アメリカ連邦議会下院は9月9日、複数の反共産主義法案を全会一致で可決した。法案には中国のドローン製造会社DJIの新しいドローンをアメリカで使用することを禁止、中国共産党(中共)による台湾侵攻を防ぐことなどを目的としている。中共に対する一連の法案の一部である。
これらの法案は、法律として成立するために上院の承認と大統領の署名が必要となる。
現在、知られている通過した4つの反共産主義法案は以下の通りとなっている。「中共ドローン対策法案』(Countering CCP Drones Act)」「台湾衝突抑止法案(Taiwan Conflict Deterrence Act)」「中国通貨責任法案(Chinese Currency Accountability Act of 2023)」「外国敵対的バッテリー依存からの脱却法案(Decoupling from Foreign Adversarial Battery Dependence Act)」
中共ドローン対策法案
中共ドローン対策法案では、DJIイノベーションが連邦通信委員会のブラックリストに追加され、その結果、同社の製品はアメリカの通信インフラでの運用が禁止されることになる。しかし、現在のDJI製ドローンはアメリカでの運用において妨げられることはない。
この法案は、DJIが製造したドローンが「アメリカの国家安全に対して受け入れがたいリスクをもたらす」と見なしている。また、データの安全性を考慮して、その会社の製品をアメリカの通信ネットワークから削除した。
下院エネルギーおよび商業委員会の民主党リーダーであるフランク・パロン下院議員は「この措置により、議会は将来のバージョンのDJIドローンがアメリカで輸入、販売、またはマーケティングされないことを確実にした」と 表明。
この法案を提出した共和党のエリス・ステファニック下院議員は「この法案は、アメリカ人のデータとアメリカの重要なインフラを守ることを目的としている」と以前表明した。また下院議員は、「議会は、ドローン市場に対する中共による独占的な支配を阻止するために、持っているすべての手段を使用しなければならない」と述べた。
中共ドローン対策法案は、2023年6月に下院で可決した「2025会計年度国防権限法(NDAA)」に組み込まれた。
アメリカで使用しているドローンの半分以上はDJI社が製造しており、同社はこの法案に反対し、アメリカの利益を損ない、また議会が支援しようとしている産業にも悪影響を及ぼすと主張している。
サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)と連邦捜査局(FBI)は最近、中国製のドローンに関する業界向けのサイバーセキュリティガイドラインを発表し、DJIが中共にデータを送信するリスクが存在することを指摘している。
ガイドラインによると、中国製のドローンを使用することで、機密性の高い情報が中共当局に漏れる危険性が存在する。また同時にアメリカの国家安全保障、経済安全保障、そして公衆の健康と安全を脅かす危険性も存在するとされている。
台湾衝突抑止法案は中共の高官を対象
「台湾紛争抑止法案」は、中共が台湾に侵入したり封鎖したりすることを防ぎ、特に北京が台湾に対して何らかの行動を起こした場合を想定している。また、中国共産党の高官の資産を公開し、彼らとその家族のアメリカの金融システムとの関わりを断つことも目的としている。
共和党のウォーレン・デイビッドソン議員が提案した「2023年中国貨幣問責法案」では、財務大臣に対して、特別引出権の通貨バスケットにおける人民元の比重を増やすことに反対するよう求め、これにより中国共産党が国際通貨基金などの重要な国際機関を買収するのを防ぐことを目的としている。
9月9日に通過した別の法案「外国の敵対的なバッテリー依存からの脱却法案」は、フロリダ州の共和党下院議員であるカルロス・ヒメネス氏によって提案された。アメリカの国土安全保障省は、寧徳時代新能源科技(CATL)を含む6つの中国企業からのバッテリー購入の禁止を決定した。この法案で言及している他の5社は、それぞれBYD(比亞迪汽車)、遠景能源(エンビジョン・エナジー・Envision Energy)、恵州億緯鋰能股份有限公司(EVE Energy Co., Ltd.)、国軒高科(Guoxuan High-Tech Co., Ltd.)、そして海天集団(Haitian Energy Technology Co., Ltd.)である。
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