昨年「運転はまだまだやめない」と語っていた釜本邦茂氏も免許を返納
サッカー界のレジェンド・釜本邦茂氏(78)が「免許返納」を決断し、実行に移した。かつて本誌・週刊ポストの取材に〈運転はまだまだやめたくない〉と免許返納に否定的な姿勢を見せた釜本氏の今回の決断から、高齢者がスムーズに免許を返納するためのヒントが見えてきた。【前後編の後編。前編から読む】
時間をかけて話し合う
免許を持つ高齢の親がいる多くの家庭では、すんなり返納に至らない場合が多く、家族が頭を悩ませがちだ。
そうしたなか今回の釜本氏のケースは、専門家も「円満な免許返納のお手本」と太鼓判を押す。『免許返納セラピー』(講談社刊)の監修者で、九州大学大学院教授の志堂寺和則氏が語る。
「釜本さんのなかでは、“もうそろそろかな”という気持ちがあったのでしょうが、お孫さんをはじめ、家族の協力と準備があったことがよい返納に繋がったと思います」
では、具体的にどんな手順を踏むのが望ましいのか。現在75歳以上のドライバーには、免許更新時に認知機能検査が義務付けられているが、実技試験はない。
そのため、まずは「家族が同乗して運転能力に問題がないか確かめること」が重要だ。
「助手席に乗って、最初に“乗り心地”を確認します。これは重要なポイントで、判断能力や運動能力が低下していると急発進、急ブレーキ、急ハンドルが増え、運転がぎこちなくなります。見落としのチェックも欠かせません。歳を重ねて視野が狭くなると、信号や標識の確認ができなくなる。乗っている自動車に擦り傷がついていないかが重要で、擦り傷は“危険な運転”の兆候です」(志堂寺氏)