退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『226』(1989) / 二・二六事件発生から終結までの四日間を描いた大作映画

YouTube「松竹シネマPLUSシアター」で無料配信されていた、映画『226』(1989年、監督:五社英雄)を鑑賞。二・二六事件発生から終結までの四日間を、陸軍将校の視点から描いた大作映画。

決起将校にショーケンこと萩原健一をはじめ三浦友和本木雅弘佐野史郎竹中直人ら名を連ね、なかなか豪華なキャストである。ただ昭和維新とか言葉は勇ましいが、将校たちがクーデターを起こす理由がきちんと描かれてないのは不満。北一輝西田税を映画に登場させて思想的背景を描いてほしかった。ただ民衆が貧困に瀕してるというだけではどうも……。また昭和天皇の御意思が「断固鎮圧」に決したあたりも、昭和天皇の口から「自ら近衛師団を率いて鎮圧するも辞さず」ぐらいのセリフを聞きたった。


www.youtube.com

また興行的に仕方ないのかもしれないが、決起将校の妻として名取裕子南果歩賀来千香子有森也実など当時の旬な女優が申し訳程度に出てくるのにも閉口した。

笠原和夫が脚本を担当しているのに変な映画になったものだ。プロデューサーの奥山和由が意向が色濃く出て言うのだろうか。東映がつくったらもっとマシになったかな、と思わずにはいられない。

余談だが、史実でも決起将校においてはクーデター後の行動はノープランだったらしい。岡田啓介首相を討ち損じて倒閣に失敗したのは想定外だったかもしれないが、どのような道筋で「世直し」をするつもりだったのか……。史実に反してもきちんと映画では描いてほしいものだ。