合格者ランキング2022 今年伸びた高校

「大学合格者ランキング」300%活用術 高校の進学力を読み解く3指標と7つのポイント

2022.04.05

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EduA編集部
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朝日新聞EduAウェブサイトの「大学合格者ランキング」は、大学通信からデータの提供を受けて配信している好評連載です。子どもが通う学校や保護者の母校がどんな大学にどれくらいの合格者・進学者を出しているのか、子どもが受験しようとしている高校・中学はどの程度の合格実績をあげているのか――。そうした情報を多角的に読み解くための三つの指標「合格者数」「現役『実合格者数』」「現役『進学率』」の意味と、七つのポイントを解説します。(写真は、2018年の北海道大の合格発表)

合格者数は「延べ」、多く出る傾向

大学合格者ランキングをはじめ、受験の世界で合格者数と呼ばれているのは普通、一般選抜(一般入試)の「延べ合格者数」です。例えば高校生Aさんが、併願が可能な私立P大学で、複数の学部・入試方式で計4回合格したとすれば、P大学の合格者数としては「4」と重複してカウントされます。

入試方式を多様化し、併願しやすくしている私立大では、合格者数が実態より多く出る傾向があるので、注意が必要です。

「実合格者数」が生まれたある事情

そこで、AさんがP大学の複数の学部・入試方式で合格しても、「1」とカウントするのが「実合格者数」です。2000年代半ば、ある高校が大学合格実績をよく見せようと、受験料を負担して1人の生徒に4大学73学部・学科の合格を「荒稼ぎ」させたことが発覚したことがきっかけで、調べるようになりました。大学入試センター試験(当時)の結果で合否が決まる「センター利用入試」を乱用したのです。

私立大に関しては、延べ合格者数は大学側が集計していることが多いですが、実合格者数は大学通信が各高校に調査しています。浪人生の実態把握が難しいため、朝日新聞EduAでは現役「実合格者数」を配信しています。

入学した大学からはじく「進学者数」

先の例で、私立P大学から計4件の合格をもらったAさんですが、本命の国立Q大学にも無事合格し、結局Q大学に進学したとします。この場合、進学者数としてはP大学が「0」、Q大学が「1」とカウントされます。つまり、実際に進んだ大学をもとにはじくのが「進学者数」です。総合型選抜(AO入試)、学校推薦型選抜(推薦入試)、付属校からの内部進学なども含まれ、高校の大学進学実績をより正確に反映しています。ただし、大学に籍を置きながら別の大学を目指す「仮面浪人」も進学者に含まれている点には留意が必要です。

実合格者数と同様、進学者数は大学通信が各高校に調査し、現役の数字を集計しています。これは浪人を評価していないのではなく、高校側で浪人生の進学先の把握が容易ではないためです。

「現役進学率」では合格者数と逆転も

合格者数、実合格者数、進学者数は、学校の規模によっても変わってきます。そこで、これらの数字を卒業生数で割ることで、規模の違いをならして比較できます。朝日新聞EduAでは現役進学者数を卒業生数で割り、現役「進学率」を算出して、配信しています。

例えば東大の現役進学率をランキングすると、合格者ランキングとは順位が異なってきます。規模が小さめの高校が大規模校を逆転して上位に躍り出る一方、浪人比率が比較的高い公立高校などは逆に順位を下げがちです。

なお、公立高校には定時制・通信制や専門科を持つところも少なくありません。通信制や定時制を併設する全日制の高校は、進学率の算出にあたり全日制の卒業生数を分母にしています。通信制のみの高校は、通信制の卒業生数を適用しています。専門科は、かつては工業科や商業科など実業系が多かったのですが、最近は大学進学を目指す専門科が増えていることから、普通科と専門科を合わせた進学率を出しています。

進学者数からわかる大学の「本命率」

進学者数のデータは、実際に進んだ大学を示すだけでなく、合格者数と比較することで大学別の本命度がわかります。朝日新聞EduAでは、進学者数÷(延べ)合格者数の割合を「本命率」と定義しています。第1志望は別の大学だったかもしれませんが、結果的に進んだ大学を「本命」とみなそうという考え方です。

本命率は高校ごとに計算することもできますし、各高校の進学者数と合格者数の総計から大学の本命度をランキングすることも可能です。東大や京大の現役の本命率は99%台ですが、併願可能な私立大では大きく下がります。早慶上理、MARCH、関関同立など難易度が同程度とくくられる大学の間でも、本命率には結構な差があります。

多様な大学の進学実績を広い目で

大学合格者ランキングというと、東大など難関大学の数字に目がいきがちです。しかし、全校生徒が100%、東大に現役進学する高校はありません。その高校の難関大学進学率はどの程度か、進学先のボリュームゾーンはどの難易度の大学なのか、視野を広げて見ることも大切です。

前述のように、私立大の合格者数は実態より多く出る傾向がありますので、合格者数だけでなく、現役「実合格者数」や現役「進学率」も合わせて見ることで、裸の合格・進学実績が見えてきます。

過去のデータも見てトレンド把握を

受験の世界には「隔年現象」という言葉があります。大学の志願者数が1年ごとに増えたり減ったりする現象です。受験生は前年の難易度をもとに志望大学・学部を決める傾向があり、志願者数が増えて高倍率になった年の翌年は敬遠されて志願者数が減り、その翌年はまた増えるということを繰り返す現象がみられます。高校ごとに見ても、惜しくも不合格になった浪人が多ければ翌年の合格者は増え、浪人が一掃されるとその次の年は合格者が減るといった形で、合格者数や進学者数に波が生じがちです。

したがって、高校の大学合格・進学実績を見る場合、単年度の合格者数や進学率を見ただけでは十分とはいえません。過去のデータにも目を通し、トレンドをつかむことが重要です。

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