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先端テクノロジーが、我々の生活や産業に非連続な変化をもたらす時代となった。各種の調査リポートなどからテクノロジーそのもののトレンドを把握することはできる。だが、そのテクノロジーが社会にどのような影響を及ぼし、どんな変化をもたらすのかを見通せないことには、みずからの未来を設計することは難しい。流れに身を任せて未来の到来を待つのではなく、あるべき未来を形づくるために知るべき世界観と意思決定の指針を、デロイト トーマツ コンサルティングの2人の専門家へのインタビューを通じて浮き彫りにしていく。
先端テクノロジーがつくり出す「鏡の世界」
不確かな近未来の姿を捉えるうえで参考にしたいのが、デロイトが提示する5つの世界観(*1)である。グローバルで約45万人のプロフェッショナルを擁するデロイトの洞察力に基づいて描き出された2030年の世界観は、次の通りだ。
内なる世界/Inner World
テクノロジーは人の体を治癒するだけでなく、長寿や根源的な健康、そして人間の能力を強化するといった世界が現出する。
外たる世界/Off World
宇宙の豊富な資源と微重力環境を利用することで、新たなエネルギー源の開発、どこからでも接続可能なネットワークの構築、先進的な製造手法の開発などが進む。
争いの世界/War World
テクノロジーが地政学的な敵対行動の中心となり、デジタル領域の中でも戦場を拡大させ、サイバー攻撃が金融と物理的インフラを脅かす。
居住可能な世界/Habitable World
環境適応型のスマートインフラ、二酸化炭素の回収・貯留、クリーンエネルギーなどの技術が、地球の持続可能性を高める。
鏡の世界/Mirror World
テクノロジーが現実世界のデジタルツインをつくり出し、新しい形のコミュニケーションや社交、コミュニティの形成、革新的なプロトタイピングなどを可能にする。
この5つの中でも本稿では特に「鏡の世界」を掘り下げ、それを支えるキーファクターである「空間コンピューティング」「量子コンピューティング」のハイブリッドな活用が切り拓く可能性について、デロイト トーマツ コンサルティングの先端技術R&Dチームをリードする寺園知広氏と、量子技術プロジェクトを統括する寺部雅能氏に聞いていく。