映画 / Movie
Culture
ボブ・ディランのアーキタイプを通じて描かれる現代アメリカ社会のおとぎ話:『名もなき者』池田純一レビュー
突然フォークシーンに登場し、瞬く間に人気を博し、ロックへと転じていった濃密なるボブ・ディランの4年間を描いた本作は、バイオピック=伝記映画の様相を呈しながらも(1960年代の過去にあった話というよりも)、むしろ2020年代の現代に対する風刺のようにも思える作品だ。そしてさらに、なぜ原題は“A Complete Unknown”という奇妙な名前が付けられているのだろうか。デザインシンカー・池田純一が、その謎をひもとく。
By Junichi Ikeda @ Fermat
Culture
なぜ権威主義体制は存続できるのか?:アカデミー賞ノミネート作『聖なるイチジクの種』監督インタビュー
2025年アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされ、カンヌ国際映画祭では審査員特別賞を受賞した映画『聖なるイチジクの種』。描かれるのは、イランの権威主義体制とそれに抗議するデモの間で揺れる家族の姿だ。本作を制作したことで国外への脱出を余儀なくされたモハマド・ラスロフ監督に、作品への思いを訊いた。
By Asuka Kawanabe
Culture
メキシコの俊英ミシェル・フランコが描く「記憶」をめぐる洞察にあふれたドラマ:映画『あの歌を憶えている』監督インタビュー
記憶とは、どこまでが真実で、どこからが幻想なのか──。メキシコの俊英ミシェル・フランコが手がける『あの歌を憶えている』は、過去と現在が交錯し、喪失と再生が織りなす深遠なドラマだ。記憶の曖昧さと、それでもなお人をつなぐ力に迫る本作。監督自らが語る制作の背景と、「記憶」というテーマへの独自の洞察とは?
By Atsuko Tatsuta
Culture
アカデミー賞ノミネート、監督・山崎エマが語る日本の「小学校」という“小さな社会”から見えてきたこと
日本の公立小学校の教育現場を1年間にわたって撮影した山崎エマ監督のドキュメンタリー映画『小学校〜それは小さな社会〜』から生まれた短編版が、第97回アカデミー賞で短編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。日本を題材にした日本人監督による作品として同賞初ノミネートになった作品は、いかに生まれたのか。山崎に訊いた。
By Tomoko Hasegawa
SZ MEMBERSHIP
「意味の枯渇」とファンダムのゆくえ:映画『キャプテン・アメリカ /ブレイブ・ニュー・ワールド』が映す時代精神
ファンが盛り上がらないファンフィクションのカップリング、政治的な抗議運動、そしてファンからもマーベルからも軽んじられていた黒人スーパーヒーローの起用。シリーズ最新作の公開で読み解く2025年のMCU。
By Elizabeth Minkel
Culture
Apple TV+で観てほしい、おすすめ映画24選【2025年最新】
心温まる物語から心に残るドラマまで。『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』、『ブリッツ ロンドン大空襲』、そして『ヘニョ 〜最後の海女たち〜』を含む作品は、Apple TV+で見るべき名作映画のほんの一部に過ぎない。
By Angela Watercutter
Culture
Amazonプライム・ビデオで見逃せない映画21選【2025年最新】
『チャレンジャーズ』や『アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~』など、いまAmazonプライム・ビデオをで観るべきおすすめ映画を紹介する。
By WIRED STAFF、Matt Kamen
MUSIC
【1月24日/24時間限定】ブライアン・イーノのジェネレイティヴ映画『ENO』を体験するために、知っておくべきこと
ご存知だろうか? 1月24日、ブライアン・イーノの生成ドキュメンタリー映画『Eno』が、24時間限定でライブストリーミングされる(複数のバージョンで)。日本国内で体験するには目下この機会しかなく、なぜ見逃すべきではないのかは、このコラムを読めばよくわかります。音楽ライターの野田努による寄稿。
By Tsutomu Noda
Culture
SF映画に人が集まらない現状は、かえって好都合かもしれない!?:『WIRED』日本版が振り返る2024年(映画編)
国内ではマンガ原作もの、海外ではフランチャイズ作品が人気を博した2024年。人気のIP(知的財産)が「トランスメディア」化するにあたって、映画が引き続き重要なメディアであることは喜ばしい限りだが、こと国内においては、かつてほど「SF映画」に人が集まっていないことが気になるといえば気になる。2024年、オンラインで最も読まれた10本の映画関連記事のなかに、SF作品は何本含まれているだろうか?
