中共の公安部が外国の警察を訓練? 「暴政の輸出」と批判の声

2024/09/17
更新: 2024/09/18

中国共産党(中共)は、今後1年間で外国警察3千人を訓練し、必要とする国々に警察顧問や警察ステーションを派遣する計画が発表された。この計画について、観察者たちは、独裁的な暴政の輸出であり、国境を越えた弾圧越境弾圧)に関与していると批判している。近年、中共は親中共国家と警察協力を強化し、現地に警察を直接派遣したり、日米欧などにも非合法な「海外警察」を設置するなどして、国際的な反発を招いている。

中共の外国警察訓練計画の分析と暴政の輸出

中国の国営英字紙「チャイナ・デイリー」によると、今年の「グローバル公共安全協力フォーラム」が9月9日に中国・江蘇省連雲港市で閉幕し、中共公安部の王小洪部長は、昨年2700人の外国警察を訓練し、今後12ヶ月間にさらに約3000人を訓練する計画であると述べた。また、必要とする国々に警察顧問や警察ステーションを派遣し、共同パトロールや調査などを指導するとされている。しかし、国営通信社・新華社では、この計画については触れられていない。

訓練の対象国は明らかにされていないが、グローバル公共安全協力フォーラムに参加した国の政治家たちの名前が報じられている。マレーシアの副首相ザヒッド氏、内務省長官セイフディン氏、セルビアの副首相兼内務省長官ダチッチ氏、ミャンマーの内務省長官ヤビ氏、ザンビアの内政および国内安全部長ムウェンブ氏、ニカラグアの国家警察局長ディアス氏、ロシアの副検察総長グロドフ氏らだ。

今年で3回目を迎える「グローバル公共安全協力フォーラム」には、2000人以上が参加し、そのうち800人以上が海外からの参加者であった。フォーラムのテーマは旅行の安全、道路交通管理、移民管理の協力など多岐にわたり、「グローバル公共安全協力に関するコンセプトペーパー(中共が提唱する国際的な安全保障の懸案や方針を示した文書)」も発表された。

中共が違法警察ステーションを設置

中共は近年、国際的な警務協力を推進し、治安維持を名目に、親共国に警察を派遣している。2019年と2023年には、中共の公安部が警察隊をセルビアに派遣し、中・セルビアで警務の共同パトロールが実施された。

中共よりのハンガリーのオルバン政権は今年2月に中共と警務に関する協定を結び、中共の警察がハンガリーでパトロールすることが許可された。このことはハンガリー国内で強い反対が引き起こされ、EU内部でも反発が生じた。今年4月、欧州議会で中共・ハンガリーの協定がEUにもたらす安全と人権に関する懸念があるとし、執行委員会の副委員長や多くの議員が受け入れられないと表明した。

中共は日米欧に複数の「海外警察(海外110)」を設置し、華僑を監視・脅迫している。G7の7か国は、中共の海外警察に関連する報告や報道が行われている。中共による他国の主権侵害や、反体制派に対する越境弾圧の問題は、国際的な非難が引き起こされている。

2022年、スペインを拠点とする人権NGO「セーフガード・ディフェンダーズ」が、中国共産党が世界の多数の国に違法な「海外警察」を設置していたことを暴露した後、ドイツやオランダなどの国々は海外警察を閉鎖するよう求めた。 2022年12月、イタリア政府は、中共の警察が参加していた共同警察パトロールを中止した。

2023年7月、中共はソロモン諸島と警務に関する協力協定を締結し、両国は「包括的戦略的パートナーシップ」に昇格した。ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相は、2017年にオーストラリアと結んだ安全保障協定を見直した。太平洋地域への中共の進出の象徴的な出来事となり、オーストラリア国内で懸念の声が広がった。

今年2月、制服を着た中共の警察官が、遠く離れた太平洋の島国キリバスに突然現れたが、キリバスは中共との警務に関する協力協定は公に発表されていなかった。

中共の太平洋地域における戦略的野心に対抗するため、今年8月にトンガで開催された第53回太平洋諸島フォーラム首脳会議において、オーストラリアは太平洋地域の首脳と共に、地域の安全について議論するするため、オーストラリア主導の地域警務イニシアティブを発表した。オーストラリアは今後5年間で4億オーストラリアドルを投入し、地域全体の警務能力を向上させることを約束した。

アメリカに滞在している中国の人権弁護士、吳紹平氏は、中共の警察が法を守らない機関であり、最も法律違反が起こりやすい機関であるとの見方を示した。呉氏は、中共の警察が自国の法律すら守っていないため、その警察の実態を海外に輸出することは望ましくないと指摘した。

批判の声

前北京の弁護士で、カナダに拠点を置く民間組織の代表である賴建平氏は、中共の警察が、中共の独裁を維持するための主要な力であり、人々を抑圧する手段として最も洗練されていると指摘した。例えば、人面識別技術がその典型例である。現在、中共は独裁政権の安定を維持する方法を学問として体系化し、パキスタン、ミャンマー、マレーシアなどの半民主国家にその経験を伝えようとしていると述べた。

「正常な国では、警察は中立であり、社会の治安を維持し、実際の犯罪と戦うことに焦点が当てられるべきである。また、市民の基本的人権と自由が保護されることが主な役割である」

中共が警察の訓練や国際的な警察協力を通じて、その影響力を拡大させようとしている。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亞
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