人事のホンネ

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

PPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)〈前編〉
事業領域広く、「本当にいろいろなことができる」【人事のホンネ】

株式会社PPIH 人財本部 リクルーティングマネジメント部 新卒採用課 篠原一平(しのはら・いっぺい)さん

2025年03月12日

 人気企業の採用担当者に編集長が直撃インタビューする「人事のホンネ」。日本最大級の総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」など小売業を中心に国内外で業務を拡大しているPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の後編です。学生時代は安定志向だったという採用担当者の篠原さんですが、思った以上に多くのことができる同社の幅広さに惹かれて入社を決断。失敗をおそれず挑戦をすすめる社風にフィットし、買い場(売り場のこと)づくりの大胆な変更などチャレンジを続けてきたといいます。PPIHで働くやりがい、就活生へのメッセージもうかがってきました。(編集長・福井洋平)

(前編はこちらから

最初は売場責任者をめざす

■PPIHのアピールポイント
 ――PPIHの魅力について、学生にどういうところをアピールしていますか。
 ドン・キホーテの知名度はもちろん高いのですが、PPIHグループという企業を知ってほしいのがまず一番です。ドン・キホーテだけではなく、PPIHグループには多くの事業分野があるということを理解してもらうため、まずは「PPIHグループのなかにドン・キホーテがあるんだよ」という話をしています。
 学生によって魅力に感じるポイントは全然違うのでアピールする点は一概には定めていませんが、そもそも小売業という業種はこれだけお客様のために役立っているとか、会社が社会にこれで貢献をしているとか、お客様のことをこれだけ考えて仕事をしているんだよ、ということはお伝えしています。これらは前編でもお話をした「源流」に掲げている「顧客最優先主義」でもあります。また、「権限委譲」があるからこれだけの仕事ができるんだよと伝えているのも大きなポイントです。
■PPIHでのキャリア
 ──最初の配属は店舗配属ですか。
 初回配属は基本、店舗配属になります。将来的にキャリアのステップアップとして全国転勤も発生する場合があります。何年ぐらい店舗にいるかは、人によってさまざまです。

 ──店舗配属になって、次は店長をめざすのですか。
 社員はまず売場責任者候補からスタートして、売場責任者を目指します。会社のなかで商品群のカテゴリーをMDという形で分けているんですけど、大きく分けて1MDから7MDの売場責任者を目指します。例えば1MDだったら電化製品やおもちゃ製品で、7MDは生鮮部門です。

 ──社員は最長で1店舗に何年ぐらいいるのですか。
 長い人だと3~4年いますが、同じ店舗にずっと滞在し続ける可能性のほうが低いですね。店舗によって自分が担当するMDのキャパシティーが違います。例えば、僕は最初に売場責任者をやった店舗では自分が担当しているMDは月々2500万円ぐらいでした。そこから自分の権限や幅が広がるに応じて、売り上げのキャパシティーがどんどん上がり、最終的に担当した環七梅島店では月1億円でした。

 ──売場責任者の次はどういうポジションになりますか。
 ブロック長、もしくは店長のポジションになります。その後は支社長、ブロック長の次はプロフィットマネージャー(PM)もあります。担当する範囲がより広がっていくステップになっています。支社長が1つの支社、例えば3~4店舗の管轄を持って全部の店舗を見るというのに対して、より複数店を見ているのがプロフィットマネジャーという役職になります。

 ──本社勤務になるルートもありますか。
 はい。僕は売場責任者を経て、新卒採用課に異動しました。人事、総務、商品企画、海外部門などに異動する人もいます。

 ──海外部門は海外戦略を立てる部門ですか。それとも海外に現場責任者としていくことを想定した部署でしょうか。
どちらかというと、今後は後者を担う人材ですね。我々としては挑戦したい、早いうちにキャリアを積みたいという人はもちろん、事業規模を海外に広げていくにあたって、語学を生かした働き方をしたいという人は積極的に採用しています。

 ──キャリアを進めていくにあたり、何か手を挙げる制度はありますか。
 公募.comという社内リクルート制度があります。部署の募集に対して自分で応募できます。タレントマネジメントシステムで、今後どういうことをやりたいのかという情報もその都度集めているので、その人のキャリアに応じて声がかかるというパターンもあります。

女性には低用量ピル補助も

■福利厚生、仕事の大変さ
 ──福利厚生で特にアピールしていることはありますか。
 大きく2つあり、若手社員を応援するためのルーキーサポート、それと低用量ビルの服用補助制度です。

