チョコレート好きにとって、今年のバレンタインデーは少し苦い思いを抱くことになるかもしれない。カカオ豆の価格高騰により、チョコレート製品の価格上昇が避けられない状況だ。この現象は「カカオショック」と呼ばれ、洋菓子店や消費者に大きな影響を与えている。
「カカオショック」カカオ豆の価格が過去最高値に!
カカオショックとは、チョコレートの原料となるカカオ豆の価格が高騰した状態を指す。

2024年のバレンタインデー商戦が終わったあたりから、カカオ豆の価格が急激に上昇し始めた。その背景には、主要な生産地である西アフリカでの異常気象などによる不作がある。2025年1月には、1年前と比べて価格が倍以上になるという過去最高値を記録している。
洋菓子店の苦悩と工夫…「チョコレートをなるべく使わない」
高知市万々で1997年から営業している洋菓子店「ナチュレ」では、この状況に対応するため様々な工夫を凝らしている。

オーナーシェフの野本弘幸さんは「カカオがものすごく高騰してるので、チョコレート自体をなるべく使わない、使用量を減らしたお菓子作りを工夫しています」と語る。

具体的には、ナッツやマシュマロを加えたり、ブラウニーのような焼き菓子を中心に販売したりすることで、チョコレートの使用量を抑えている。

また、文旦やイチゴなど季節のフルーツを生かしたケーキも人気を集めている。
チョコレート製品の価格推移 2025年は初の400円超え
帝国データバンクの調査によると、バレンタイン向けのチョコレート1つあたりの平均価格は、集計を始めた2022年以降初めて400円を超えた。

具体的な推移は以下の通りだ。
・2022年:356円
・2023年:378円
・2024年:395円
・2025年:418円
値上げも検討…ナチュレの対応と今後の展望
2024年10月、ナチュレで仕入れるチョコチップは3割値上がりした。

これまではチョコレートの使用量を抑えるなどして数十円の値上げに留めてきたが、2025年2月から4月にかけて2、3割の卸値の値上げが予定されているため、4月以降はチョコレートケーキなどの100円以上の値上げを検討している。
ナチュレ 野本弘幸オーナーシェフ:
値上げは避けたいが、焼き菓子をもう少し充実させていって、チョコレートをたくさん使った濃厚なケーキはもう少し値上げをさせていただくか、それか種類を減らしていくということになると思います。

野本さんは「今の状況が変わることはなかなか難しい」と話す。

何かと“ビター”なバレンタインは、チョコレート離れを促進する可能性もあるが、同時に新しい菓子文化を生み出すきっかけにもなり、楽しみ方が多様化する機会となりそう。
どちらにせよ、洋菓子店の創意工夫で“甘い思い”を贈るのは変わらなさそうだ。
(高知さんさんテレビ)