米代表団がモスクワへ出発、ウクライナでの停戦を協議へ　プーチン氏はクルスク州視察　Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

ドナルド・トランプ米大統領

アメリカのドナルド・トランプ米大統領は12日、ウクライナでの停戦をめぐる協議を行うため、米代表団がロシアに向かっていると明らかにした。

高官協議後、マルコ・ルビオ米国務長官は、「我々はこの提案をロシア側に伝える。彼らが和平にイエスと言ってくれることを望んでいる。ボールは今、コートの彼ら側にある」とし、戦闘を終わらせる唯一の方法は和平交渉だとアメリカは考えていると述べていた。

クレムリン（ロシア大統領府）は、アメリカが提示した停戦案を検討中で、ウラジーミル・プーチン大統領とトランプ米大統領が電話で協議する可能性もあるとしている。

11日の高官協議を受け、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「前向きな」提案に同意するようロシアを説得できるかはアメリカ次第だと述べた。

トランプ氏は12日、大統領執務室でアイルランドのミホル・マーティン首相と共に記者団の取材に応じ、ロシアとウクライナの停戦の可能性について「前向きなメッセージ」を受け取っていると語った。

「しかし、前向きなメッセージでは何も意味がない」、「状況は非常に深刻だ」とも、トランプ氏は述べた。

具体的に誰がモスクワへ向かっているのかは、トランプ氏は明言しなかった。

一方で、ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、マイク・ウォルツ米大統領補佐官（国家安全保障問題担当）がロシア側と話をしたと、記者団に述べた。

今週初め、情報筋はBBCに対し、ジッダでの高官協議後、スティーヴ・ウィトコフ中東特使がロシアに向かう予定だと語っていた。

ホワイトハウスも12日、この計画が事実だと認めた。

レヴィット報道官は、「我々はロシア側に、この計画（停戦案）に署名するよう強く求めている。これは、この戦争において最も和平に近い案だ」と述べた。

ロシアへの圧力に言及

クレムリンは停戦案について検討中だとしている。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、今後数日中に、「さまざまなチャンネルを通じて」さらなる詳細がもたらされるだろうと述べた。

トランプ氏は大統領執務室で、停戦はロシアにとって理にかなったものだと信じているとしつつ、「ロシアにとって多くのマイナス面」もあると付け加えた。詳細は述べなかった。

「我々は非常に複雑な状況を、一方の側では解決した。ほぼ解決した。我々は土地や、それに付随するほかのことについても話し合ってきた」

「撤退するのかしないのかにかかわらず、我々は議論の的になっている地域のことを理解している」

トランプ氏はロシアに圧力をかけるため、「財政的な措置を取ることができる」とした。

「ロシアにとっては非常に都合が悪いだろう」、「私はそんなことはしたくない。私は平和を望んでいるので」と、トランプ氏は述べた。

アメリカは両首脳が激しく口論した首脳会談後、ウクライナとの情報共有と軍事援助を一時停止していたが、これらを直ちに再開すると、11日の共同声明で発表した。

トランプ氏は高官協議を受け、「気難しい」ウクライナ側とゼレンスキー氏が今は和平を望んでいると信じていると述べた。

停戦をめぐる交渉が続く間も、ウクライナでは戦闘が激化している。

ウクライナ中部にあるゼレンスキー氏の出身地クリヴィー・リフや、南部の港湾都市オデーサ、東部ドニプロペトロウシク州、北東部ハルキウ州が、夜間にロシアのドローン（無人機）やミサイルによる攻撃を受けたと報じられている。

ロシア南西部クルスク州でも衝突が続いている。ぺスコフ報道官はロシア軍が「前進に成功」し、ウクライナ軍が掌握している地域を奪還しつつあると述べた。

クレムリンはその後、プーチン氏がクルスク州にある司令部を視察したと発表した。クレムリンが公開した動画には、軍服姿のプーチン氏とヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長が並んで歩く様子が映っている。

プーチン氏がクルスク州を訪れたのは、昨年8月にウクライナ軍が越境攻撃を開始して以来初めて。

ロシア・メディアによると、プーチン氏は軍にクルスク州の「完全解放」を命じたという。同氏はウクライナとアメリカが合意した停戦案について、まだコメントしていない。

ウクライナ軍トップのオレクサンドル・シルスキー総司令官は12日、一部部隊がクルスク州から撤退することを示唆。「最も困難な状況における私の優先事項は、これまでも、そして今も、ウクライナ兵の命を守ることだ」と、メッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。