資材や人件費の高騰で、自治体の建設工事が頓挫するケースが首都圏で相次いでいる。再開発計画の見直しを余儀なくされた東京都中野区の複合施設「中野サンプラザ」に続き、目黒区は区民センターなどの再整備に向けた事業者の公募を中断。他にも工期延長や事業費増大といった影響が出ており、市民生活への影響も懸念される。(東京ニュース取材班)
◆目黒区、事業費が想定より100億円増え
「公募への参加を表明していた全ての事業者が『もう難しい』となったくらい、建築費が短期間で高騰した」
目黒区の青木英二区長は2月3日、2025年度予算案を発表する会見で、公募中断の経緯を説明した。
当初の計画では、ホールと図書館、体育館を備えた区民センターが築51年と老朽化したため、同センターと、隣接する美術館、小学校を一体的に再整備するとしていた。昨年7月、約398億円の予算で公募を始め、複数の事業者が参加を表明した。しかし、10月になって全事業者が「今の額では厳しい」と申し出たという。
区は公募の中断を決め、今年1月に区議会に経緯を報告。当初の計画のままでは事業費が100億円ほど上振れするため「抜本的に見直す必要がある」(青木区長)という。
資材高騰の背景には、ロシアによるウクライナ侵攻や円安、輸送コストの増大などがある。建築業の人手不足で人件費も上昇している。
◆杉並区で計画が頓挫
中野サンプラザの再開発事業費は2021年の当初計画で1810億円だったのが、昨年9月時点で3500億円程度に膨れ上がる見通しとなり、計画見直しに追い込まれた。
また、千葉県船橋市では昨年9月、新しい...
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