いやこれ他人事ではないと思う事象ですよ。
LINK: 「西武園ゆうえんち」園内での支払い方法の変更について 2024年1月16日
西武園ゆうえんちが2024年3月1日より、これまでの園内通貨である西武園通貨(園)から、日本円に変更するという発表を行いました。
西武園ゆうえんちはエンターテイメント系マーケティング会社の刀がプロデュースし、「「心あたたまる幸福感に包まれる世界」をテーマに、1960年代の熱気・活気あふれるあの頃の世界を再現し、来場したゲストを巻き込み続けるライブ感あふれるテーマパークへ再定義」しました。リニューアル施策の一つとして、園内通貨を取り入れていました(1西武園通貨=約12円)。園内では西武園通貨のみが利用できるという設定でしたが、これがなくなることになります。
なお、「園内でのお支払いは原則すべて西武園通貨のみ」であり、かつ「西武園通貨は発行当日限り有効」、そして「西武園通貨の返金はできません」というもので、リニューアル当初から賛否両論でした。
LINK: 西武園通貨 | 西武園ゆうえんち
LINK: トップメッセージ|株式会社 刀
LINK: リニューアルの西武園ゆうえんちでの食事や買い物は独自の園内通貨オンリーに→通貨購入に大行列でお金がなくてご飯が食べられない昭和まで再現する事態に – Togetter
Opinion: From the “D”post
一瞬「刀wwwwww」と思ったけれども、これディズニーでも似たような失敗(?)をしています。
テーマ感を設定で縛る、特にゲストにその設定を強いるというのは非常にリスクが大きく、例えば2019年にオープンした「Star Wars: Galaxy’s Edge」では、設定はかなりきつくて、例えば本エリアはスター・ウォーズ世界そのものであるためにエリア内では「Star Wars: Galaxy’s Edge」のロゴが入ったグッズを売らないとイマジニアが明言していました(あくまで惑星バトゥーのブラック・スパイアという街であり、住人はスター・ウォーズというメタな概念を持たないため)。また、時間軸はエピソード8.5であると明確に定義しており、その結果エピソード4〜6に登場していたダース・ベイダーやヨーダなどのキャラクターが登場できない、という縛りもできてしまいました。
が、2019年にDisney+にて「マンダロリアン」シリーズが配信されると、これがスター・ウォーズ世界では大人気のシリーズとなります。その後本作からは「ボバ・フェット」や「アソーカ」なども派生しますが、これらのストーリーはエピソード6.5の時間軸であり、大人気であるにもかかわらずテーマ観=“設定”の縛りで、Star Wars: Galaxy’s Edgeに登場させられないという問題が出てきました。そのため、大変ニーズが高かったベビーヨーダ(グローグー)関連グッズはStar Wars: Galaxy’s Edgeと通常世界のちょうどギリギリの部分でしか販売できていません。
しかし、2022年にやっぱりこれは破たんします。現在では時代が合わないはずのボバ・フェットやフェネック・シャンド、マンダロリアン(ディン・ジャリン)、グローグー、アソーカもStar Wars: Galaxy’s Edgeに登場しています。Star Wars: Galaxy’s Edgeを作り出したイマジニアとも言うべき、スコット・トローブリッジ自身が釈明とも言えるブログ記事を公開しています。
We are committed to the long history of Batuu and the collection of amazing characters who inhabit the outpost including our legacy characters and original characters and know that we will feel the same about new and future characters from the ever-expanding galaxy of Star Wars storytelling. While we as visitors may be able to experience different stories throughout Star Wars history, the characters on Batuu can not. They will remain in their specific story and timeline and won’t intersect with other characters or stories that would not be appropriate for them.
(翻訳)
私たちは、バトゥーの長い歴史と、レガシーキャラクターやオリジナルキャラクターを含む前哨基地に生息する素晴らしいキャラクターのコレクションを大切にしており、スター・ウォーズの物語が広がり続ける銀河系から生まれた新しいキャラクターや未来のキャラクターについても同じように感じていただけると確信しています。私たち訪問者は、スター・ウォーズの歴史の中でさまざまなストーリーを体験することができますが、バトゥーのキャラクターはそうではありません。彼らは自分たちの特定のストーリーとタイムラインの中に留まり、彼らにとって不適切な他のキャラクターやストーリーと交わることはありません。
https://disneyparks.disney.go.com/blog/2022/05/new-star-wars-characters-coming-to-star-wars-galaxys-edge-at-disneyland-park-just-announced-at-star-wars-celebration/?CMP=SOC-DPFY22Q3wo0526220044H
……このように、テーマ性を“設定”で縛るのは本当にリスクが大きいことで、撤回せざるを得ないときにテーマパークの意義を毀損する可能性もある、というのは非常に注目すべき点かと思います。みんな大好きS.E.A.も、最近はそれに限りなく近い存在です。ちなみにこの反省を生かしたのか、カリフォルニア ディズニーランド・リゾート「アベンジャーズ・キャンパス」は非常に好対照で、エリアの設定が非常に緩く、MCUすらも無関係であるため、いまでもアイアンマンがいますしハンク・ピム博士とも仲良しというマルチバースを引き継いでいます。むしろ現実世界の方が契約に縛られている。
東京ディズニーリゾートだって夢と魔法の王国を名乗りながら、金銭で行列をスキップする行為をそのまま「金銭で行列をスキップする」という、ある意味テーマに沿わない可能性がある手法を使ってるわけで。以前伊集院光氏がラジオでもいってましたけど、買うと妖精の粉がかけられて気が付いたら行列しないで乗れた、みたいな演出も必要なのではないかと思います。その点サンリオピューロランドのレディキティハウスでバラのプレゼントができる(有料)のはすごかった。
あ、ついでに。2024年からはディズニーにまったく関係なかったとしても、エンターテイメントの範疇で、かつ私が興味を持った記事を、余力のある限り投稿していく予定です。たぶん博物館とか美術館とかも。いろいろとよろしくお願いします。