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- 2025/03/14 掲載
クラウドAI市場「3強」超解説、AWS・マイクロソフト・グーグルの顧客事例8300件を分析
世界5大クラウドベンダーの顧客事例8374件を分析
ドイツの市場調査会社IoTアナリティクス社が発行した、クラウドプロジェクトの世界市場に関する調査レポート『Global Cloud Projects Report and Database 2024』では、5大クラウドベンダー(マイクロソフト、AWS、グーグル、オラクル、アリババ)による8374件の顧客導入事例を分析しています。一般に公開されていないクラウド実装プロジェクトはさらに数万件以上ありますが、このデータから主要ベンダー5社がどのような道を歩んできたのかを把握できます。代表的な大手ベンダーの記録であるため、特にAIビジネスに関する結論を導くためには、十分な妥当性を備えていると考えて良いでしょう。
以降では、主要ベンダー5社が提供する8300件以上の顧客導入事例の分析結果の中から、特にマイクロソフト、AWS、グーグルの市場における位置付けと洞察、および世界のクラウド市場について解説します。
2割が「クラウドAI」導入事例、関心度の変遷を「可視化」
同レポートによると、2023年6月から2024年6月の間に、主要ベンダー5社は2700件以上の新しい顧客事例を発表し、そのうち608件(22%)がクラウドAIサービスを導入していたことが明らかになりました。現在、AIに対する企業の関心は高まっています。AIは長年にわたり企業にとって関心の高いテクノロジーでしたが、2022年以降、その重要性は急速に高まっています。この変化を裏付けるのが、決算発表におけるAIに関する議論の急増です。実際、2024年第3四半期にAIを上回ったのは、インフレに関する話題だけでした。
CEOたちはAIについて語るとともに、自らのチームでもクラウドAIテクノロジーの活用を推進しています。
たとえば、米フィンテック企業イントゥイット(Intuit)のチーフカスタマーオフィサー兼執行副社長であるマーク・ノタレインニ氏の発言を見てみましょう。ノタレインニ氏は2024年第2四半期に、同社が会計ソフトウェアに生成AIを組み込んだ件について、次のように語りました。
「生成AIは、顧客の納税準備を支援する方法として、間違いなくゲームチェンジャーです。まずは顧客に代わって書類を入手し、プラットフォーム上でそれらの書類を集めながら、書類作業をしてくれます。そのうえで、当社のサポートは、アドバイスや意思決定に重点を置いたものへとシフトし、従来の市場では存在していたデータ入力の側面をほぼ排除しています」
なお、前出のレポートによると、イントゥイットはAWSクラウド上にAIスタックを構築している500社中の1社です。そして、AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」や機械学習サービス「Amazon SageMaker」などのツールを、基盤となるデータ分析インフラ用の他のAWSツール(Amazon Kinesisなど)と組み合わせて使用しています。 【次ページ】マイクロソフト・AWS・グーグルを徹底比較、それぞれの勝ち筋は
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