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インタビュー
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以下の文章は、Michael Weinberg による Licensing Deals Between AI Companies and Large Publishers are Probably Bad の日本語訳である。 AI 企業と大手出版社のライセンス契約は、ほぼ皆にとってマズいことになるかもしれない。その契約で小切手を直接受け取ることがない人にとっては特に。 Getty Images や音楽レーベルなど大手コンテンツ企業からの初期の著作権訴訟が未だ絶賛継続中だが(定期的に新たな訴訟が起こされている)、最近では大手のコンテンツ保有者と AI 企業の間でライセンス契約が結ばれるのも続いている。 個々のコンテンツ企業にとってその契約が賢明かは脇に置くとして、こうしたライセンス契約が、当事者以外のほぼ全員に悪い結果をもたらすのを私は恐れている。こうした合意を締結する企業の大半は(世論の圧
以下の文章は、Paul Graham による How to Start Google の日本語訳である。 本翻訳文書については、Shiro Kawai さんに誤訳の訂正を頂きました。ありがとうございました。 (これは、14~15歳の子たちに、いずれスタートアップを始めたいと思ったら何をやるべきかについて私が行った講演である。多くの学校が、スタートアップについて生徒に何か教えるべきだと考えている。これこそが、私が学校が生徒に教えるべきと思っていることだ。) あなた方のほとんどが、いわゆる現実世界に放り出されたら、いずれはある種の職に就かねばならないと考えているでしょう。それは正しくなくて、今日、私はあなた方が職に就かなくて済むために使える技を指南します。 その技は、自分の会社を始めることです。つまり、それは働くのを避ける技ではありません。自分の会社を始めたら、普通の職に就いた場合よりも懸命に
以下の文章は、Tim Berners-Lee による Marking the Web’s 35th Birthday: An Open Letter の日本語訳である。 当初の期待 35年前、私がウェブを発明したときに、ウェブがこういう軌跡を辿ると考えもつかなかった。その進化の方向を予測するロードマップはなかったし、思いがけない機会や挑戦に満ちた魅惑的な旅だった。ウェブ全体の基盤にあったのは、協力(collaboration)を可能にし、思いやり(compassion)を育み、創造力(creativity)を生み出そうとする意志だった――私はこれを3つの C と呼んでいる。それは人間性に力を与えるツールだった。ウェブの最初の10年は、その約束を果たした――ウェブにはコンテンツのロングテールと選択肢があり、非中央集権的だったし、小規模でより局地的なコミュニティを生み出し、個人に力を与え、大き
思考と表現の間に人生がある(ルー・リード) 本書について 本書は、Rebecca Bloodによる『The Weblog Handbook: Practical Advice on Creating and Maintaining Your Blog』(2002, Perseus Publishing)の全訳である。日本語版の刊行にあたり、原著者による日本語版への序文が追加されている。本書の翻訳については、冒頭の『われわれが思考するごとく』からの引用を除いては、既訳は特に参考にしていない[1]。 原著は、アメリカにおけるウェブログムーブメントの高まりを受けて執筆された書籍の先陣を切るものであり、2002年のAmazon.comの編集者が選ぶベストブックのデジタルカルチャー分野[2]において、Kevin Mitnickの『The Art of Deception』[3]などと並んで選ばれるな
著者: Sarah Lamdan, Jason M. Schultz, Michael Weinberg, Claire Woodcock 日本語訳: yomoyomo 以下の文章は、Sarah Lamdan, Jason M. Schultz, Michael Weinberg, Claire Woodcock による The Anti-Ownership Ebook Economy の Introduction の日本語訳である。 実は電子書籍を「買う」ことができないという話を聞いたことはあるだろうか? 確かに、電子書籍リーダー、タブレット、電話上で「買う(Buy)」ボタンをクリックする時には、それは完璧でシームレスな商取引と感じるだろう。しかし、紙の本のように電子書籍を扱おうとした途端――例えば、友達と共有するとか、誰かに売るとか、学校の図書館に寄付するとか、場合によってはオフライン
