最近、中国の公式メディアは、全国66の県が農村部の生徒の「給食の栄養補給」の補助金約20億元(約440億円)を、政府の債務返済や公務員の福利厚生のために流用していたことを明らかにしました。このニュースは多くの人々の憤りを引き起こしています。

地方政府が子どもへの補助金を流用

 「どんなに貧しくても教育を貧しくしてはならず、どんなに苦しくても子どもを苦しめてはならない」というのは、中国当局が数十年も主張し続けてきたスローガンです。しかし、現在多くの地方政府が行っていることは、中国の官僚がこのスローガンを全く意に介さないことを示しています。

 中国総合ニュースサイト大手である「鳳凰網(ifeng.com)」の7月2日の報道によると、中国の少なくとも66の県政府は政府の債務返済や役人の給料や福利厚生のために、地元の子どもへの給食の栄養補給補助金を取り上げているといいます。

 6月25日、国連会計検査委員会委員長を務める中国国家審計(監査)署の侯凱審計長は、国務院が発表した『2023年度中央予算の執行およびその他の財政収支に関する監査報告』内容の驚くべき事実を明らかにしました。公開された情報によると、農村の義務教育を受けている生徒に対する栄養改善計画に関する特別資金の監査の際に、13の省159の県に対する2021年から2023年8月までの補助金231.37億元(約5.1兆円)を重点的に監査したところ、いくつかの問題が発見されました。

 監査によると、一部の補助金の管理と使用が非常に混乱しており、一部は直接流用されているほか、66の地方県政府では19.51億元の補助金が政府の債務返済や役人の給与、手当などの支出に充てられていました。

 これまで、民衆は栄養給食を供給する悪徳企業が利益追求のために子どもの給食で手抜きや不正を行っていると考えていましたが、今回の監査で子どもの健康に直接関わるこの問題の不正行為を行っていたのは地方政府であることが明らかになりました。

 監査署はまた、41の県と1533の学校が給食の供給基準を引き下げ、架空の調達業務を通じて2.7億元(約60億円)の補助金を着服や横領していたこと、5の県の教育部門が入札した供給業者と共謀し、供給業者からの配当、寄付金やその他の方法を通じて、4216.02万元(約9.3億円)を福利厚生に使っていたことも明らかにしました。さらに、147の供給業者と一部の学校食堂やその他の給食部門が不正経営を行い、手抜きをして標準以下の基準で給食を提供していることも確認しました。

民衆の怒り

 66の県が農村部の生徒に対する給食補助金20億元を不正に流用していたとの報道が出ると、ネット上ではたちまち怒りの声が広がりました。
「これは子どもの口から食べ物を奪う行為だ!」
「159の県が調査されて66の県で問題が発見された。全国には約3000の県がある。全部調査したらどうなるのだろう?」
「長年にわたって続いてきたこの問題が、今になって発覚したのだろう!」
「(中国)国内の子どもの給食を削って、アフリカの子どもには十分な食事を提供している」
「お金はどこに行ったのだろうか?」
「これもアメリカのせいなだろうか?」
「農村部の生徒に給食補助金があったなんて知らなかった。いつから始まったの?」
「今回の暴露がなければ、この補助金の存在を知らなかっただろう」
「私の子どもは小学校から大学まで、今日まで栄養給食なんて聞いたことがない。子どもは学校での食事を全て自分のお金で賄っていた」

外国人の子どもへの巨額な給食費支援

 2023年9月の中国メディアの報道によると、中国当局はミャンマー、ネパール、カンボジア、モンゴル国、ナミビア、ウガンダ、エチオピアの計7カ国の小学生に無料の朝食・昼食や栄養パックを提供しています。また、2024年5月11日の報道では、無料の朝食を提供する国が14カ国に増えたと報じられました。

 貧困削減に取り組む中国で最大の慈善団体である「中国扶貧基金会(CFPA)」は2015年からエチオピアの52の学校に、11,483人の貧しい生徒に無料の食事を提供し始めたことも報じられました。さらに、ミャンマーでは中国当局が貧困児童に対して1人当たり年間300米ドル(約4.81万円)の栄養支援を行っており、牛乳、小麦粉、高エネルギー食品などが含まれています。このプロジェクトの総費用は3億米ドル(約481億円)に達しています。

 中国新華社通信の6月21日の報道によると、中国は国連世界食糧計画を通じて、アフリカ東部ウガンダの315校の16.5万人の子どもに1年間の給食を提供するための資金を寄付すると発表しました。TikTokの動画では、ウガンダの学校給食には主食のほかに、ペットボトルの水やフルーツジュースが含まれている様子が映し出されています。

中国の貧しい子どもたち

 多くの国々の貧しい子どもたちは、中国当局の支援により牛乳、小麦粉、ジュースを受け取っています。しかし、中国の農村部の子どもたちはどのような食事をしているのでしょうか?

 ネット上で流れている動画には、山間部の子どもたちが給食を受け取るために列を作っており(無料かどうかは不明)、一人一人が白いごはんと野菜スープをお玉一杯ずつ受け取っている様子が映されています。

 また、別の動画では、ある小学校の食堂で子どもたちの昼食はどんぶり一杯の麺類だけで、野菜は見当たらない様子が映っています。皮肉なことに、壁に掛かっている毎日の献立表には野菜や肉、おかゆが記載されています。

 ある保護者は「今は子供たちが成長する時期なのに、(どんぶりには)肉どころか緑の野菜さえない。どのようにごまかしているのか見てください!」と憤慨しています。

 ネットユーザーからのコメント:
「中国の子どもは家畜のように生きていて、アフリカの子どもより悲惨だ!」
「貧困から脱出する前は毎日草を食べていたのでは?かわいそうな子どもたち!」「税金をたくさん取りながら、国民の生活には使わず、恥ずかしげもなく国民の利益を代表していると言っている」
「中国共産党の腐敗官僚が高級車を一台減らすだけで、全国の貧困児童の数年分の給食代にもなる」
「外国の子どもに配慮する一方で、中国の子どもにも配慮すべきではないだろうか?特に中国西部の貧困地域の子どもたちの朝食は白粥と漬物だけで、官僚たちは中国の貧困地域を視察し、子どもたちが十分に食べられているかどうかを確認するべきではないだろうか?」
「ある県の公務員が1万人と仮定して、政府が1食につき10元の補助金を出すと計算すれば、1日で10万元、1年で3000万元近くになる。これは子どもたちの給食補助金額を大きく上回る金額だ。もし全県の官庁食堂の補助金を1年間停止すれば、子どもたちの栄養給食問題は解決するのではないか?」

(翻訳・藍彧)