降って湧いたような10万円商品券問題が首相の石破茂を直撃した。朝日、毎日、読売の全国紙3紙は3月17日付朝刊でそろって内閣支持率の急落を報じた。3月3日、石破が主催した衆院1回生議員15人との懇談に際して、事前に「土産品代わり」(石破)に商品券を配ったことが引き金になった。
党内野党と呼ばれた石破が政権の座を射止めることができたのは、金権政治を鋭く批判してきたからにほかならない。その石破が「金権」ならぬ「金券」でつまずいたのではしゃれにならない。懇談が開かれたのは岩手県の山火事が延焼中で、翌日には2025年度予算案が衆院を通過するタイミング。この落差に対する失望感がブーメランのように跳ね返ってきた。
13日午後11時20分すぎ、石破は深夜の首相公邸に記者団を集めて事実関係を認めた。ただしこの場でも一言多い石破の悪い面が顔を出した。違法性を指摘した記者からの質問に石破が反応した。
「(違反は)政治資金規正法の第何条なのかを、おっしゃっていただけますと正確にお答えできます」
石破は酒を飲んでいたのか、赤ら顔だったことも記者を挑発しているかのような印象を与えた。野党側からは容赦のない批判が相次いだ。国民民主党代表の玉木雄一郎は石破の進退にまで踏み込んだ。
「疑惑が払拭できないなら、首相を続けるのは困難だ」