以下の文章は、Heather Meeker による To trust AI, it must be open and transparent. Period. の日本語訳である。 機械学習は昔からずっと存在していた。しかし、2022年の終わり頃になって、ディープラーニングや大規模言語モデルが状況を変え始め、世間の目に入りだした。そして人々は、「我々はオープンソースソフトウェアを愛しているのだから、AI もオープンソースにしよう」と考え始めた。 だけど、オープンソース AI ってなんだろう? まだ分からない、というのが答えになる。 機械学習モデルはソフトウェアではない。ソフトウェアは、私のような人間によって書かれる。機械学習モデルは訓練される。モデルは、人間によって与えられた入力データを基に、自動的に自己学習を行う。プログラマがコンピュータプログラムを修正したいと思えば、何が必要かは明らかだ
以下の文章は、Selena Deckelmann による Wikipedia's value in the age of generative AI の日本語訳である。 Wikipedia に含まれるすべての情報を独力で執筆可能な生成的人工知能があるとして、それは今日の Wikipedia と同じものになるでしょうか? これは哲学的問題みたいに思えるかもしれませんが、生成的人工知能と大規模言語モデル(LLM)の最近の進歩のおかげで、今ではかなり実際的な問題です。人間の反応を予測して模倣する生成 AI 技術が広く受け入れられたおかげで、多分に Wikipedia 由来に見えるテキストを今ではほぼ苦もなく作成できます。 この疑問に対する私の答えはシンプルです。いいえ、それは同じにはなりません。 公開の場で何十万ものボランティアの助けを借りながら、自由に知識を生み出し、共有し、時間をかけて磨きを
以下の文章は、Brewster Kahle による書籍版『Walled Culture』の序文の日本語訳である。 不幸にも、インターネットはより民主的で開かれた出版システムという我々の夢から、ますます数少ない国際企業に支配されるものになりつつある。これらの企業はパブリッシャーでありながらテック企業でもあり、我々のテクノロジーの接続性を利用して、アナログ時代には不可能だった新たな支配力を行使している。何が起きているのか? そして正道に戻すために我々に何ができるのか? 我々の多くが、出版された人類の遺産にアクセスしたい好奇心のある人なら誰でも利用できる分権的な大図書館を築こうとキャリアを積んできた。しかもこの図書館は、皆に作品を共有する機会を与え、多くの人が生計を立てるのに十分な読者を得ることになるので、あらゆる声を包摂するものになる。新たなコンピュータやネットワークの技術が、皆が膨大な情報を
以下の文章は、Gavin Wood による ĐApps: What Web 3.0 Looks Like の日本語訳である。 原文は、2014年4月17日に公開されたものである。 未来に向かって進むにつれ、ゼロトラストな交流システムの高まるニーズに気づく。スノーデン以前でさえ、インターネットで独裁的な存在に我々の情報をゆだねるのは、危険をはらむのに我々は気づいていた。しかし、スノーデン後では、その議論は明らかに、大組織や政府は当たり前のようにその権力を拡大し、一線を越えようとしていると信じる人達の手に渡っている。その結果、我々の情報を組織一般にゆだねるのは、根本的に壊れたモデルだと感じている。我々のデータに干渉しない組織の可能性は、必要な努力から期待される利益を差し引いたものに過ぎない。それらの組織は人々についてできるだけ多くを知ろうとする収益モデルを持つ傾向があると考えると、悪用の可能性
以下の文章は、Dariusz Jemielniak による Wikipedia as a Role-Playing Game, or Why Some Academics Do Not Like Wikipedia の日本語訳である。 原文は、Joseph Reagle、Jackie Koerner 編 Wikipedia @ 20 の第10章になる。 本翻訳文書については、Shiro Kawai さんに誤訳の指摘を頂きました。ありがとうございました。 ウィキペディアと大学人の時にぎこちない関係を理解するもっとも良いやり方は、それをゲームと考えることだ。 ウィキペディアの編集を始める道筋はたくさんあって、そのすべての道で恥をかくとは限らないのだけれども、私が辿ったコースはそういうものだった。私は月におよそ20万人ものポーランド人に利用されている人気の無料オンライン辞書を運営していた。ポーラ
