発達凸凹と向き合う

【道具で「苦手」は消える⑧最終回】「ことばの理解」を後押しする道具で、ことばを楽しく覚える

2025.01.27

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平野佳代子
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苦手を作り出しているのは「道具」や「環境」であり、苦手を消し去ってくれるのもまた「道具」や「環境」――。発達障害の子のための道具を販売するネットショップを運営する平野佳代子さんが、専門家や保護者から聞いて、これはと思った道具を取り上げる連載。最終回は「ことばの理解」を後押しする道具です。

【ご紹介する道具】

  • 「ことばの不自由な人をよく知る本」
  • ことばの理解を支援する ドロップス絵カード100
  • ことばを育てるオノマトペカード「あいうえお編」「ぱぴぷぺぽ編」

ことば支援の情報のほとんどがわかる1冊

情報は道具のひとつです。その子にとって良い情報を得ることが、良い支援に結びつきます。

わが子がことばに何らかの課題を抱えている場合にぜひおすすめしたいのが「ことばの不自由な人をよく知る本」(中川信子・阿部厚仁 監修/障害のある人とともに生きる本編集委員会 編著/合同出版)です。

本書の監修者のひとりである中川信子さんは、子どものことばの発達支援の専門家である言語聴覚士。阿部厚仁さんは、東京・世田谷の小学校に設置された、きこえとことばの教室の教諭。お二人の仕事柄、どちらかというと、大人よりも子ども向けの情報に多くのページが割かれています。

子どもか大人かという前に、本書をおすすめする理由の一つが、「ことばとはなにか」という本質について書かれている点が挙げられます。文学的な話ではありません。ことばを理解し、発するとはどういうことかという話です。

ことばというと「言えることば」だけを想像するかもしれません。でも「言えることば」は、氷山のわずか一角であり水面下にはるか深く「(言えないけど)ことばがわかる」「(言えないけど)ことがらがわかる」が広がっているというのです。

たとえば、「りんご」と声に出して言えなくても、赤くて丸い果物で、皮をむいて食べると甘酸っぱい味がするのがりんごと知っていたら、たとえ「りんご」と言えなくても、りんごをわかっていることになります。

つい「言えることば」だけに目がうばわれがちで、「言えることば」だけをなんとかしようと考えてしまうかもしれません。でも、ことばの理解の根本を知ると、子どもとの関わりかたが変わってくるのではないでしょうか。

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