 ──ルーキーサポートはどういう仕組みですか。
 30歳未満の全国転勤の人が対象で、転居を伴う異動があった場合は帰省旅費がかかるので、月1回往復分を全額会社側で補助する制度です。

 ――低用量ピル補助はどういう制度でしょうか。
 女性は生理痛がひどくてパフォーマンスが落ちることもあります。そういった女性や、男性ならライフパートナーを補助する制度です。女性社員が実際に利用するときにはピル代や自宅への送料、診療費を会社が全額補助します。男性社員のライフパートナーに対しては、半額分を会社で補助します。

 ──小売業は仕事が大変というイメージもあると思います。学生にはどのように伝えていますか。
 一番大事なのは、私たちと学生双方の理解に違いが出ないことですので、もちろん正直に大変な部分を伝えます。ただ、小売業全体が大変というイメージがあるかもしれませんが、小売業のなかでもPPIHは異質な存在です。仕事のなかでどういう部分が面白いのか、楽しいのかを学生に感じてもらえるような説明をしています。

 ──PPIHはどういう点が異質なのですか。
 やはり「権限委譲」ですね。いち売り場の従業員に仕入れの権限、価格設定や売り場の変更という本当に商売の根幹を担う権限が委譲されている企業というのは唯一無二だなと思います。商売は本質的には面白い、楽しいものであるので、一番そこを学生には感じ取ってもらえると嬉しいですね。

 ──一方で、どういうところが大変だと伝えていますか。
 権限委譲の社風があるので、自由さがある反面、自分が何をしたいのかはとても重要です。日々トレンドにアンテナを張ったり、あとは実際に仕入れた商品が売れなかった場合とか大変なことに直面をしたとき、どうしたらいいかを考えたりしなければいけない大変さがあります。

「本当にいろいろなことができる」魅力に感じ入社

■篠原さんの就活
 ――篠原さんの経歴を教えて下さい。
 2018年入社で現在6年目、現部署には2023年4月に着任しました。

──就活のときはどういった企業を見ていましたか。
 実はいまの業界とは全く違う、人材系の業界を見ていました。僕自身が人のために何か役に立つことが好きで、人のために何かをしたいという思いが就職活動の軸としてありました。それが叶えられる企業や業界は人材業界だと思い、そこの業界を中心に見ていました。
 ドン・キホーテではアルバイトをしていて、正直に言うと就職活動では選択肢に入っていませんでした。でも、アルバイトをしている企業だし、とりあえずは受けてみようかなと説明会に出てみたら、本当にいろいろなことができる企業なんだなということがわかって。事業領域の幅も広く、キャリアパスも多いですし、採用や研修という人に携わる仕事もキャリアルートの1つとして叶えられる企業だなと実感し、最終的に入社を決めました。

 ──ちなみになぜ、ドン・キホーテでアルバイトをしていたのですか。
 「家から近い」「そこそこ時給がいい」、もうそれだけでした。人見知りだったので、新店のオープニングスタッフだったら周りに馴染みやすいと思い、とりあえず応募しました。

 ──一番印象に残っている「こんなこともできるんだ」ということは何でしたか。
 一番はキャリアパスの広さですね。就職活動しているとき、今のやりたいことや考えと、入社後のやりたいことや考え方が変わってしまうんじゃないかという不安がありました。就活で答えを出した選択と違う選択肢は取れるのかと考えたときに、多様なキャリアパスがある企業がいいと思いました。他にも内定はありましたが、最終的に漠然と抱えていた不安が払拭できるか、やりたいこと、自分が成長できるのか、さまざまな要素を勘案した結果、ドン・キホーテを選びました。

5年間で7店舗に勤務

■社歴
 ──最初はどこに配属されたのですか。
 最初は埼玉県の蕨店に配属になりました。基本的に3カ月間でいろいろなMDを経験して、総合的に適性を判断した結果、MDの配属が決まります。僕は食料品、飲料、お菓子、お酒、日配品と呼ばれる牛乳やお豆腐などをカテゴライズする「6MD」の担当になりました。

 ──仕事はどういうタイムスケジュールですか。
 朝、出勤をして食品の場合は午前中に納品を品出しして、お客様を出迎える準備をします。午後は時々によって変わってくるんですけど、自分が売り込みたい商品の演出だったり、レイアウトの変更だったり、あとはPOP依頼だったりとか商談だったりという感じですね。