以下の文章は、Tim Berners-Lee による 30 years on, what’s next #ForTheWeb? の日本語訳である。 原文は、ワールド・ワイド・ウェブの30回目の誕生日にあたる2019年3月12日に公開された。 今日、私が情報管理システムを起案して30年が経ち、世界の半分がネットにつながっている。我々がここまで成し遂げたことを祝うときであると同時に、まだ成し遂げていないことをじっくり考える好機でもある。 ウェブは公共の広場、図書館、診療所、店舗、学校、デザインスタジオ、オフィス、映画館、銀行、そして他にもたくさんのものになっている。もちろんのこと、新たな機能が加わり、新たなウェブサイトができるたびに、ネットにつながっている人とつながっていない人の格差が拡大するし、ウェブを誰もが利用できるようにするのがいっそう不可欠になる。 またウェブは機会を創出し、社会の主流
以下の文章は、Tim Berners-Lee による Three challenges for the web, according to its inventor の日本語訳である。 原文は、ワールド・ワイド・ウェブの28回目の誕生日にあたる2017年3月12日に公開された。 私がワールドワイドウェブの原案を投稿して、今日で28年になる。私はウェブを、どこにいる誰もが情報を共有し、チャンスを利用し、地理的境界や文化の違いを越えて協力するのを可能にする開かれたプラットフォームだと心に描いた。ウェブを開かれた場に保つために戦いがずっと続いたが、いろいろな意味でウェブはこのヴィジョンを叶えてくれた。しかし、この12ヶ月間、私は以下に挙げる三つの傾向をいよいよ不安に思うようになった。ウェブが人類全体の役に立つツールとしての真の可能性を満たすよう、我々はこの傾向に取り組まないといけないと思うのだ。
以下の文章は、Tim Berners-Lee による The web is under threat. Join us and fight for it. の日本語訳である。 原文は、ワールド・ワイド・ウェブの29回目の誕生日にあたる2018年3月12日に公開された。 今日、ワールド・ワイド・ウェブは29歳になる。今年はウェブの歴史における節目となる年である。世界の人口の半分超がオンラインという臨界点を初めて超えるからだ。 この心躍るニュースを人々を共有すると、以下の二つの心配げな反応のいずれかをもらいがちだ。 世界のもう半分をどうやってネットにつなげようか? 世界のもう半分は、そもそも現在のウェブにつながりたいのだろうか? 今日のウェブに対する脅威は、私が昨年書いた文書で説明したもの――偽情報やいかがわしい政治広告から個人データのコントロールの喪失にいたるまで――を含め、皆にとって数多い
It's high time for a walk on the real side Let's admit the bastards beat us I move to dissolve the corporation In a pool of margaritas Steely Dan, "Everything Must Go" 10年以上前からウェブサイトを止めるときに発表しようと考えていたタイトルの文章を実際に今こうして書いているという事実に不思議な心持ちになるのを禁じえない。 実際には何もかも止めてしまうわけではないのだが、大枠の事情は対談の最終回(前編、後編)で話しているものの、一応最後のステートメントということで、対談で話した内容と重複するが、今後の身の振り方などについて書いておきたい。 YAMDAS Project 本体、並びにはてなダイアリーのYAMDAS現更新履歴の更新
以下の文章は、Bruce Schneier による My Priorities for the Next Four Years の日本語訳である。 本翻訳文書については、Shiro Kawai さんに誤訳の訂正を頂きました。ありがとうございました。 多くの人たちと同じく、私もドナルド・トランプが大統領に選ばれたことに驚いたし、ショックを受けた。彼の理念、激しい気性、政治経験のなさは、我々の国、しいては世界にとって深刻な脅威になると私は思う。突如として、自分が取り組もうと計画していたことがすべて、それと比較するとちっぽけなものに思えてきた。インターネットのセキュリティやプライバシーが、危機に晒されている最も重要な政策分野というわけではないが、彼――と何より、彼の内閣、政権、合衆国議会――は、アメリカ並びに世界中の両方で、その分野に破壊的な影響を及ぼすからだ。 選挙があまりに接戦だったので、そ
