武見敬三厚生労働大臣は10日の記者会見で、今年12月に健康保険証を廃止する方針を改めて強調した。
政府はマイナンバーカードと一体化した保険証「マイナ保険証」を推進している。その理由として、受診時に、医師が過去の処方薬や受診歴を簡単に把握でき、医療の質が向上するとしている。
所持している現行の保険証については、12月2日の廃止日から最長1年間の継続使用が可能で、有効期限が到来する場合も同期限まで利用可能。また、マイナ保険証を持っていない人には、保険者から資格確認書が交付され、引き続き保険診療を受けることができるとされている。
しかしマイナ保険証の普及を政府が進めているものの、その利用率は依然として低い。NHKの報道によるとマイナ保険証の利用率が低迷していることから、厚生労働省は利用率が特に低い医療機関や薬局に聞き取り調査を直接行うなどして利用促進を図っているという。
国民に残る不安
いっぽう、マイナンバーシステムの不具合や情報更新の遅れにより資格確認に問題が生じる不安や、これら技術的問題に加えて、データ漏洩への懸念が指摘されるなど、国民には不安が残っている。
マイナ保険証の運用初期には、マイナンバーカードと保険証情報のひも付けが誤って行われるケースが複数報告され、この結果、他人の保険情報が誤って表示されたりする事例が発生した。
自民党総裁選挙への立候補を表明した林官房長官は7日、マイナ保険証について「不安の声があるので、それを払拭し、皆さんが納得した上でスムーズに移行できるようにするため、必要な検討を行いたい」と述べた。さらに、9日には国民の理解を得ながら利用促進を図ることが重要だと強調した。
武見厚生労働大臣は10日、閣議後の記者会見で、林氏の発言について「閣内の方針に揺るぎはない」と述べ、政府のマイナ保険証移行に対する方針の一貫性を強調した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。