2025年3月17日(月)

トランプ2.0

2025年2月19日

 対応しきれないほどの多くの大統領令を矢継ぎ早に発動し、“監視役”の既存メディアを目くらまし状態に追い込む――。トランプ米政権が打ち出した「Flood Zone」と呼ばれる戦略がにわかに注目されている。 

女子のスポーツ競技への男性の参加を禁止する大統領令に署名するトランプ米大統領(ロイター/アフロ)

マスメディアや野党を“溺死”状態に

 「Flood Zone」とは直訳すると、特定地域に「洪水」を引き起こすことを意味するが、トランプ第二次政権が繰り出した戦略は、大統領の意のままに行政命令を短期間のうちに集中的に発動し、批判的なマスメディアや野党を“溺死”状態にすることで追及をかわす狙いがある。

 ニューヨーク・タイムズ紙は去る1月28日、「トランプの『Flood Zone』戦略で反対派を怒りと息切れ状態に」と題する緊急記事を掲載した。

 それによると、もともとこの「戦略」は2018年当時、トランプ前政権下でストラテジストとして暗躍した極右思想家スティーブ・バノン氏が編み出したもので、大統領が思いのままの政策や方針を実現させるため、議会の承認を必要としない大統領命令を次々に打ち出すことで、野党民主党とメディアの反対を圧倒することが目的だった。

 しかし今回、トランプ第二次政権下で「戦略」はさらに徹底され、「洪水の激しさも規模も一段と拡大し、残酷なまでの効果を発揮しており、大統領は意図的に反対派をよろめかせ、抗議を希釈するために猛スピードで自らの政策課題を達成してきている」という。

 しかも、同戦略の“生みの親”でもあるバノン氏は、すでに5年前に、米公共放送「PBS」とのインタビューの中で「我々にとっての反対勢力は、唯一、メディアだ。しかし、彼らはいちどきに一つの問題にしか集中できない」と指摘、「では、あなたはどうするのか?」との問いに対し、次のように答えている:

 「われわれとしては、“ゾーン”で洪水を引き起こせばいいのだ。彼ら(メディア)に連日3つのパンチを食らわせる。やつらはそのひとつに打ち返してくる。しかし、それ以上は手が付けられないので、わが方の目的はつぎつぎに成果を挙げられる。彼らは疲労困憊で2度と立ち直れなくなるが、わが方はさらに追い打ちをかける……」


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