増井修『ロッキング・オン天国』(イースト・プレス) ワタシは1989年から2004年まで雑誌 rockin' on の読者で……と何度も書いてきて、ロック問はず語りなんてのもやっているが、先日帰省した際に実家の本棚を見直したら、実際には2006年くらいまでは結構な頻度で買っていたようだ。 それはともかく、ワタシがもっともこの雑誌を真剣に、まさにむさぼり読んでいた時代に編集長だった増井修が当時を回顧する本を書いたとなれば、それは買うのが責務でしょう。 のっけからボンベイ・ロールの話があったりして笑える。楽しく読ませてもらった。 実際には本書の著者が rockin' on の編集長になったのは1990年からだが、ワタシが1989年に購読し始めた時点で、編集長は彼だと思っていた。逆に言うと、ワタシは渋谷陽一が編集長として一線におり、岩谷宏がバリバリ書いていた頃を知らないことになる。同人誌マインド
ブレイディみかこ『ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店) 昨年末、はてな村反省会2015とかいう集まりがあり、ワタシは当然参加していないのだが、そのレポートを見てちょっと良いなと思ったのは、「今年一番良かった人」という話題があったらしいこと。 こういうのいいと思うのだが、そこでヨッピーさん、池内恵さん、ARuFa さんとともに名前が挙げられていたのが本書の著者である。 個人的には内田良さんをリストに追加したいところだが、それはともかく昨年2015年に日本語圏のインターネットにおけるもっとも優れた仕事である著者の Yahoo! ニュース個人ブログを中心に編まれたのが本書である。 『アナキズム・イン・ザ・UK -壊れた英国とパンク保育士奮闘記』、『ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝』に続き新刊をご恵贈いただいたが、前作と異なり、収録された文章はほとんど既に読んで
小笠原治『メイカーズ進化論―本当の勝者はIoTで決まる』(NHK出版新書) Kindle 版も出ているが、紙版を買った。 いわゆる「メイカー本」は、それに関わるいろんな立場の人たちによる本が既にいくつも出ているが、本書は株式会社 ABBALab 代表取締役にして、DMM.make AKIBA の総合プロデューサーを務めた小笠原治氏によるもので、当事者としての地に足が着いた感じと、メイカームーブメントの現状と向かうべき方向性を読者に指し示すしっかりした内容の本である。 「メイカーズ」という言葉は、つい数年前から使われるようになりました。日本語としては、今のところ正確な定義は存在しません。本書を通じて、このメイカーズという言葉に特別な意味を込めたいと考えています。それは、メイカーズこそ、モノづくりが進化する過程の中で生まれた、新たな主役だということです。(11ページ) もちろん当事者であるから
林雄司『会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話』(扶桑社文庫) 本書は2014年刊行の『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』の刊行一年での文庫化である(早い!)。文庫化にあたりちょっとビリギャルにひっかけたようなタイトルに改題しており、それに合わせたような文庫版おまけも加筆されているが、内容的には(当たり前だが)単行本のときの題名に沿った本であり、こういうのはどうかと思った。 元々ワタシは単行本のときに読みたいと思って忘れていて、文庫本になったのを知ってこれ幸いと買った人間だし、今回の文庫版にしても、本屋で手に取り、帯に思わず吹いてしまったくらいなので文句はないけど。 そういうわけで本書は、「会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話」ではほとんどなく、かの人気サイトデイリーポータル Z を10年にわたり継続させ