 ──仕入れはどのように決めていくんですか。
 パートナーと呼んでいる提携企業から提案いただいた商品群から価格交渉をして仕入れたり、SNSとかで流行の波が来そうだなというタイミングを見て、それを取り扱っているパートナーに連絡して「この商品を仕入れられますか」と連絡したりします。
 蕨には3カ月半、そのあと越谷店で売場責任者となり、8カ月ぐらいいました。最終的には5年間で7店舗異動しています。

 ──店舗のなかで特に印象深かったところはありますか。
 東京の町屋店(現在は閉店)にいたときはコロナ禍の時期だったので、自分のなかでは印象深いですね。当時は外食を控えて、ステイホームの時期でした。6MDは家で食べる食材を多く取り扱っているので、巣ごもり需要ですごくニーズがあった分、大変ではありましたね。

 ──前編で環七梅島店の「買い場」を大きく作り替えたとおっしゃっていましたが、実際どれぐらい変えたのですか。
 加工食品のコーナーはレトルトカレー、乾麺、袋麺、調味料などを取り扱っているのですが、そこのレイアウトをお客様の動線に合わせて思い切って変更しました。それから新たに東南アジア、ブラジルといった海外の商品の取り扱いを増やすためにレイアウトを変更しました。売り場を大きく変えることに対しても自分の判断でした。

 ──店長からは何か指示はあるんですか。
 欠品などへの指摘はあるんですけど、基本的にあれこれ指示があったというのは記憶にないですね。権限委譲が強く社風として根付いているな、と社員になって改めて実感しました。

 ──店長はどのように店全体をマネジメントしているんですか。
 基本的には店舗の総利益、水道光熱費、あとは新しく什器や冷蔵ケースを導入するときに何年ぐらいでコストを回収できるかを勘案するなど、店舗全体の最適解を考えるのは店長の仕事です。

「安心感がある挑戦」させてくれる会社

■現部署での仕事
 ──今の部署にいらっしゃったのはいつですか。
 2023年4月です。自分の今後のキャリアを考えたときにやってみたいなと考えて異動しました。

 ──大変な仕事はありましたか。
 最初にここの部署に来て感じたのは、働き方を感覚的に理解はしてはいるんですけど、学生に説明するとなったときに知識不足だったなと。まずは会社のことをしっかり知るというところからはじめたのが、一番大変な部分でした。

■PPIHのやりがい
 ──PPIHで働くやりがいを教えて下さい。
 いろいろな挑戦をさせてもらえる風土があるのが、自分が動く原動力になっています。常に課題や問題に対して向き合っていくとき、自分で考えたことが結果として不正解だったとしても、「まずは挑戦してみよう」と後押しをしてくれる会社です。始める前から違うとわかる場合は、きちんと止めてくれます。入社して3カ月半で売場責任者になりましたが、これも最初からうまくいったわけではなく、自分に能力があったわけでもないのですが「1回挑戦をしてみよう」という形で引っ張り上げてもらいました。それが自分の成長につながりましたし、仕事として働くうえでのやりがいにもつながっていると思います。
 正直、僕は安定志向で挑戦とは相対する人物でしたが、無鉄砲な挑戦と「安心感がある挑戦」は違います。会社に背中を支えてもらいながら挑戦ができるという環境が、自分に合っていました。

 ──周囲のみなさんは優しいですか。
 基本的には皆さん優しいですが、互いに切磋琢磨しているので、ただ優しいわけではありません。僕が初めて担当した店舗で店をうまく回せなくて悩んでいたら、上長が本当に寄り添ってくれ、的確なアドバイスをくれて、そこからマネジメントの術を学べました。ただ優しいだけでなく、成長のためにアドバイスをくれるので、ちゃんと見てくれているなと感じます。

(インタビュー写真・山本友来)

みなさんに一言!

 選考のなかで我々リクルーターとお話しする機会を都度作っています。みなさん一人ひとりをしっかり理解をしたい、みなさんのことをしっかり知りたいという思いから、そういった時間を取っています。ぜひ、みなさんの挑戦と応募を心よりお待ちしております。今回、僕がお話した「ホンネ」ではなく、今度はみなさんの「ホンネ」をうかがえたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

【小売業】

 当社はディスカウント業態である「ドン・キホーテ」をはじめ、「UNY」「DON DON DONKI」などのリテール事業を中核とする多様な業態フォーマットで、国内外の地域のお客さまにあわせたワクワク・ドキドキを提供しております。  流通業を通じてお客さまに喜びと感動を与え、社会に貢献することを目的としたグローバルカンパニー、それが私たちPPIHグループです。