「イマジン」響く米国の街 今こそジョン・レノンが必要
ビートルズの元メンバー、ジョン・レノンがニューヨーク(NY)で殺害されてから、8日で40年。その歌は今も、人々をひきつける。米国は今年、新型コロナウイルスで28万人超が亡くなり、大統領選でも国内の分断があらわになった。ファンは言う。「2020年こそ、ジョン・レノンが必要だった」
「美しい声。神秘的でいて、ロックンロール。彼は私たち一人ひとりに、ごく個人的に語りかけてくるような存在なんです。それも、困難を乗り越えようとしているときにこそ」
NY市在住のジャレド・ゴールドスタインさん(53)は、レノンの魅力をこう語る。兄の影響で、6歳の頃からビートルズやレノンの楽曲と育ってきた。2009年からは、NY市公認のツアーガイドとして、観光客らをレノンゆかりの地に案内している。
英国で生まれ育ったレノンは、ビートルズ解散後の1971年、妻のオノ・ヨーコさん(87)とNY市に移住した。当時は女性解放や反体制派の活動家を扱うなど、政治的メッセージの強い作品が多かった。ただ、75年にオノさんとの間に息子が生まれたことを機に数年は音楽活動の一線から退き、子育てに専念。亡くなる直前にオノさんと発表したアルバム「ダブル・ファンタジー」では、夫婦愛や家庭生活を歌った。
生きていれば、今年で80歳だった。ゴールドスタインさんはツアーで、レノンが移住直後に暮らした小さなアパート、ギターを買った楽器店、頻繁に訪ねた薬局などをめぐる。
「『10代の頃に自分を見失い、レノンに救われた』というような人たちが、誕生日の記念にやってくることもある。そんなときはあまり話しすぎず、彼らの思い出を聞く役に回る」
今年は新型コロナで、NY市を訪れる観光客がほぼゼロとなり、ツアーの希望者もいない。このため、命日にはオンラインツアーを企画している。そこでは、こんな魅力を伝えたい。「怒り、悲しみ、そして愛。いまでも彼は、私たちの心にある、そうした部分を揺さぶる」
新型コロナに人種差別、そして大統領選と、揺れた20年の米国を、レノンはどう歌っただろうか。
記事後半の動画では、ジョン・レノンゆかりの「ダコタハウス」や楽器店を一緒にめぐっています。
「孤独とつながり、ではない…
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