべて隠すことが義務づけられ、男性は役所にジーンズやネクタイを着用していくことが禁止された。
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初めて読んだ金井真紀さんの著作。
著者がイランで出会った市井の女性たちのたくましい生き様が、丸くてあたたかい文章で綴られます。
ビックリするような理不尽も多いのですが、読み終えて、最終的には何だか勇気がわいてきました。
著者が現地の人たちとサウナやピクニックに行ったり、踊ったりするコラムもとても楽しい。
素敵な本に出会えて嬉しいです。
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とっても良い本だった。何度も読めるように本棚に置いておきたい一冊!金井さんの絵や似顔絵も素敵!*この国ではなにもしなくても危ないでしょ。どうせ危ないんだからデモに参加した方がいいと思って。[中略]私は死ぬまでイランにとどまるつもり。この国が変わるのを見届けたいの。*「どうかそれぞれがその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように」。
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イランという全く馴染みのない国で、普通の女性たちがどんな風に暮らしているのかを教えてくれる。イラストも素敵で、文章も読みやすい。中東とか、イスラム教の国については、戦争とかテロとかそういうニュースばかり目について、実際にその国で普通の人たちはどんなふうに暮らしているのか、今まで殆ど知らなかったので、とても面白かった。
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あらすじ(晶文社)謎めいた国・イランで、女たちの人生を拾い集めた
女は髪を出してはいけない、肌を見せてはいけない。詩を愛するが、酒はない。謎めいたイスラム教国家に生きる女性たちに、文筆家・イラストレーターの金井真紀が会いに行く。公衆浴場、美容院、はては女子相撲部まで、男子禁制スポットにどかどか潜入!
スカーフのかぶり方を監視する風紀警察、国と闘う弁護士、男のフリをしてサッカーをしていた人、移民の子どもに勉強を教える人、命がけの性的マイノリティetc…。ベストセラー『パリのすてきなおじさん』の著者が、テヘランに生きる女たちと、とことんおしゃべり。(https://www.shobunsha.co.jp/?p=8269)
イランについて前提知識がない中でだったけど、読みやすいしとても良かった。(ちゃんと歴史知っておきたいな)
さまざまな制約がある中でそれでも日々を強く、たくましく生きる女性たちに元気をもらえる。
特に弁護士の方の思いには泣きそうになった。最近いい本に出会えてるな〜〜
以下、引用
あぁ、規律になびかない反骨の娘ときちんと守る厳格な娘が親友だなんて、すごくいいな。女の子どうしがお互いの服装については触れない。それでも気が合うから一緒に過ごす。きっとイラン100年の変遷のなかで、そういう人間関係がいくつも積み重ねられてきたのだろう。(p.41)
「この闘いは40年以上前からずっと続いているんです。たくさんの人がこの国を変えようと命がけで闘ってきた。自由を求める雄は先輩から後輩に引き継がれて、一歩ずつ、ここまで運ばれてきたんです。途中で命を落とした人、大事なものを奪われた人もいる。その旗をわたしも繋いでいかなければ、と思っています」(p.56)
「この国ではなにもしなくても危ないでしょ。どうせ危ないんだからデモに参加したほうがいいと思って」
一瞬宙をにらんでから、笑顔に戻る。話しているときの表情がめまぐるしく変わるのが愛らしい。
「たくさんの人が国外に移住するのを見てきたけど、わたしは死ぬまでイランにとどまるつもり。この国が変わるのを見届けたいの」(p.270)
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何度も読み返したい素敵な本だった。
日本に比べて、女性だとぼんやり生きていたら大きな仕事やスポーツなどはできないような環境。
その中でどうやってやりたいことを実現するのか、はたまた国外に行くのか…
自己実現の方法は日本とは大きく違うなと思った。
身内が亡くなった時の慣習など(ケーキを毎週木曜に道ゆく人に配るらしい!)自分の知らない文化も満載で、知的好奇心もとっても刺激された。
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素敵な本だったな〜って思った。今話題のクルド人の方のことも少し載ってた。
たくさんの情報は誰かがそれを発信したい、聞いて欲しい、見てほしいの連続からなっててそれを少しずつ少しづつ自分の頭の中で自分なりに積み重ねていくことの大切を学んだ。
当事者の方たちがいて、著者が足を運んでみて聞いてしたものもを、自分は家にいてコーヒーを飲みながらや、電車に揺られながら、ながら読みで2000円足らずでまた世界の一部を知れることがどれだけ幸せなのかがすごく身に染みた。
ただそこに在るということを認識する、自分なりの住所をその存在に振り分けてみること、それが誰にでもできる一歩めだと思う。
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分類変かな。話を聞いて、書いて、確認取って。そうか、その気になればグーグル翻訳で大体のものは読めるんだ。相撲で髪が見えたら負けと不浄負けの話が出てきてそういうものかと妙に納得したり。ともかくみんな素敵。かっこいい。絵がいい。おばあちゃんやたらくれるあるあるとか。スカーフ大事なのね。締め付けのきつさは時期で変わるのは言われたら当然なんだけど気がついてなかった。
ともかく、おすすめ。
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金井さんのフムフムがテヘランに向かっていた。とっかかりは女子相撲に興味を持ったところから始まったようですが、思い立ったら即行動に移してしまうバイタリティが凄いですね。親しみある文章でサクサク読めるので2度読み3度読みしてしまいました。
反スカーフデモから2年、軟化政策に切り替えたイラン政府の意図はわからないままだけど、監視社会は続いてるようでスカーフ外してる女子が車に乗って監視カメラに撮られても、スマホに「あなたは⚪︎月⚪︎日スカーフしてませんでした。注意してください」とメッセージが届くだけで14日間の車の押収はなくなったとか。えっ、それってディストピア
にいるようで、気が抜けないのですけど、この国の普通からすると穏やかになったのか。
突撃インタビューを繰り広げる金井さん、相手を慮りながらもズバズバ聴いちゃうんです。コミュ症には真似のできない神技で人脈を拓いていきます。
同胞の前では言えないことも金井さんには話せるようで世界に向けて訴えかけてるような内容でした。
レジスタンスで能力的にはヒエアルキー上位の女性たちの話が中心になってるとは思うのですが無茶興味を惹きました。
それぞれの人生が、どれも素晴らしく、ひとつひとつをさらにクローズアップすれば小説や映画にしてもいいくらいのエピソードなんです。
才能ある女性が沢山いらっしゃって素敵すぎました。
私としてはイランの最高峰がダマーヴァンド山で5610mもあるとかクルド人のことにも少し触れてましたが、山岳地帯に暮らす民族って高地順応できてるから憧れなんですけどねw
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イランで生きる女性たちの姿に励まされる。日本で安穏のうちに生きている私にはきっと想像もつかない苦しみや悲しみ、不条理があると思うが、そのなかでも力強く生きる姿がとても素敵。今はそれどころじゃない情勢だけど、いつか訪れてみたい国になった。
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作者さんのことば
「どうかそれぞれがその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように。」
…それに尽きます。
本の途中で、「夢はなんですか?と聞ける世界ばかりじゃない」的なことが書かれているところがありましたが、ホント、ハッとさせられました。
イランですら難しい人生を送ってる方もいる中で、そのイランに移住して「幸せだ!」と言ってる人すらいる…
別に上目線とかではないが、なんと自分は恵まれていることかと、怖くさえ思う。
この感覚を知ると知らないでは大きなこと。
そういう意味でもよい読書経験となりました!