松田道雄が保育所づくり運動にも関わった、大阪府枚方市にある「香里団地保育所」 写真提供: 「香里めざまし新聞」を復刻する会 待機児童の問題や保育士の待遇改善など、「保育」をめぐる問題はこれまでも何かとメディアで話題になってきた。特に2016年に投稿された匿名ブログの「保育園落ちた日本死ね!!!」という衝撃的な文言は、多くの人の記憶に残っているだろう。しかし筆者にとって、恥ずかしながら自分の子どもが生まれるまでは、「保育」はどこか他人事だった。 筆者は今年2月に出産し、ただでさえおぼつかない初めての育児に追われ、かつネット上に溢れる玉石混交な育児情報に疲れていた。そんな折に知人から教えてもらったのが、50年以上前に書かれた育児書のベストセラーである『育児の百科』だった。この本を書いたのは、明治41年生まれの知識人であり、戦後は町の開業医として活動した松田道雄。その著書『育児の百科』を、本稿