今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。
原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟とは。
森永卓郎氏と、息子の康平氏がいまの日本のさまざまな病巣についてガチンコで語り合った魂の一冊『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第22回
『高市早苗氏の総裁選落選で「令和恐慌」が到来!?…森永卓郎が最期に解き明かした「財務省対安倍政権の亡霊」の構図』より続く。
議席を4倍に増やした国民民主党
2024年10月27日の解散総選挙で、与党が過半数割れしたことで、キャスティングボートを握ったのは、議席を4倍に増やした玉木雄一郎代表率いる国民民主党だった。
玉木代表は公約として掲げた消費税率の半減、ガソリン税のトリガー条項発動、基礎控除の拡大などによる課税最低限の103万円から178万円への引き上げの3点をメインとした政策要求を政府に対して続けているが、中心となっているのは、103万円の壁の引き上げ、基礎控除の拡大だ。
この減税策は、国民の手取りを増やす即効性があり、とても有効なのだが、そこに立ちはだかっているのは、与党ではなく、財務省だ。財務省は、早速、大手マスメディアを使って「そんなことをしたら7兆〜8兆円の歳入欠陥が生ずる。そんなバラマキは許されない」という論調を作り上げた。財務省にとっては、玉木代表が要求する減税策は、許しがたい暴挙なのだ。