中国の対日印象、なぜ劇的に悪化? 世論調査の結果を編集委員が解説
「対話と交流」の停滞が招いた断絶 編集委員・奥寺淳
中国人の日本への感情が、この1年で急激に悪化した。言論NPOなどの世論調査では日本への印象が良くないとする回答が9割近くにのぼり、「日中関係が重要」という認識まで薄れている。今回の結果が一時的なものか見極める必要はあるが、日本人の対中感情も同様に良くないままで、対話と交流の停滞が日中関係に深刻な影響を及ぼしている。
日中の意識調査は、2005年から言論NPOと中国共産党系のメディアが調査を続けている。昨年は中国の日本に対する印象が良くないとする回答が62.9%だったが、今年は沖縄県の尖閣諸島を国有化した翌年の13年に続き、過去2番目に悪い87.7%に急落した。特にこの1年間について、77.6%が日本に対する印象は「悪くなった」「どちらかというと悪くなった」と答えている。
日中関係の発展を妨げるもの(三つ回答)として、東京電力福島第一原発の処理水海洋放出問題(35.5%)が最も高かった。中国政府は昨夏の処理水放出前から、「核汚染水」と表現して危険性を強調し、日本産水産物の全面禁輸に踏み切った。一方で今年9月には、中国も加えた処理水のモニタリング(監視)体制を拡充することで日中政府が合意し、水産物の禁輸緩和に向けて調整が始まるなど前向きな動きも出ている。
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