暖かくなってもう春かと思っていたら、雨が寒気を連れ戻してきました。 街角にちょこんと花開いた梅や桜も雨に流されてしまうのでしょう。 そういえば、「桜流し」という言葉あるのですが、散った桜が水に流れていく模様と、そこから転じてでしょうか、桜の時期に降る雨を指すようです。 桜を美しいと感じるのは、その陰にいつか散ることが予感されているからではないでしょうか。 良寛は「散る桜 残る桜も 散る桜」と詠みました。 散ってしまった桜も、枝に残っている桜も、いずれ散ってしまう桜だ。 別れたモノも、手元にあるモノも、いずれ手放さなければならないという点では同じである。 井伏鱒二は于武陵の「勧酒」という漢詩を次…