需要の増加を背景に業績が絶好調なコンサル業界。国内の上場コンサルでも、さらなる成長が期待できる企業が多数ある一方、投資の観点から見れば、すでに株価が高水準になっているなど吟味が必要な銘柄も存在する。では、コンサルの中で“投資妙味”があるといえる銘柄はどれなのか。特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#4では、コンサル業界の主要銘柄の分析をお届けする。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
ベイカレが高成長でコンサル代表銘柄に
“投資妙味”があるのは?
デジタルトランスフォーメーション(DX)や業務改革のニーズの高まりなどを背景に、ここ数年、コンサルティング業界の需要は爆増し、多くのファームが高業績に沸いてきた。
例えば、上場コンサルファームの雄であるベイカレントは、コンサル市場の拡大とともに業績が急伸、株式市場を代表するテンバガー(10倍株)にのし上がった有数の銘柄だ。売上高の成長率はこれまで20%以上をキープ。その成長力は衰えることなく、2029年2月期には、24年2月期の約2.6倍となる売上高2500億円を達成する目標を掲げている。直近で時価総額は「1兆円超え」も記録しているなど、まさに絶好調だ。
もともと、コンサル業界の需要が底堅いことに加えて、国内系のファームには“追い風”が吹いているといわれてきた。
その理由の一つが、ビッグ4などの海外系ファームと比較して、国内系ファームはグローバル本社への「ロイヤルティー」を支払う必要がないことだ。これにより、価格競争力が増すほか、人材採用などにもコストをかけられるため、高年収で人材を獲得できることが強みとなってきた。
加えて、ベイカレントなど一部のファームでは、コンサル部隊と営業担当を切り分けているほか、特定の領域やプロジェクトに人員を固定させないワンプール制を採用しており、これらのビジネスモデル上の特徴も有利に働いてきた。コンサルタントの高い稼働率を維持できるほか、顧客へのサービスに注力できるといったメリットが生じる。そうした固有の強みを背景に、国内系である上場コンサル企業も大きな業績成長を実現してきたのだ。
とはいえ、コンサル企業なら手当たり次第に投資していいかといえば、そんなことは決してない。投資の観点で見た場合は、当然、冷静な吟味も必要だ。
「コンサル業界は全体的に強いとみているが、その中でも個別銘柄に濃淡があるのは確かだ」。コンサル業界などを担当する岡三証券の芦澤正助アナリストはそう指摘する。
好調な業界だからこそ、業績のリスクはないかをしっかりとチェックすることが重要だ。さらにいえば、高い成長期待が掛かっているだけに、株価の水準も重要なポイント。“高値つかみ”にならないかどうかの確認も必要だ。
次ページでは、三つの注目銘柄について解説するとともに、その中でも芦澤氏が“推し”とする有望銘柄について解説しよう。そこからは、それぞれの“優勝劣敗”や強みと弱みが、はっきりと見えてきた。