中国新疆ウイグル自治区ではウイグルと公安の衝突が毎週あって死者が続出しているが、チベット人地域からは最近焼身自殺のニュースがない。どうなっているんだという質問を受けた。このところ確かに焼身自殺者は少なくなっている。私の考えでは、自分の宗教的熱情だけでは抗議自殺ができなくなったことがある。自殺者の親戚知人が逮捕、投獄されるようになったからだ。もっと重要なのは、ダライ・ラマの自制を求める発言がようやくチベット人地域に浸透したことである。 ところが、最近また、ダライ・ラマのチベット帰還を求める自殺者が現れた。これは、寺院僧侶への圧迫がより強化されたことを思わせる。 そこでやや古いが、ある僧侶の訴えからチベット仏教寺院の現状を探りたい。語り手はジグメ(49歳)、ときは2007年、場所は中国甘粛省甘南蔵族自治州夏河県のラブラン大僧院、記録者は北京在住のチベット人作家ツェリン・オーセルである(http