以下の文章は、Robert Graham による Pin-pointing China's attack against GitHub の日本語訳であり、著者の許可を得て公開するものである。 この一週間(訳注:原文は2015年4月1日に公開された)、「GitHub」というウェブサイトが中国による攻撃にさらされた。この投稿では、http-traceroute を行うことでその攻撃がどこから来てるかを特定する。 GitHub はインターネットの重要基盤をなすウェブサイトで、オープンソースプロジェクトの最大のホスト先だが、最も有名なのは Linux である(私のコードもそこでホストしている)。GitHub はまた、人気のブログプラットフォームでもある。 数え切れないほどホストしているプロジェクトの中に、https://github.com/greatfire や https://github.c
増井俊之『スマホに満足してますか? ユーザインタフェースの心理学』(光文社新書) 本書のことをブログで紹介したところ、著者より献本いただいた(本書のサポートページ)。 著者とはどういう契機で知り合ったかもはや思い出せないのだが、10年以上の付き合いになる。というか、ワタシなぞが「付き合い」などと気軽に書いてよい人ではないのだが、増井さんは昔も今もまったく偉ぶったところがなく、権威主義で相手を屈服させることがない人なのだ。 だから増井さんとやり取りする場合、特に技術的な興味による質問をされる場合、適当な返答は許されないところがある。もちろん、相手を立てて謙遜しておけば、みたいな対応は論外である。 昨年秋、二年に一度の個人的な恒例行事となっている iPhone の最新版への買い替えをすることを某所に書いたところ、既にあらゆる機能性において Android が iPhone を上回っているのに、
以下の文章は、Paul Graham による What Doesn't Seem Like Work? の日本語訳である。 私の父は数学者である。私の少年時代のほとんどの間、父はウエスチングハウス社で原子炉のモデリングをする仕事をしていた。 父は、自分のしたいことを早くに把握した幸運な人の一人だった。子供の頃のことを聞くと、12歳のときに「数学に興味を持った」はっきりとした重要な分岐点があったという。父はウェールズのプスヘリにある小さな海辺の街で育った。その通学路を Google ストリートビューで辿ると、彼は田舎で育ってよかったと言った。 「15歳くらいで退屈にならなかった?」と私は尋ねた。 「いや」と彼は答えた。「その歳までには数学に興味を持っていたからね」 それとは別の会話で、父は自分が本当に好きなのは問題を解くことだと語ったことがある。私にとって、数学の教科書の各章の終わりにある練
ブレイディみかこ『ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝』(Pヴァイン) 『アナキズム・イン・ザ・UK -壊れた英国とパンク保育士奮闘記』に続き、著者に献本いただいた。ワタシは本を読むのが死ぬほど遅いのだが(しかも年々さらに遅くなっている気がする……)、面白かったので一気に読んでしまった。 数年前に確か新聞の夕刊である学者さんが学生時代を回顧する文章を読んだ覚えがあって……とこの文章を書くために少し調べてみたら、竹内洋の文章だった。福田恆存を面白いと思い、それを学生仲間に話したところ、その場にいた女子学生は、彼を誰かに紹介するとき必ず「この人ウヨクよ」と添えるようになったそうだ。この場合の「ウヨク」は、「右翼」でなく「バカ」に近い意味だった、と竹内洋は書く。 福田恆存を推しただけで「ウヨク」扱いされ、それはすなわち「バカ」認定という「左派にあらずんばインテリにあらず」な時代も過去にはあったわけだ。
ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』(草思社) 原書をブログで紹介するなど本書の著者であるダナ・ボイドについて時々取り上げた関係で草思社の編集者に献本いただいた。 本書は、SNS 研究、特に10代の若者の SNS 利用についての研究の第一人者である著者が出会ったティーンの経験と視点を映し出すために書いた本である。ただ、読者として彼らの親世代を強く意識した本であり、それは「なぜ、若者はネットでよからぬことをしているように見えるのか」など各章のタイトルに添えられた副題を見ても明らかである。その筆致は、ティーンについて何かを決めつけたり、結論ありきでそれに証言をあてはめる感じがなく、ある意味むやみにソーシャルメディアを恐れたり子供たちの利用に介入したがる親世代をなだめ、諭す本とも言える。 前半で繰り返し書かれるのは、今のティーンがテクノロジー