By Tomonari Cotani
Culture
わたしたちは何に抗うのか:映画『動物界』トマ・カイエ監督インタビュー
フランスで観客動員数100万人を超えた大ヒット映画『動物界』は、アニマライズ・スリラーの枠を超越する美しい作品だ。近ごろ世界が失ってしまったかのようにも感じる「未知を受け入れる勇気」はあるか、そして人類に備わる共感力がいかに柔軟か、思い知らされる。
By Erina Anscomb
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1982年、SF映画が世界を変えた夏
『ブレードランナー』『遊星からの物体X』『コナン・ザ・グレート』『トロン』『マッドマックス2』『スタートレックⅡ』『ポルターガイスト』そして『E.T.』。この8本の映画が公開された82年は、映画産業とSFの歴史を永遠に変えた瞬間でもあった。
By Anthony Lane
Culture
俳優・磯村勇斗がケリング「ウーマン・イン・モーション」に登場:「アライシップ」の視点から見つめる映像業界の未来
「ウーマン・イン・モーション」という活動をご存知だろうか? カンヌ国際映画祭のオフィシャルパートナーであるケリングによって創設された、女性をサポートするプログラムだ。2019年からは東京国際映画祭においてもトークセッションが開催されており、24年は俳優の菊地凛子、プロデューサーの岡野真紀子とともに俳優の磯村勇斗が登壇した。磯村は、いまだ男性優位な映画業界における女性の地位について、いかなる視点をもっているのだろうか。
By Atsuko Tatsuta
SZ MEMBERSHIP
「映画の言語」でドラマシリーズを撮ること:巨匠アルフォンソ・キュアロン監督インタビュー
Apple TVで配信中の『ディスクレーマー 夏の沈黙』でドラマシリーズを初めて手がけたアルフォンソ・キュアロン監督に、『ゼロ・グラビティ』『トゥモロー・ワールド』などこれまで撮った映画とTV制作との違い、SF作品と言われることへの違和感などについて訊いた。
By Samanth Subramanian
SZ MEMBERSHIP
「つくる」から「育てる」へ──ブライアン・イーノに学ぶ、創造性を発揮する技法
ミュージシャンのブライアン・イーノは、今年公開された公認ドキュメンタリー/ジェネラティブ映画である『Eno』で、遊び心と偶然性がインスピレーションの代わりになることを説いている。
By Joshua Rothman
SZ MEMBERSHIP
アニメをAIから守れ──『ミッチェル家とマシンの反乱』の監督が現実世界で起こした抵抗
マイク・リアンダの映画『ミッチェル家とマシンの反乱』は、シリコンバレーのテック企業に立ち向かうある家族を描いたSFコメディだ。だが、アニメーターたちがハリウッドの大手映画製作会社との戦いに立ち上がろうとしているいま、この映画は伝説になりつつある。
By Brian Merchant
Culture
『シビル・ウォー』が描いた写真と報道の力、そして単純化へのアンチテーゼ:アレックス・ガーランド監督インタビュー
なぜ世界はこんな混沌に陥っているのだろう──。『エクス・マキナ』で知られるアレックス・ガーランドのそんな問いが、映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の制作につながった。2024年10月4日の日本公開を前に、監督を務めたガーランドに制作の裏側を訊いた。
By Asuka Kawanabe
Culture
アレックス・ガーランドは、アメリカ社会の無意識に潜む幾多の神話を呼び覚ます:映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』池田純一レビュー(ネタバレあり)
『エクス・マキナ』等で知られるアレックス・ガーランドの新作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、ドキュメンタリーを装った戦争映画・政治映画“ではない”。しかも本作で描かれる「分断」は、青(民主党)vs. 赤(共和党)といった「今日のそれ」ではなく、米国社会の“集団的深層心理”に則した分断、いわば時代を超えた米国の神話に根ざした分断だ。ガーランドが本作に忍び込ませた真意を、デザインシンカー・池田純一が浮き彫りにする(物語の重大な核心に触れていますのでご注意ください)。
By Junichi Ikeda @ Fermat
Culture
南北分断を描いた“幻の傑作”がスクリーンに蘇る!:『シュリ デジタルリマスター』監督インタビュー
今日まで続く、韓国映画躍進の原点──。それが、1999年に公開された『シュリ』だったことは疑いようもない。同作品は、複雑な権利問題により長らく再上映も配信もない「幻の傑作」状態だった。しかしこのたび、デジタルリマスター版として25年ぶりにスクリーンに帰ってきた。リバイバル上映に尽力した監督のカン・ジェギュに、同作品への思いを訊いた。
By Atsuko Tatsuta
Culture
ダース・ベイダーの声はAIで不朽の存在となっている
『スター・ウォーズ』シリーズで、長年ダース・ベイダーの声を担当した俳優のジェームズ・アール・ジョーンズが、93歳で亡くなった。ジョーンズは生前ルーカスフィルムに対し、自身の声をAIで再現する許可を与えていた。
By Angela Watercutter
Culture
約27年越しの映画化が実現した『箱男』、監督・石井岳龍の執念と“確信”
あまりに難解な内容から映像化は不可能とされた作家・安部公房の代表作『箱男』が映画化され、2024年8月23日に公開された。一度は頓挫したプロジェクトを約27年越しに実現させたいま、監督・石井岳龍は何を思うのか。
By Takuya Wada