1日(現地時間)の午前中に行なわれた米アドビ システムズ(Adobe Systems)社主催イベント「Adobe MAX 2007」の基調講演は、同社CTO(最高技術責任者)のケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏が進行役を務め、同社が現在開発中の最新技術・製品やサービスを開発者に向けてアピールした。中でも注目は、開発コードネーム「Moviestar」と呼ばれる「Flash Player 9.1」と、「Astro」と呼ばれる次期バージョンのFlash Playerだ。
基調講演の進行役を務めたAdobe CTOのケビン・リンチ氏
H.264&1080pのHD映像に対応する動画強化版
Flash Player 9.1
Moviestarは、その名のとおり、動画再生機能を強化したFlash Player 9のマイナーバージョンアップ版だ。H.264の動画コーデックと、最高1080pのHD動画に対応し、マルチコアCPUにも最適化しているという。また、フルスクリーン表示時にグラフィックスアクセラレーター(GPU)のハードウェアスケーリングが機能し、動画再生がなめらかになるという(具体的にどのGPUがサポート対象になるかは不明)。そのほか、JavaScriptの実行速度が上がる、IPv6プロトコルに対応するなどの改良が施されるという。
講演ではFlashVideoを効果的に使ったサイトとして、米マイクロソフト社のXbox 360用シューティングゲーム「Halo 3」のウェブサイトを紹介。まるでウェブブラウザーでゲームに参加しているかのような、迫力あるカメラアングルと緻密な描写を盛んに褒め称えながら、「こんなにFlashをうまく使っているサイトを(目下のライバル企業である)マイクロソフトが作ってくれているんだ」と述べると、会場からも笑いが起きていた。
Astroについては、スクリーン上で「Flash Player 10」という文字も見られたが、Flash Player 9のメジャーバージョンアップ版に当たる。まずテキストレイアウト機能を強化し、各国語で読みやすいハイフネーションやカーニングがサポートされるほか、日本語特有の禁則処理も組み込まれ、文章を含むFlashコンテンツがかなり読みやすくなるようだ。
さらに大きな特徴が3Dのサポートである。と言っても3Dポリゴンを駆使した複雑なものではなく、レイヤーを傾けたり回転させる、フィルター効果を付けるといったものだが、従来より幅広い表現が可能になる。デモでは、宇宙空間の銀河を3枚のレイヤーで構成し、それらを回転させることでリアルな銀河を表現したり、元となる猿の映像にドット絵化やモザイク、レンズ効果、回転(つまみ)などの特殊効果を加えて、多彩な表現が可能になるとアピールした。