以下の文章は、Corynne Mcsherry による Adobe Spyware Reveals (Again) the Price of DRM: Your Privacy and Security の日本語訳である。 出版界は遂に出版版「rootkit スキャンダル」に直面しつつあるのかもしれない。二つの独立系のメディアの報道によれば、Adobe の電子書籍ソフトウェア「Digital Editions」は、読者がローカルな「ライブラリ」に追加するあらゆる文書を記録し、それらのファイルがどうなるか追跡し、それからその履歴をインターネットを介して母艦に送り返しているというのだ。言い換えれば、Adobe は読者の読書傾向を追跡するだけでなく、他の人がそれをやるのも実に容易にしているのだ。 しかもすべては著作権の行使の名のもとで行われている。結局のところ、出版社が「安全に配信」したり、本へ
冨田恵一『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』(DU BOOKS) ドナルド・フェイゲンの『ヒップの極意 EMINENT HIPSTERS』を読んだ勢いで、本書もポチっとやってしまった。 本書は冨田ラボの別名でも知られる著者が、リスナー、演奏家、作編曲家、そしてプロデューサーの視点を混在させ、その知見を動員してドナルド・フェイゲンの1982年のアルバム『The Nightfly』について書きつくした本である。 ワタシにとってもドナルド・フェイゲンの『The Nightfly』は特別なアルバムで、もちろんポップミュージックの歴史の中でこれよりも優れたアルバムはいくつもあるだろう。しかし、ワタシにとって『The Nightfly』はそうした評価基準とはまた別のところにあって、曲から歌詞から演奏からアルバムジャケットからもう何から何まで好きなのだ。こちらがどんな気持ちであれ聴くことができる、そ
以下の文章は、Andreas M. Antonopoulos による A beginner's guide to Bitcoin の日本語訳である。 本翻訳文書については、harupong さんに誤訳の訂正を頂きました。ありがとうございました。 問:Bitcoin ってどういう仕組みなの? Bitcoin はピアツーピアのネットワークであり、一連のプロトコル(相互運用のための規格)であり、クライアント・インタフェース(ウォレットと呼ばれる)であり、それらすべての技術の上で機能する通貨である。Bitcoin のシステムにより、誰でも(通貨単位の)bitcoin を世界のどこにいる人にも送受信できる。Bitcoin のシステムは、銀行や銀行口座を必要とすることなくインターネット上で機能し、電子メールを送るようにお金を送れる。 Bitcoin を使うには、Bitcoin のクライアント、すなわち
グレン・グリーンウォルド『暴露――スノーデンが私に託したファイル』(新潮社) 本書については昨年末から刊行を楽しみにしていた本だが、まさか世界同時発売が実現するとは思わなかった。ただ、本書はそれだけの重要な内容を持った本である。ワタシが読んだのは Kindle 版でなく紙版で、以下ページもそちらに拠る。 本書は、2012年の末に著者のグレン・グリーンウォルドの元にエドワード・スノーデンから(当然ながら最初は偽名を用いて)メールが入るところから始まる。 しかし、話は一向に進まない。グリーンウォルドは、キンキナトゥスを名乗る謎の人物から PGP を使うよう要請されるものの、なかなか重い腰を上げないからだ。それに対して謎の人物は尋常でない親切な態度で接する。今となっては、この謎の人物、つまりはスノーデンが何者で、何のためにグリーンウォルドと安全性を確保したメール通信を行おうとしたのか明らかなのだ
以下の文章は、Anil Dash による 10 Rules of Internet の日本語訳である。 テクノロジーに何年も携わる中で、私もいくつか学んだことがある。人に話をするときにこれらの教訓をよく繰り返すようになったので、そうしたものを集めておけば、必要になったときに人にリンクを送れると思った次第である。 十分な時間があれば、楽譜を作成可能なものはなんであれ YouTube でスーパーマリオのテーマ曲を演奏するのに使われる。 その反応から判断するに、インターネット上で可能なもっとも卑劣なことは、本当に優れたソフトウェアをただであげてしまうことである。 以下の三つのものは決してまともに動かない:ボイスチャット、プリンター、プロジェクター。 一度あるウェブコミュニティがある人物、話題、アイデアを嫌うと決めたら、そこでの会話はアイデアの批判から、誰が一番痛烈な非難ができるかの競争になってし
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