20250316追記
I know it’s over
Oh mother, I can feel
The soil falling over my head
And as I climb into an empty bed
Oh well, enough said
I know it's over, still I cling
I don't know where else I can go
Over...
Oh mother, I can feel
The soil falling over my head
See, the sea wants to take me
The knife wants to slit me
Do you think you can help me?
Sad veiled bride, please be happy
Handsome groom, give her room
Loud, loutish lover, treat her kindly
Though she needs you more than she loves you
And I know it's over, still I cling
I don't know where else I can go
Over and over and over and over
Over and over
I know it's over and it never really began
But in my heart it was so real
And you even spoke to me and said
"If you're so funny
Then why are you on your own tonight?
And if you're so clever
Then why are you on your own tonight?
If you're so very entertaining
Then why are you on your own tonight?
If you're so very good looking
Why do you sleep alone tonight?
I know 'cause tonight is just like any other night
That's why you're on your own tonight
With your triumphs and your charms
While they're in each other's arms"
It's so easy to laugh, it's so easy to hate
It takes strength to be gentle and kind
Over, over, over, over
It's so easy to laugh, it's so easy to hate
It takes guts to be gentle and kind
Over, over
Love is natural and real
But not for you, my love
Not tonight, my love
Love is natural and real
But not for such as you and I
My love
Oh mother, I can feel the soil falling over my head
Oh mother, I can feel the soil falling over my head
Oh mother, I can feel the soil falling over my head
Oh mother, I can feel the soil falling over my head
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終わったと 分かってる
ああ 母さん、僕には分かる
土が 僕の頭にかけられるのを
誰もいないベッドに上がると
ああ それで、もういいんだ
分かってる、終わったことだと
未だに しがみついて
分からないのは、
ほかに どこへ行けるのか
ああ・・・
ああ 母さん、僕には分かる
土が 僕の頭にかけられるのを
ほら、海が 僕をさらおうとしてる
ナイフが 僕を切り裂きたがってる
あなたは 僕を救えると思う?
悲しみのベールをかけた花嫁よ、
どうか幸せになって
ハンサムな花婿よ、彼女に部屋を与えて
騒がしく粗野な恋人、彼女に優しくしてあげて
彼女は君を愛してるというより、
必要としているのだから
分かってる、終わったことだと
未だに しがみついて
分からないのは、
ほかに 僕がどこへ行けるのか
延々と どこへも
延々と どこへも
分かってる、終わったことだと
そして現実では 始まりもしなかったと
けれど 心の中では鮮烈だった
そこで あなたが僕に話しかけて言った
「そんなに 面白い人だとしたら
なぜ今夜 あなたは一人でいるの?
そんなに 賢い人だとしたら
なぜ今夜 あなたは一人でいるの?
そんなに 誰かを楽しませられるなら
なぜ今夜 あなたは一人でいるの?
そんなに かっこいいのだとしたら
なぜ今夜 一人で眠ってるの?
分かってる、今夜も
これまでの夜と 何も変わらずにいるって
だから今夜も あなたは一人でいるのよ
あなたの成功と あなたの魅力でもってね
みんなが 恋人の腕の中にいる時も」
笑うことは あまりに簡単で、
憎むことも 今すぐにでも
穏やかさと 優しさには
強さが要る
もっと たくさんの
もっと たくさんの
笑うことは あまりに簡単で、
憎むことも 今すぐにでも
穏やかさと 優しさには
勇気が要るんだ
もっと たくさんの…
愛は 自然で本当にあるもの
けれど あなたにはない、
愛しい人
今夜にもない、
愛しい人
愛は 自然で本当にあるもの
けれど あなたや
僕みたいな者にはないんだ
僕の愛する人よ
ああ 母さん、僕には分かる
土が 僕の頭にかけられるのを
ああ 母さん、僕には分かる
土が 僕の頭にかけられるのを
ああ 母さん、僕には分かる
土が 僕の頭にかけられるのを…
この曲はBBCラジオの投票で「人生を救った曲」1位になったらしい。そのコメントがまたいい。「笑って泣ける唯一の曲」「スピーカーから大きな腕が出てきて抱きしめられる感じ」、本当にそう。
どう訳そうか考えながら、通勤の合間に繰り返し聴いていた。東東京で折々立ち現れる、見晴らしのいい川や橋の上でこの歌を聴くと、いつの間にか出来てた感情の煮凝りが一緒に流されていってしまう感覚がある。
歌詞の内容は、関係が始まる気配もない人が忘れられず、ほかのどこにも行ける気がしないという、どちらかというとかなり閉塞的なはずの歌。なのだけれど、歌として聴くとそれこそ、どこかへ流れ着いていけるような不思議な解放感がある。
『Summer of '85』という、男の子たちの3週間の恋を描いた映画がある。映画の序盤で、主人公の恋人だった男の子が死んでしまうことが明かされ、そこからその死に至るまでのことが振り返って語られる。主演俳優のフェリックス・ルフェーヴル曰く「考えようによっては、ダヴィド(相手役の彼)が死ぬことによって、アレックスは前に進めたわけです。ダヴィドの死があったからアレックスは自由になり、新たなページをめくることができました」とのこと。その相手役を演じたバンジャマン・ヴォワザンも「本当はダヴィドはもっと平凡でつまらない奴かもしれないのに、恋するアレックスの目から見たら、すごく理想化されているし、常軌を逸するくらいカッコ良く見えます。バイクに乗っている時も、ヨットの上でも、タバコを吸っている時も、すべてアレックスの目を通すので、カルト的にカッコ良い人物になったのだと思います」と。そして、この映画の主役のアレックスは元々文才があり、結果的に「書く」ことで、恋人の死を乗り越えることになる。
「I know it’s over」では相手は死んでいなくて、むしろこの僕の側が精神的に瀕死の状態になっている。けれど『Summer of '85』でも、主人公のアレックスはダヴィドの死後に相当に落ち込む。また片思いの相手の結婚は、恋をしている側からすると、死に近いぐらい衝撃的なことではある。どうにもこうにも、もう諦めるしかないという意味で。文字通り「終わった」ことで、その時は相当に応えるだろうけど、だからこそ解放もされる。強制的に切り離されてしまったら、その時には行く宛がなかったとしても、そこからどこかしらには行ける。そして、あとでその「どこか」がどこだったか分かるのだ。この歌の不思議な解放感は、もしかしたら、そんなところから来ているのかもしれない。そして偶然、この曲が書かれた年とこの映画の舞台となった年は同じだったりする。
それと、これだけ絶品に書けたら、もう成仏できてるでしょ、って感じもする。笑 恋してる夢のふわふわと、現実に抉られるグサグサの、何ともエモいミルフィーユ。感情と現実との気の遠くなるような遠さに、もっと強くならなきゃって、本当に強くなったんだろうな。その途上でゆらゆら揺れてる、ライブでの演奏も素晴らしい。