日経サイエンス  2019年6月号

ゲリマンダーを幾何学で見破る

M. デューチン(タフツ大学)

特定の候補に有利になるような恣意的な選挙区割り「ゲリマンダー」があったとの訴訟が米国で相次いでいる。区割りが不自然に偏っていることを,客観的に判定する方法はあるのだろうか? 可能な区割りのパターンは天文学的に多く,そのすべてを比較することは到底不可能に思えるが,数学者たちは莫大なデータを扱うための数学手法「マルコフ連鎖モンテカルロ法」を用いて成果を上げている。

再録:別冊日経サイエンス276『数学の楽園2 和算からアインシュタイン・タイルまで』

著者

Moon Duchin

タフツ大学数学科准教授,同大ジョナサン・M・ティッシュ・カレッジ・オブ・シビック・ライフのシニアフェロー。専門は幾何学的群論,低次元トポロジー,動力学。2016年秋に「計量幾何学とゲリマンダリング研究会」を設立し,数学者の間で選挙区再編問題に対する関心が高まるきっかけを作った。

訳者 井上哲(いのうえ・さとる) 原子核・素粒子理論の研究者を経てデータサイエンティスト。現在は米シカゴのArity社で,人間の自動車運転行動などを研究している。ツイッター@Inoueianで発信。

原題名

Geometry v. Gerrymandering(SCIENTIFIC AMERICAN November 2018)

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ゲリマンダーマルコフ連鎖モンテカルロ法,メタグラフ,選挙