登山で大事なのはなにか?体力?技術?根性?どれも大事ですが、最も重要なのは知識、情報です。知識があれば無用なリスクを避けられますし、体力が少ないのなら少ないなりのコースを選べます。 体力も知識もないのに難しい山や長いコースを選んで、天気など条件が悪いのに突っ込んでしまうから遭難するのです。 なんてことない様に見える登山道でも、知識の有無で見えるリスクが違います。知らないということは、見えないということです。 知識を得る方法はいろいろありますが、最も効率よく信頼性の高い情報を得られる媒体は、本です。信頼できる出版社が出版した本をたくさん読みましょう。 なぜ本を読むのが大事なのか?登山は、無知でやっていい遊びではありません。 いいですか?あなたが観光の延長気分で高尾山や富士山に登ったとしても、一歩山に入ったらもうそれは登山です。あなたの気分や意識に関わらず、山はあなたを「登山者」として平等に扱
登山家栗城史多(くりきのぶかず)がエベレスト南西壁で遭難したと知ったとき、こみあげたのは憐れみの感情だった。自分でも登れるわけがないとわかっている難ルートに、自己演出のために挑み、滑落する。その最期は憐れという以外に言葉が見つからない。その感懐は本書を読んでさらに強まった。そしてわかったことがある。それは、彼が憐れだったのは、登山家を名乗っていたのに登山を信じていなかったからだ、ということだ。 彼は山を演出の場としてしかとらえていなかった。そのことは本書に一貫して書かれているが、とりわけ、彼の登山がいかに粉飾されていたかを物語るシェルパの証言のくだりでは、複雑な気持ちになった。それは読んでいて切なくなるほどだった。どうして彼はそれほどまでに登山に対して不誠実であれたのだろう? 虚像と実像の整合性が自分でもとれなくなった、との知人の言葉があるが、その通りだと思う。彼は山に命をかけたのではなく
話題のこの本。発売前に読んでいたので感想を書いておこうと思う。 上に載せたのは集英社の宣伝用POPで、私のコメントが載っているが、本の端的な感想としてはこのとおり。これは宣伝用に書いたコメントではなく、献本をしてくれた編集者に送ったメールの一部が使われたもので、率直な感想そのままである。 実を言うと私も、一時期、栗城さんについて本を書こうかと考えたことがある。『トリックスター』というタイトルまで思いついていた。 (トリックスターというのは、「神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者である。 往々にしていたずら好きとして描かれる。 善と悪、破壊と生産、賢者と愚者など、異なる二面性を持つのが特徴である<Wikipediaより>」らしい。まさに栗城さんにピッタリのタイトルではないだろうか)。 が、結局書かなかった。自分には「栗城史多について書く理由がない」と感じたのが最大の理由
三大「〇〇好きに悪人はいない」のカウンターができた。 犬好きに悪人はいない → 『冷たい熱帯魚』 子好きに悪人はいない → 『IT』 山好きに悪人はいない → 『闇冥』 最初は、埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにした映画。園子温・監督・脚本で、猟奇殺人事件に巻き込まれた男を描いたホラーだ。死体解体など凄惨なシーンもあり、R18+に指定されている。 次は、殺人ピエロの異名を持つジョン・ゲイシーから想を得た小説。みんな大好きスティーヴン・キングの長編で、映画にもなっている(リメイクされたハイ! ジョージーが有名やな)。怖さなら小説を、おぞましさなら、実話のほうWikipedia[ジョン・ゲイシー]をお薦めする。 最後は、今回お薦めの山岳ミステリアンソロジー。馳星周が選んだとあって、ノワールなやつから悲哀に満ちた作品までさまざま。ここでは、山岳ミステリの傑作とも言われる、松本清張「遭難」について紹
一般に、本は読めば読むほど物知りになれると思われがちだが、実際は逆だ。読めば読むほど、世の中はこんなにも知らないことであふれているのかと思い知らされる。その繰り返しが読書だ。 「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルク(ソ連時代はスヴェルドロフスク)を出発した。 男性7名、女性2名からなるグループは、全員が長距離スキーや登山の経験者で、トレッキング第二級の資格を持っていた。彼らは当時のソ連でトレッカーの最高資格となる第三級を獲得するために、困難なルートを選んでいた。資格認定の条件は過酷なものだったが、第三級を得られれば「スポーツ・マスター」として人を指導することができる。彼らはこの資格がどうしても欲しかったのだ。 事
この記事では僕の好きな探検家&ノンフィクション作家の角幡唯介(かくはたゆうすけ)さんについてその魅力を伝えたいと思います。 角幡さんの活動の中心は自分の探検の記録を本として出すことですが、一方、自伝的エッセイで探検家の日常をつづったり、別の探検家、登山家や作家との対談をまとめた本も出されています。 個人的には角幡さんはノンフィクション好きはもちろんですが、登山やハイキングが好きな人、アウトドアが好きな人に是非おすすめしたいです。 ワクワクする冒険ものの読み物は単純に面白いです。 シロクマに襲われたり、シロクマの肉を食べたり。北極を千キロ以上歩いたり… これだけ聞いても面白そうじゃないですか。 あと、自伝的エッセイは腹抱えて笑えます。めちゃめちゃ面白いです。 目次僕が角幡さんを好きな理由角幡さんのプロフィールについて<本の紹介> ノンフィクション 空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポ
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