青森県・南部町(なんぶちょう)でのイノシシ目撃件数は、2023年度が前年度の4倍近い40件に急増し、2022年度にはゼロだった食害も2023年度は26件と急拡大するなど農業に影響が出ているという。夜間にカメラを設置すると、イノシシの群れが何かをあさるようにむさぼり付いている様子が映っていた。その現場の様子を取材した。
イノシシの目的は堆肥用の“米ぬか”だった

林の中の道を駆け回る何頭もの生き物。さらに子供なのか、小さな個体も確認できる…その正体はイノシシだ。

6月2日、イノシシの群れが青森県・南部町の果樹園に現れた。

園内に設置されたカメラは、15頭ほどの姿をとらえていた。何かをあさって食べているように見えるイノシシたち。そばにいるうり坊は母イノシシのお乳を飲んだり、園内を走り回ったり、好き放題していた。
イノシシたちが何を目当てにやってきたのかを確かめるため、取材班は果樹園に向かい話を聞いた。

農家 佐々木元作さん:
肥料用の米ぬか。ここに蓄積して置いていた。ビニールは意味なく食いちぎられた。

イノシシが狙ったのは、堆肥を作るために置いていたという“米ぬか”だ。

周辺でイノシシの群れを目撃したことから、センサー付きのカメラを設置して警戒していたところ群れが現れたという。

米ぬかをおいしそうに食べるイノシシたち。取り合うような様子も見られた。
イノシシ捕獲に向けワナ設置も…

南部町と猟友会はイノシシを捕獲しようとワナを設置したが、5日朝、確認に向かったところ、イノシシはかかっていなかったが、痕跡が残っていた。

農家 佐々木元作さん:
これ見ると、足跡が・・・。中には入ってない。なかなか警戒心が強い。
南部町によると2022年度のイノシシの目撃は11件だったが、2023年度は4倍近い40件に急増。

2022年度には0件だった食害も、2023年度は26件と急拡大している。

田植えが終わった近くの田んぼをみると、イノシシのものと思われる足跡や泥遊びをしたような痕跡が残されていた。
この状況について専門家はこう指摘する。

広島フィールドミュージアム金井塚務代表:
一定の地域で食べ尽くすと、その親子だけじゃなくて、その周りにいるいろんな親子の集まりができて、新しい餌場へ出てくるんですよね。そういう現象の一つだろうとは思います。(米ぬかは)イノシシにとってごちそうがそこにあるぞっていうものですね。
(「イット!」 6月5日放送より)